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2歳ダート王決定戦「全日本2歳優駿」を占う最重要レース/兵庫ジュニアグランプリ

  • 2016年11月22日(火) 18時01分

過去の勝ち馬にはラブミーチャンやスーニも


 11月23日(祝・水)、園田競馬場のダート1400mで行われる2歳重賞『第18回兵庫ジュニアグランプリ』。1999年にJpnIIIレースとして創設され、暮れのJpnI・全日本2歳優駿に向けての前哨戦として位置付けられました。その重要度の高さから2007年にはJpnIIに格上げされています。

 ここで、このレースの出走馬たちがどれぐらい全日本2歳優駿で活躍しているのか、確認してみましょう。

 まず兵庫ジュニアグランプリを勝ち、そのまま全日本2歳優駿も制覇したのは昨年2015年のサウンドスカイを始め、2009年のラブミーチャン、2008年のスーニ、2004年のプライドキムの4頭。現在休養中のサウンドスカイ以外は、古馬になっても重賞を制するなど大活躍した馬たちです。

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▲昨年の勝ち馬サウンドスカイは、続けて全日本2歳優駿も制覇(写真は全日本2歳優駿優勝時、撮影:高橋正和)


 兵庫ジュニアグランプリで2着だった馬にも注目すると、2012年に2着だったアップトゥデイトは全日本2歳優駿では3着。その後4歳秋に障害戦に転向し、2015年中山グランドジャンプ、中山大障害を制するという異色の経歴の持ち主。

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▲2012年の2着馬アップトゥデイトは、2015年の障害GIを連覇するという異例の活躍(写真は中山グランドジャンプ優勝時、撮影:下野雄規)


 2010年1着のリアライズノユメは全日本2歳優駿では2着。2009年ラブミーチャンの2着だったアースサウンドは全日本2歳優駿では3着。2005年の1着モエレソーブラッズは全日本2歳優駿では3着。2003年2着だったアドマイヤホープは全日本2歳優駿で巻き返して1着。2002年の1着エースインザレースは全日本2歳優駿で2着。

 このように兵庫ジュニアグランプリで連対した馬たちは全日本2歳優駿でも上位に来ることが多く、ダート2歳重賞の集大成、JpnI・全日本2歳優駿に向けて最重要レースと言っていいでしょう。

大人気“ネコ一族”のネコワールドも参戦


 さあ、それでは今年のメンバーをご紹介していきましょう。

 JRAからは5頭。その中でも人気を集めそうなのがデビュー以来芝路線を歩み、3戦2勝のアズールムーン。父Malibu Moonはアメリカ血統で、日本では2011年の全日本2歳優駿を制したオーブルチェフを輩出。半姉は2014年の関東オークス馬・エスメラルディーナ。今回が初めてのダート戦となりますが、血統的に芝以上の力を発揮できそう。

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▲現在3戦2勝のアズールムーン、初のダート戦でどんな走りを見せるのか(写真は前走・りんどう賞優勝時、(C)netkeiba.com)


 ネコワールドはデビュー2戦目で芝の重賞・函館2歳Sに挑戦して10着でしたが、ダートでは2戦2勝の負け知らず。逃げ切った前走・ヤマボウシ賞(阪神・ダート1400m・2歳500万下)に引き続き武豊騎手とのコンビも心強い材料。

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▲大人気“ネコ一族”のネコワールド、前走に続き武豊騎手とのコンビ(写真は前走・ヤマボウシ賞優勝時、(C)netkeiba.com)


 9月の阪神・新馬戦で鮮やかに逃げ切ったゲキリン。2戦目の前走・なでしこ賞(京都・ダート1400m・2歳500万下)はスタート地点が芝で出足が悪く、砂を被って自分のレースが出来ませんでしたが、それでも押し上げて2着を確保。まだ見限るには早い素質馬。気分よく前に行ければあっさりと勝利の可能性十分。

 ハングリーベンはヤマボウシ賞で、逃げたネコワールドにゴール前で詰め寄ってハナ差2着。前走・なでしこ賞では外枠から好位につけ、直線の追い比べから抜け出して2着ゲキリンと1馬身3/4差でゴール。5戦2勝[2-1-1-1]で大敗したのはデビュー戦の芝のレースだけ。ダートでは常に馬券圏内の安定した走りを見せています。ちなみに昨年のサウンドスカイも前走・なでしこ賞からこのレースを制しています。

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▲昨年の勝ち馬サウンドスカイと同じステップで参戦するハングリーベン(写真は前走・なでしこ賞優勝時、(C)netkeiba.com)


 リンクスゼロは今回が初ダート。逃げて快勝した前走・ダリア賞(新潟・芝1400m・OP)のような脚をダートでも使うことができれば怖い存在。

 地方馬からはまず北海道勢。先日今年のシーズンを終えたホッカイドウ競馬で125勝を挙げ、シーズン最多勝利記録を更新し、調教師部門のリーディングに輝いた田中淳司調教師。その田中淳司厩舎から2頭が遠征。バリスコアは6戦4勝2着2回で連対率100%。父は2006年に全日本2歳優駿を制しているフリオーソ。相手強化の一戦となりますが、楽しみな1頭。

 田中淳司厩舎のもう1頭もダート戦で大崩れしていないローズジュレップ。今回は鞍上に川原正一騎手を迎え、地元を知り尽くした名手がどんなレースを見せてくれるかにも注目(川原正一騎手はケイティブレイブで5月の兵庫チャンピオンシップも制しています)。

 浦和からの遠征馬は小久保智厩舎のキャプテンロビン。重賞・鎌倉記念(7着)以外では連対を外していない好走馬。こちらも地元の田中学騎手が騎乗。小久保厩舎と田中学騎手のコンビは2014年ジャジャウマナラシで兵庫ジュニアグランプリを制しています。一昨年の再現なるか楽しみです。

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▲浦和からの遠征馬キャプテンロビン、小久保厩舎と田中学騎手のコンビにも注目(写真は鎌倉記念出走時、撮影:武田明彦)


 キングレイジングはホッカイドウ競馬でデビューしたのち笠松へ移籍し2連勝。前走初めて馬券圏外に敗れたもののここまで8戦2勝[2-3-2-1]。

 地元勢では兵庫若駒賞を制したナチュラリー。今回のメンバーでどこまで戦えるかも、今後の地元のレースを見据える上で大事な一戦。

 全日本2歳優駿に向けてはもちろん、来年各地で行われるクラシック戦線へも繋がっていく若駒たちの戦い『第18回兵庫ジュニアグランプリ』。今年も層の厚い好メンバーが揃いました。当日23日(水)は5年ぶりの祝日開催。お近くの方はぜひ園田競馬場に足をお運びください。

※次回の更新は12月6日(火)の18時。船橋競馬場で行われる「クイーン賞」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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