11月11日、大井「ハイセイコー記念」。断然の1番人気(単1.1倍)エスプリフェザントが、あろうことか殿り負けを喫してしまった。スタート直後、前へ大きくノメり、その時点で心身とも致命的なダメージ。向正面いったん2番手まで追い上げたものの、3コーナー過ぎからズルズル後退。直線入口ではすでに戦意を失っていた。
「ゲートを出た一瞬、両膝をつくほどつまずいた。右脚がしびれてしまったような感じ。道中手前が変えられず、正直完走がやっとでした…」(久保勇騎手)。いずれにせよ、能力以前、初コース以前の負け方で、ひとことアンラッキーというしかない。それより何より、脚元が無事だったかどうかが大きな心配。次走「全日本2歳優駿」へのステップは当然ながら白紙になった。ただ、デビュー戦、鎌倉記念ともゲートの出はあまりよくなかった馬。仮に軽症だとしても、今後その解消は課題になる。
ハイセイコー記念(2歳 定量 南関東G2 1600m良)
▲(1)トウケイファイヤー (54・有年) 1分40秒7
(2)ハリケーンストーム (54・内田博) 2
△(3)ガイアヘッド (54・的場文) 3/4
○(4)ジルハー (54・今野) 頭
△(5)アスリートフェア (54・石崎隆) 鼻
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◎エスプリフェザント (54・久保勇)
単960円 馬複9,710円 馬単23,190円
3連複12,270円 3連単164,860円
ただし勝ち馬トウケイファイヤーに関しては、レースぶり、時計とも出色で、相手の失態を別に立派なスター誕生と断言できる。1000m通過60秒8のハイペースをセーブしながら2番手、直線GOサインと同時に力強く抜け切った。1分40秒7は過去20年に遡ってNo.1。軽い馬場にせよ、この時季2歳馬としては文句ない。デビュー6戦目、じりじり馬体重が増え続け今回513キロ。タフで健康、キャリアを重ねるたびに強くなり、とにかく成長力が頼もしい。
父スキャンはダートの名種牡馬としてすでに評価が定着している。産駒の適性は多様だが、同馬自身はタマモストロングあたりと似た馬力型か。スピード、時計の裏付けができた以上、優先出走権を得た「全日本2歳優駿」、さらに来春クラシックでも期待が大きい。鞍上・有年淳騎手はデビュー3年目の若手有望株。所属する矢作和人厩舎、ここでこういう駿馬にめぐりあったのは、一種運命的なチャンスでもある。
2着ハリケーンストームは後方待機から直線大外を一気の伸び。鞍上の腕に加え、前が崩れる展開の利があった。それでも高速馬場に対応、飛躍的に時計を詰めたあたり、素質と上昇度は評価できる。母ノビアボニータ、祖母ワールドハヤブサ、JRAの古い良血。元来この系統は大半が追い込み馬。瞬発力と勝負根性が素晴らしい。
ガイアヘッドはエスプリフェザントの出遅れ、そして軽い馬場の恩恵をそのまま生かした。これから距離延長、競り合ってどう踏ん張れるかがテーマだろう。ジルハー、アスリートフェアは、ともに直線だけの競馬に徹し、ゴール際はよく伸びた。しぶとさは前者、爆発力は後者。ともあれこの2頭、1600m1分41秒2で走ったとなると進境はもちろん大きい。現南関東の2歳馬全体、当初のイメージ以上にハイレベルなのかもしれない。
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京成盃グランドマイラーズ(3歳以上別定 南関東G3 1800m)
にぎやかなメンバーになった。まず先行グループ、ロッキーアピール(さきたま杯)、トミケンマイルズ(サンタアニタトロフィー)、ベルモントソレイユ(テレビ埼玉杯)、それぞれ実績と格があり、同時に追い込みグループ、イシノファミリー(グランプリCなど重賞3勝)、ジェネスアリダー(東京ダービー2着)、アイディンワンダー(大井記念2着)にも、それに負けない能力と個性がある。加えて3歳の雄キョウエイプライドが参戦――。人気は相当割れるだろう。ある程度絞って3連単など的中できれば、それこそ大きな征服感に浸れるのだが。
◎イシノファミリー (56・山田信)
○チョウサンタイガー (52・酒井)
▲キョウエイプライド (56・的場文)
△トミケンマイルズ (56・張田)
△アイディンワンダー (56・桑島)
△ジェネスアリダー (56・石崎駿)
△ゴシップコラム (52・内田博)
ロッキーアピール (52・今野)
ベルモントソレイユ (56・御神本)
ユニークステータス (54・石崎隆)
イシノファミリーを狙った。冒頭にあげた強力先行3頭を、さらに韋駄天ユニークステータスが引っ張る展開。鞍上石崎隆だからストレートな競り合いにもなるまいが、それでも厳しい流れは避けられない。イシノファミリーは1600〜1800mの重賞3勝。それもことごとく船橋コース、ハイペースという状況で抜群の切れ味をみせてきた。今秋2戦、軽い相手のオープンを3、4着と取りこぼしたが、ここはズバリ駆けごろであり勝負がかり。痛快な追い込みを期待する。
チョウサンタイガーは父アジュディケーティング、瞬発力と器用さを兼備した上昇馬。軽量52キロも大きな魅力で、相手本線に考えた。キョウエイプライドはアジュディミツオーを黒潮盃で差し切った比較から単穴以下に落とせない。ただ今回3ヵ月半ぶり、目標が先にあること(おそらく東京大賞典)。純粋なスピード勝負は不安があること。馬券的には微妙な位置にいるだろう。先行馬では自在性とホームの利でトミケンマイルズ1頭だけを残してみた。思惑通りの乱戦なら、多少距離不足でもアイディンワンダー、ジェネスアリダー。