今年最後、12月の「キシュトーークU25」は、6年目の杉原誠人騎手です。エリザベス女王杯でGI初挑戦、所属の名門・藤沢和雄厩舎のこと、現状の成績についてなど、様々なことをお聞きしました。来年が正念場だという杉原騎手。彼の熱い思いをお届けします!
(取材・文/大薮喬介)
プロレタリアトと共に重賞を獲りたい!
――エリザベス女王杯でGI初騎乗でしたが、その週はどのような気持ちで過ごしたのですか?
杉原 ワクワクしていました。あとは、いつも気をつけていることですが、ケガや風邪を引かないように意識していましたね。やっぱり、いつもと違って、気が張っている状態でした。ガチガチになっているわけではなく、いい意味での緊張感はありましたね。
――初のGIの舞台だったわけですが、パドックや返し馬など、雰囲気はいかがでした?
杉原 パドックではたくさんのファンの方々がいましたし、そのパドックの中でオーナーとお話をしたりと、いい経験をさせていただきました。返し馬もGI独特の雰囲気でしたので、ゾクゾクしましたね(笑)。自分が想像していたものと、実際に感じたものはやはり違いました。輪乗り時のジョッキーたちのピリッとした緊張感もそうですし、僕自身も緊張するかと思っていたのですが、案外緊張しなくて、パドックや返し馬ではレースへ向けて集中できていました。言葉で説明するのは難しいですが、やっぱり普段のレースとは違いましたね。ターフの中でファンファーレを聞いた時は、大観衆の前で競馬ができるんだなと思いましたし、すごく嬉しかったです。
――それは騎乗したジョッキーでしか経験できないことですもんね。プロレタリアトの状態はいかがでしたか?
杉原 小島(茂之)先生もおっしゃっていたことなんですが、前走の古都Sを勝った時は正直、最高潮とまではいかない状態だったんです。その上積みが見込める状態で勝ってくれたので、次回はいいだろうなと思っていたんですが、実際すごく良くなっていて。返し馬でも、これならいい勝負ができると感じました。
最高潮とまではいかない状態で勝利した古都S(C)netkeiba.com
――プロレタリアトは、2200〜2600mを中心にレースを使われていますよね。
杉原 乗りやすい馬ですし、スタミナも持久力もある馬なので、長い距離は持ち味が生きますよね。ただ、反応が鈍い馬なんです。それで古都Sではブリンカーを初めて装着したんですが、効果があったのか勝負所での反応がすごく良くなりました。
――唯一の欠点が改善されたわけですね。
杉原 ええ。馬自身はいいモノを持っていたんですが、反応しきれない部分がありましたから。それが古都Sでは少しの合図ですぐに反応してくれたので、“これならオープン以上でも”と思いましたね。
――エリザベス女王杯に行くことを進言したと聞きました。
杉原 いやいや、進言とまでは(苦笑)。次走について、先生に聞かれた時に“エリザベス女王杯もありますよね。舞台もピッタリだと思うんですけど…”という感じで、ひとつの案としてお話させていただきました。
――実際のレースは残念ながら14着でしたね。
杉原 1コーナーの不利が痛かったというか、あれで馬がビックリして集中できなくなったのかなと。レースが終わってからも、走り切れていないと感じましたから。
――向正面に入る時に、手綱を左側に引っ張る仕草を見せていましたが、馬に何かあったのですか?
杉原 あぁ、あれは何かあったわけではないです。手前を替えるのが上手ではないので、わりとアクションを大きくしてあげないとダメなんですよね。ここ最近はスムーズに手前を替えられていたんですけど、あの時は手前を替えなくて…。
――やはり、それは不利の影響ですか?
杉原 う〜ん、どうですかね。
――直線では前との差が拡がっているわけではないし、失速していなかったように観えました。
杉原 止まっているわけではないんですが、この馬本来の脚を使っていないという感じでしたね。スムーズなら結果はもう少し違っていたかもしれませんが、こういったことも含めてのレースですので。結果が出た以上、“タラレバ”は言いたくはないです。
――力を発揮しなかった分、まだ底を見せていませんよね。
杉原 もちろんです! 今は厩舎にいなくて、おそらく年明け以降からの始動になると思いますが、重賞を獲れる馬だと思いますし、獲りたいです!
(次回へつづく)
重賞を獲れる馬だと思いますし、獲りたいです!