【ジャパンC】
あまりレベルは高くない。日本馬の上位独占が予測される年ほど、案外、外国馬の台頭があったりする。それも人気薄の、格下の…。
また、今年はコスモバルクが逃げない(欧州の騎手は歴史的に、オーナーサイドの指示は99%守る)となると、マグナーテン、トーセンダンディなどの先行ではスロー必至。スローペースは外国馬に有利。特にヨーロッパ勢はいつものレースと同じだからだ。
だが、この東京でスローの公算大となると、後半46.0-34.0秒ぐらいの上がりになって不思議ない。高速の上がりは超A級馬にとっては望むところにもなるが、並みのオープン馬(今年の欧州勢)では対応できない。結局、断然、日本馬有利だろう。それもスローペースでこそ、切れ味の活きるシャープな馬だ。
3歳ハイアーゲームが浮上する。この馬、東京向きであることはもう知られるが、それもスローペース向きでもある。春のセントポーリア賞ではなだめて進み、一気に差し切ったこの馬の上がりは33.0-10.5秒だった。
ゼンノロブロイとの比較で出てくる青葉賞2400mでは、上がり45.7-33.7-11.4秒の切れで2分24秒1だった。ゼンノロブロイの03年は2分26秒3。上がりはロブロイも34.1秒だったが、こと鋭さでは明らかにハイアーゲームが上回っている。馬場(芝)差は03年も04年もほとんどなかった。
ハイアーゲームが上がり33.7秒で楽々と外に寄れつつ抜け出したのを、M.デムーロはスウィフトカレント(日曜東京8Rに出走)に乗っていて、一旦先頭に立ったから良く見て知っている。
この秋、オールカマーは明らかに体調一歩、菊花賞は厳しいペース(ダービーと同じで、ハイアーゲームはきつい流れはダメ)で、持ち味不発。というより、まともなレースをしていない。結果として、ここが体調ピークに近くなった。日本馬で他に切れ味というなら、ハーツクライ、ナリタセンチュリー、ゼンノロブロイ。この3頭を本線にする。
【ジャパンCダート】
米のトータルインパクトは、昨年のフリートストリートダンサーよりランクは断然上。対戦して完封している、というのは有力なポイントであると同時に、実は少し危険。
各国の芝状態や、レースの流儀は大きく異なるが、ダート(砂)はもっと異なり、アメリカの平均的なダートコースは、日本の一般的なダートとは大きく異なっている。
01年のリドパレスは、昨年のフリートストリートダンサーよりずっとランク上位で、人気になっていたが、デキうんぬんではなく、まるで自分のストライドで先行できなかった。
ただトータルインパクトには、アメリカのダートだけでなく、ドバイでも好走したり、出発のチリのダートでも快走の記録があり、24日の東京ダート追い切りを見ても、日本の東京ダートに対する高い適性をうかがわせた。
BCクラシックには、父の種牡馬登録がないから、出走の意志はなく、また7月のハリウッドゴールドC(米G1)を制しているから、規定によってジャパンCダートには、1着賞金のほかに、1億円を超すボーナスもある。本気度もAランクだ。
少なくとも、昨年のフリートストリートダンサー級のレースは可能だろう。アドマイヤドン逆転は十分ある。今年こそのアドマイヤドンは、これ以上は体が減らないことがポイント。
怖いのは、前々走、アドマイヤドンに乗って取りこぼし、一部で「追えない…」などと言われ、安藤勝己騎手のお手馬に近いタイムパラドックスに騎乗する武豊騎手だろう。行く馬が揃って流れは速くなる。掛かり気味にもなるタイムパラドックスを、思い切ってタメ、直線一気に出そうな形も予想される。サクラローレルの一族で、本当はスタミナ十分。大逆転ならタイムパラドックスだろう。