新馬戦の衝撃再び ダンビュライト早くもダービー試走/吉田竜作マル秘週報
◆東京の重賞を使う陣営は、日本ダービーを意識するもの
分かっちゃいるが、どうも記者はデータやジンクスのようなものにとらわれ、思いっ切り裏目に出るケースが、やたらと多い。過去の日本ダービー馬に「1月生まれ」が一頭もいなかったがために、マカヒキを本命にできなかったのが、その典型例だが…。記念すべき最初の海外馬券発売レースになった凱旋門賞でも、またやらかしてしまった。
これまで、凱旋門賞では未勝利だったガリレオ産駒。もちろん、今年の舞台がロンシャンではなく、シャンティイだったことくらいは知っている。しかし、「実際に勝ち馬が出るまでは…」とジンクスを重要視して買ったのは“ガリレオ産駒無視馬券"。結果はご存じガリレオ産駒のワンツースリーだったのだから、これ以上の“外しっぷり”があろうか。
ただ、これはこれで妙にすがすがしく、また予想の楽しみが一つ増えた感じ。マカヒキの結果に落胆した関係者も多かろうが、これからも海外に積極的に目を向けてほしい。
さて今週から開催が替わって、東京、京都に舞台を移す。と同時に秋の2歳重賞戦線も活発化。POGコラムとしては土曜(8日)のGIIIサウジアラビアロイヤルC(東京芝1600メートル)に触れないわけにはいくまい。
距離は違えど、来春の頂上決戦の場。地元の関東馬にとっては、まだそれほどの意識はなかろうが、使いに行く機会も限られる関西馬にとっては、やはり特別。東京の重賞を使う陣営は、少なからず日本ダービーを意識するものだ。ダンビュライトも、このサウジアラビアRCにエントリーして、来春のダービーへの布石を打つことになった。
管理する音無調教師は5馬身差の楽勝だった新馬戦を振り返り、「他馬の手綱が動いているところで、この馬はジッとしてられたからね。あれだけの競馬を見せられれば、そりゃあ〜楽しみだよ。末脚がはじける感じ。バネがいいよな」
能力の高さに疑いの余地なしとなれば、視線が先へと向くのがホースマンのさが。同キュウ舎には野路菊Sを勝ち、ひと足早く賞金を稼いだアメリカズカップもいる。2頭の使い分けをすでに相当意識しているようなのだ。
「アメリカズカップはゲートがもうひとつだったので練習させている。それに馬運車が苦手な馬だからね。あまり遠くに連れて行くのもどうかと思うんだ」
アメリカズカップの東上は、ある程度キャリアを積んでから…。対してダンビュライトには、その手の不安がないからこそ、今回の東上を決断できたのだろう。ちなみに音無調教師の頭の中には「続けて長距離輸送になるのもかわいそう。(暮れには)ホープフルSが中山であるが、その前に京都にも中距離のレースはあるからね」と(ダンビュライトは)サウジアラビアRC後には、GIII京都2歳S(11月26日=京都芝内2000メートル)が早くも視野に入っている。
音無キュウ舎の期待馬2頭は、果たして目指すべき同じ舞台にたどり着けるのか。まずは“ダービーへの試走”でダンビュライトが新馬戦の衝撃を再現できるかに注目だ。