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芝中距離向きの高い資質を秘めるヤマニンペダラーダ

  • 2016年11月23日(水) 12時00分
バリオラージュ(牡 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母ファーストバイオリン)
 母がアメリカ時代に産んだDominican(父El Corredor)はブルーグラスS(米G1・ダ9f)の勝ち馬。日本で誕生した4分の3兄サウンズオブアース(父ネオユニヴァース)は菊花賞(GI)と有馬記念(GI)で2着となるなど重賞で活躍している。母の父Dixieland Bandは現役時代にアメリカでG2を勝った程度で、当初は種牡馬としてもそれほど期待された存在ではなかったが、アスコットゴールドC(英G1・芝20f)2連覇のドラムタップスを皮切りにコンスタントに活躍馬を送り出し、やがて名種牡馬と評価されるに至った。母の父としてはさらに優秀で、04年に米リーディングブルードメアサイアー(母の父ランキング首位)に輝いている。「ディープインパクト×Dixieland Band」はバーバラ(15年セントウルS-GII・3着)がおり、同馬は2代母の父Mr.Prospectorの影響でスピードタイプに出たが、本馬は重厚なHoist the Flagが入る血統構成からも中長距離で本領を発揮するだろう。

ヤマニンペダラーダ(牡 栗東・浅見秀一 父ディープインパクト、母ヤマニンエマイユ)
 現1000万下のヤマニンマンドール(父ストーミングホーム)の半弟。母ヤマニンエマイユはフィリーズレビュー(GII)で5着となるなど重賞の常連だった。母方にダンシングブレーヴが入るディープ産駒は成功しており、とくに「ディープ×ホワイトマズル」は少ないサンプルからスマートレイアー(重賞3勝)、ミッキーグローリー(現5戦2勝)などが出ている。「父ディープインパクト、2代母の父トニービン」というパターンもハープスターを筆頭に成功しており、芝連対率は39.5%と優秀。また、母にDanzigを経由したNorthern Dancerのクロスを持つパターンもいい。半兄ヤマニンマンドールはシンザン記念(GIII)7着馬。芝中距離向きの高い資質を秘めていると思われる。

ブロードアリュール(牡 美浦・尾関知人 父ゴールドアリュール、母ブロードアピール)
 母ブロードアピールは驚異的な追い込みを武器に、ガーネットS(GIII)、根岸S(GIII)など6つの重賞を制覇した。繁殖牝馬としてはアドマイヤシャイ(父キンシャサノキセキ/1600万下)、ブロードソード(父ダイワメジャー/1600万下)、カイゼリン(父アドマイヤベガ/08年フローラS-GII・6着)、ミスアンコール(父キングカメハメハ/テンダリーヴォイスの母)などを産んでいる。パワーが持ち味なので、現役種牡馬のなかでナンバーワンのダート実績を誇るゴールドアリュールとの交配は期待できそうだ。ダート向きのマイラー。

タガノカトレア(牝 栗東・岡田稲男 父エンパイアメーカー、母タガノチャーリーズ)
 母タガノチャーリーズはフェアリーS(GIII)3着馬だが、本質的にはダート向きで、不良馬場のアクアラインS(準OP・中山ダ1200m)を勝った際は、1分09秒7という破格の時計で後続を寄せ付けず圧勝した。繁殖牝馬としても成功しており、本馬の半兄タガノジンガロはかきつばた記念(JpnIII)の勝ち馬、半兄タガノロックオン(父ロックオブジブラルタル)はジャパンダートダービー(JpnI)3着、半姉タガノクリスエス(父シンボリクリスエス)はアンタレスS(GIII)6着、半兄タガノブリガデイロ(父シンボリクリスエス)は兵庫ゴールドトロフィー(JpnIII)4着、半姉タガノジョイナー(父キングカメハメハ)とタガノバラード(父ブライアンズタイム)はいずれも1000万条件と、外れなくコンスタントに走っている。全兄タガノジーニアスは中央未勝利に終わったが、配合的にとくに悪いとこはなく、馬のデキさえ良ければ走ってくるはずだ。パワー型のマイラー。

ラグナアズーラ(牝 美浦・武市康男 父ハーツクライ、母シルキーラグーン)
 4分の3兄ゼーヴィント(父ディープインパクト)はラジオNIKKEI賞(GIII)を勝ったほか、セントライト記念(GII)と福島記念(GIII)で2着となっている。「ハーツクライ×ブライアンズタイム」はマジックタイム(16年ダービー卿CT-GIII)と同じ。母シルキーラグーンはスプリンターズS(GI)5着馬で、2代母アサーティブプリンセスはナリタブライアン(年度代表馬)とビワハヤヒデ(年度代表馬)を産んだ名牝パシフィカスの半妹にあたる。母とその兄弟までは、Dayjur(全欧チャンピンスプリンター)の影響で短距離専門といった趣があったが、兄ゼーヴィントがそうであるように、代がひとつ進んだことで距離の限界が大幅に伸びた。本馬の父ハーツクライはスタミナがあり距離的には万能。1600〜2000mで手堅く活躍できるはず。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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