こんにちは!南関東競馬では引き続き中央卒業生の姿が多く見られます。重賞レースやオープンレースには、新入りが多々出走していて、この傾向はこれからも続いていくことでしょう。中央競馬ファンの皆さんも、南関東をはじめ地方競馬全体を見渡すと、懐かしい面々に出会えると思います。
タイムズアロー、2つ目の重賞勝ち
そんな中、栗東の松田博資厩舎から昨年6月に移籍初戦を迎えたタイムズアロー(船橋・川島正一厩舎)は、すっかり南関東ベテランの域?!今年2月の報知グランプリカップで待望の重賞初制覇を挙げたことはお伝えしましたが、再びうれしい出来事がありました。
10月19日に浦和競馬場で行われた重賞・埼玉新聞栄冠賞(1900m)で、2つ目のタイトルを奪取。主戦だった真島大輔騎手が骨折した箇所のボルトを取るためにお休みしていたため、調教パートナーの西村栄喜騎手が2度目のコンビを組みました。タイムズアローの癖を把握し、かしわ記念(6着)でも好騎乗だったことから抜擢された形。
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タイムズアローの埼玉新聞栄冠賞でのシーン
道中は4番手から進め2周目の3〜4コーナーで進出し、最後の直線では抜群の手応えも、追い出しを我慢してからGOサインを出して、2着馬に1馬身半差をつける完勝でした。調教でもレースでも非常に乗り難しい馬としても知られていて、普段から馬を抜くとやめてしまう癖があるので、この馬のことを熟知しているからこその西村騎手の好騎乗も光りました。
西村騎手が根気強く調教で教えてきたことは
以前のコラムに書かせて頂きました。
「逃げると気分を害する馬なので、自分のペースで走って、気分を損ねないように気をつけました。最後までソラは使わないで、気分よく走ってくれましたね。前は自分勝手にカーッといくところもあったんですが、馬が素直になってきたので、レースで真島騎手が教えてくれていたんだと思います」(西村騎手)
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タイムズアローの埼玉新聞栄冠賞でのシーン
荒尾魂の西村栄喜騎手は南関東の重賞初制覇。「荒尾で教えてもらったことを貫き通したい」
西村騎手は荒尾競馬出身で、2011年12月に荒尾競馬場が廃止すると、船橋競馬場へ移籍しました。気性の難しい馬を御すことになどにも定評があり、多くの関係者から信頼を集めています。荒尾時代からそういう馬たちにたくさん乗って走りを教えてきたことから、当時の経験が生きていると日頃から言っている西村騎手。
西村騎手は南関東の重賞初制覇で、重賞自体は2009年に釜山での修行中、韓国の皐月賞に相当するKRAカップマイルを優勝して以来となる、約7年ぶりの勝利でした。
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タイムズアローの埼玉新聞栄冠賞でのシーン
たくさんの人たちが胸を打ったゴール直後の西村騎手のガッツポーズ。廃止した競馬場からやって来て、南関東ではレースに騎乗する機会が多くない中でも、縁の下の力持ちとしてたくさんの馬を調教で支え続けて苦労してきた姿を見てきたからこそ、多くの関係者が検量前に集まり、西村騎手に祝福の言葉をかけていました。
「騎乗数が少なくて悩んだ時期もありましたが、それでも応援してくれる人もいたので頑張ることができました。一生懸命やっていればチャンスは巡ってくると、それが今日みたいな形で返ってきたことはうれしいです。荒尾から移籍しても、頑張っていればこういう結果も出るんだと、これからも荒尾で教えてもらったことを貫き通して頑張っていきたいです」(西村騎手)
西村騎手は41歳、当面の目標は1000勝を達成することだそうです(11月14日現在969勝)。
「またチャンスがあれば重賞にも乗せて頂いて勝ちたいですし、今乗せて頂いている馬たちをひとつでも上の着順に持ってこれるように努力したいです」(西村騎手)
タイムズアロー、次走は報知オールスターカップを予定
さて、現在のタイムズアローは、千葉県市原市大東牧場内のセグチレーシングステーブルへリフレッシュ放牧に出ていて、次走は来年1月3日の重賞・報知オールスターカップ(川崎2100m)を予定しているそうです(厩舎にもうすぐ帰ってくるそう)。8歳最後のレースを無事に走り終えて、次にレースで会うのは9歳になったとき。まだまだ馬は若いと関係者は言っていて、今後もどんな走りを魅せていくのか楽しみにしたいと思います。