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4頭の重賞ウィナーを兄に持つスプレンダークラン

  • 2016年09月14日(水) 12時00分
クインアマランサス(牝 栗東・高野友和 父キングカメハメハ、母ヒカルアマランサス)
 母ヒカルアマランサスは京都牝馬S(GIII)を勝ったほか、ヴィクトリアマイル(GI)でブエナビスタのクビ差2着となった。2代母Caerlinaは仏オークス(G1)を勝った名牝。母の初子ギモーヴ(父ハービンジャー)はフラワーC(GIII)で4着となるなど素質を示している。本馬の父はキングカメハメハ。母方にA.P.Indyを抱えた同産駒は、ケイアイエレガント(15年京都牝馬S-GIII、14年福島牝馬S-GIII、15年ヴィクトリアマイル-GI・2着)、ツクバコガネオー(13年エルムS-GIII・4着)、プティプランセス(11年新潟記念-GIII・5着)などコンスタントに活躍馬が出ており成功している。「アグネスタキオン×A.P.Indy」という母の血が出ているのか、やや管囲が細くツナギも立ち気味ながら、素質は高いと思われる。脚もとに問題が出なければ上級の活躍が見込める。芝・ダートどちらでもやれるだろう。

コットンボウル(牡 美浦・高木登 父タートルボウル、母コンコルディア)
 母コンコルディアは阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)で3着となり、桜花賞(GI)でも6着と健闘した。2代母コンクラーベは小倉記念(GIII)5着馬。3代母コンカロは「Caro×Cornish Prince」でNasrullah4×4というスピードに秀でた配合。手堅いスピードを伝えている牝系だ。父タートルボウルは今年の2歳世代が初年度産駒で、現時点で3頭が勝ち上がっており悪くない。本馬は母の父がフジキセキなのでサンデーサイレンスを持ち、なおかつNight Shift≒ノーザンテースト3×4という相似な血のクロスを持っている。そして、スピードもまずまず。全体的に上々の配合だ。マイル前後の芝で良さを発揮するだろう。

スプレンダークラン(牝 栗東・池添学 父ルーラーシップ、母スカーレットレディ)
 母スカーレットレディは、ダートGI・JpnIを9勝した希代の名馬ヴァーミリアン(父エルコンドルパサー)、ダート重賞を4勝したサカラート(父アフリート)、ダート重賞を3勝したソリタリーキング(父キングカメハメハ)、シリウスS(GIII)を勝ったキングスエンブレム(父ウォーエンブレム)などの母。これまでにデビューした9頭の兄弟のうち8頭が勝ち上がり、なおかつ大物を連発しているのだから偉大だ。本馬を産んだときすでに19歳と高齢ながら、特別な名牝だけに大きな期待を掛けられる。父はルーラーシップなので、本馬はソリタリーキングの4分の3妹にあたり、ダノンリバティ(16年関屋記念-GIII・2着など重賞で2着4回)とも配合構成が近い。牝馬だけに兄たちほどパワー型に出ているわけではないだろう。芝でも十分やれる配合で、距離はマイル以上がいいだろう。

タイセイスターリー(牡 栗東・矢作芳人 父マンハッタンカフェ、母スターアイル)
 母スターアイルは現役時代にダート短距離で2勝。ごく平凡な競走成績しか残していないが、ダイヤモンドビコー(02年阪神牝馬S-GIIなど重賞4勝)の姪にあたり、直系祖母にステラマドリッド(米G1を4勝)、同曾祖母にMy Juliet(米チャンピオンスプリンター)がいる良血。ハーツクライと同じ一族でもある。この良血を活かして繁殖牝馬として成功し、NHKマイルC(GI)など重賞を5勝したミッキーアイル(父ディープインパクト)を産んだ。本馬の父マンハッタンカフェは異系色の強いドイツ血統で構成されているため、主流血統であるNorthern Dancerの強いクロスを持つ繁殖牝馬と相性がいい。母スターアイルはNorthern Dancer 4・4×3なので条件に合致している。本馬と同じ「マンハッタンカフェ×ロックオブジブラルタル」の組み合わせは現時点で4頭中3頭が勝ち上がっている。本馬は兄弟にGI馬を持つ良血馬だけに期待できそうだ。

レッドルチア(牝 美浦・鹿戸雄一 父ディープインパクト、母サセッティ)
 全兄レッドセインツは新潟2歳S(GIII)3着、同じく全兄レッドライジェルは青葉賞(GII)6着と、POG期間中に活躍している。また、半姉レッドセシリア(父ハーツクライ)は阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)3着。優れた資質をコンスタントに伝える母サセッティは、愛オークス(G1)を7馬身差で圧勝したWinonaの半妹にあたり、3代母My Bupersの一族からはハーツクライやミッキーアイルが出るなど、優れた活力を脈々と受け継ぐ名牝系に属している。母の父SelkirkはイギリスのマイルG1を勝ったスピードタイプ。2頭の全兄と同じく距離的には2000m前後が良さそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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