先週のJBCクラシック、そしてレディスクラシックでそれぞれ2着だったホッコータルマエとレッツゴードンキの様子を見てきました。
トレセンでよく聞く話のひとつに「1着をとった馬より2着に敗れた馬のほうがレースで疲れている」というものがあります。必ずしもそうとは限らないですし、もちろん馬次第で状態は変わりますが、実際激戦を走り終えた馬たちを見ていても、そのような傾向は感じますね。勝った馬はいちばん速く走っているのですから当然疲労はあるのですが、何らかの自分なりの走りをし終えての勝利ではあります。
一方で2着馬は最後まで誰かしらを追いかける体勢を続けたのに追いつけなかったわけですから、当然最後の最後まで全力を出し尽くしているわけです。もちろん人間の主観も多少はあるでしょうから、負けた馬は疲れているように見える、というのもあるでしょうが。まぁ、実際に厩舎で馬たちを見ていると、2着馬のほうが疲労困憊な様子なのです。
ところが。今回、この2頭を取材したところ、思ったより疲労が残っていなかった!心配していたので、何よりでした。
その要因として、ホッコータルマエは本来叩き良化型ですし“走れる体”で出走できたことが大きかったようです。まだ、終わっていなかったのですよ、タルマエは。
「レースの前も後もコンディションはいいですね。次走が楽しみです」と相良助手。引退まであと2戦となりましたが、これだけ走れるなら最後にもうひと花咲かせて欲しいものです。
レッツゴードンキは初ダートなのでどうなることかと思っていましたが、不慣れながらもしっかりこなしてきたようです。担当の寺田助手によれば、これまでとは違う風景にキョロキョロと物見をしていたそうです。
「初ダートの馬には多いのですが、スタート直後の第一歩目は滑っていたそうです。いつも芝を走る感覚で踏み出したのでしょう。それでも、すぐに慣れてきてあれだけ走ってくれました。よく頑張ってくれました」(寺田助手)
血統的背景があるとはいえ、緒戦であれだけやれたのは大収穫でしたね。そして、彼女も想像より疲れていなかったのです。
「スムーズな競馬が出来たこともあり、スプリンターズSの時より回復は早かったですよ」(寺田助手)
ドンキは凛とした美人さんですが、それでも疲れているときはそれが顔に出ますからね…。この美しい顔が状態のいい何よりの証拠でしょう。ほんとよかった。
次走は未定ですが、芝ダートともにあれだけやれることがわかり、選択肢の幅が一気に広がりました。次走も自分らしい競馬で頑張ってほしい。そのために今は鋭気を養うときですね~。引き続き、期待していますよ!
今週のオーロCではボールライトニングが復活します。右前第一指骨の剥離骨折に加えて中スジを痛めたため、半年の休養に入っていました。骨折だけなら、まぁ骨がくっつけば治りますが、中スジはやっかいですからね…。いわきの馬の温泉で療養したあと、いったん栗東に戻ってきました。
「もう少し時間がかかるようなら無理せず放牧に出すプランもありましたが、状態がよかったのでそのままレースを目指すことにしたんです。装蹄師さんが脚元に負担の少ないように工夫して打ってくれている効果もあり、とても順調に復帰にこぎつけることができました」(宮本師)
かつて京王杯2歳Sを勝った時と同じ舞台。東京での復帰となりますね。
「前半はせかさずに自分のペースを保ち、直線に賭けたいと思っているんですよ。久しぶりですが、自分らしい競馬をしてほしいですね」(宮本師)
ホッコータルマエもレッツゴードンキも“自分らしい競馬”が出来たことで激戦だったにもかかわらず想定より疲労が残らず、さらに次に繋がる状態でトレセンに戻ってくることができました。ボールライトニングも同じく、自分らしい競馬をして、次は再び重賞にチャレンジ、そして勝利の美酒を味わってほしいものです。