デンコウアンジュは「立ち回りひとつ」で浮上も
今週のトレセンは10日の月曜日まで競馬開催があった影響で、追い切りが13日の木曜日に集中しました。秋華賞の最終追い切りも13日が大半でしたが、すでにトレセンニュースでもお伝えしたように、ジュエラーは12日にDPで最終追い切りを済ませています。その内容は桜花賞の最終追い切り時に似ており、前走時とは違います。あとは京都芝2000mという舞台設定がどうなのか。個人的にはそれだけです。
今回は秋華賞出走予定馬を取り上げていますが、ここに掲載することができなかった中では、美浦所属で栗東滞在しているフロンテアクイーン。栗東滞在には慣れている国枝栄厩舎だからこその安定感というか、牝馬なのに1頭で滞在するあたりがさすが。13日の最終追い切りは軽めでしたが、6Fからきっちり時計を出しており、3頭併せの真ん中としっかり負荷をかけられています。どうやら馬券的に魅力ある1頭になりそうです。

3頭併せの真ん中としっかり負荷をかけられているフロンテアクイーン(10月13日撮影)
【秋華賞/ヴィブロス】
春は小さくて使い減りする、そんなイメージが強い馬でしたが、前走は増えた体を減らすことなく中山競馬場への輸送をクリア。レースでも不利を受けながら、最後まで諦めずに走るという精神的な強さを見せてくれました。
中4週というレース間隔なら、もう少し追い切り本数が多くなる友道康夫厩舎ですが、さすがにそのあたりは馬体維持を念頭に置いているのでしょう。1週前追い切りではジュンヴァルカンに遅れたので、そのあたりの動きに不満でしたが、最終追い切りは福永祐一騎手が跨って、まっすぐ駆け上がってきたフォームがきれいで印象的。時計は4F54.0秒と地味ですが、心配することがないという点が強調できると思います。

まっすぐ駆け上がってきたフォームがきれいで印象的なヴィブロス(10月13日撮影)
【秋華賞/カイザーバル】
ローズS後も角居勝彦厩舎らしく、しっかりと追い切り本数を積み重ねており、本番へ向けての上昇度はさすが。10月2日の時点でラストインパクトに先着した坂路追い切りの動きを見ていると、あまり強い追い切りは必要ないのだろうといった感じ。最終追い切りは坂路とCW、どちらにするのだろうと思っていたら、朝一番に驚かされました。
それがCWでの単走の4F追い。カイザーバル自身、初めてのパターンですし、角居厩舎としても極めて珍しいパターン。坂路ではなく、3、4コーナーをしっかりコーナーリングさせるという内容は秋華賞には適していると思われます。この最終追いなら、母が現役時代に4着に敗れたこのレースで、娘がリベンジするというシーンがあっても不思議ではありません。
【秋華賞/クロコスミア】
なんとか400キロ台をキープしていた春シーズンから、夏の休みを挟んで、前走が414キロの馬体重。小さいながらに成長した姿を見せたのが、前走のレース内容といったところでしょう。栗東坂路での追い切り時計は遅かったものの、札幌競馬場ダートコースでしっかり時計を出していたので、休み明けとはいえ、他よりも動ける態勢だったことは間違いありません。
この中間は遅めの時計。最終追い切りも単走で、軽く流すといった感じでラスト1F13.0秒。前走時も全体時計は遅いものの、ラスト1Fは12.3秒と伸ばしていただけに、その点の比較からすれば、前走からの上積みというのは少々疑問もあります。ただ、調教馬場へ向かう時に撮影しましたが、その様子を見ても落ち着いている雰囲気があっただけに精神的な成長も見逃すことができません。

精神的な成長も見逃すことができないクロコスミア(10月13日撮影)
【秋華賞/レッドアヴァンセ】
春シーズンはチューリップ賞で大きく体が減ってしまったことで、その後の調整に苦労。そんな中でもオークスで勝ち馬から0.4秒差のレースをするなど、素質の高さは示してきた馬。馬体が成長して帰厩した秋は期待していましたが、ローズSが個人的には期待外れの8着。いくら京都競馬場がいいタイプとはいえ、あまりにも負けすぎた前走が気になります。
しかし、この中間は馬体の心配をすることなく調教を開始できており、最終追い切りもきっちり併せ馬でアードラーに先着。1F目から2F目にちぐはぐになったラップですが、ラスト1Fが最速になるラップで駆け上がれていますし、やはり前走だけで見限ってしまうわけにはいかないのでしょうね。
【秋華賞/デンコウアンジュ】
アルテミスSで重賞勝ちして以降、常に重賞を使って、1着馬からは1.0秒差以内のレースばかり。地味に堅実なタイプですが、休み明けの前走は私の想像以上にしっかり走ったという感じ。なにせ1年前の未勝利勝ちの時はかなりお行儀の悪いレースで勝っていただけに、右回りでもこれだけしっかり走れるんだという感じ。
この中間はしっかりと追い切りを重ねており、1週前追い切りはCWで相手は格下ですが、併せ馬にきっちり先着。最終追い切りはDPで単走、全体時計は速くありませんが、時計の出方はアルテミスS時にそっくりです。立ち回りひとつで勝ち負けに加わっても不思議ない能力と現在の状態といった感じがします。

立ち回りひとつで勝ち負けに加わっても不思議ないデンコウアンジュ(10月13日撮影)
◆次走要注意
・10/9 毎日王冠【ステファノス】(2人/5着)
ウマい馬券でも◎を打って、その理由説明もしましたが、今年の状態は昨年以上だったと思います。ただ、内枠が災いして、結局外へ出すことができないままのレース。それでも最後は5着ですから、地力と状態は昨年以上。
このダメージさえなければ、今年の天皇賞秋でも好走は必至。あとは調教内容だけでしょう。
[メモ登録用コメント] [天皇賞秋]追い切り本数多い併用系統で出走すれば勝ち負け
・10/10 京都大賞典【サウンズオブアース】(3人/4着)
8キロ増の馬体重は想定の範囲内。ただ、このレースに向けての追い切り内容は昨年時ほどではなかったので、無印にしていました。
それでもゴール前は素晴らしい伸びを見せて、メンバー中2位の上がり33.1秒。この舞台設定がよいことは間違いないと思いますが、このひと叩きで上昇してくるのは間違いないでしょう。
[メモ登録用コメント] [芝2400m]トラックのダブル最速に該当すれば勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・2歳新馬【フィールドステイ】
ブエナビスタの初仔、クラレントやレッドアリオンの妹など、良血馬が揃った新馬戦ですが、追い切りの動きだけならこの馬。13日もエイシンアロンジーを相手にきっちり先着するあたり、センスの良さを感じます。
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