ムーアに「She win」と言わしめたタッチングスピーチ本領発揮なるか/トレセン発秘話
◆ポツリと漏らす言葉により重みを感じる
ライアン・ムーアにとって、今シーズンの短期免許最後のレースとなったのが先週日曜の中京12R鳴海特別。キタサンサジンをきっちり勝たせた名手に対して、管理する梅田調教師はこう振ったのだという。「この馬のオーナー(北島三郎)は今、日本で一番勢いのあるオーナーなんだよ」。それに対するムーアの返しが「じゃあ、なかなか馬に乗せてもらえないね」。思わずトレーナーは「そんなわけないやん」と笑ってしまったとか。
これがムーア一流のジョークだったのかは不明だが…。普段は寡黙と言われる男だからこそ、ポツリと漏らす言葉により重みを感じる。
今年のエリザベス女王杯でタッチングスピーチに騎乗したムーア。返し馬を終え、レース直前、ゲート前で輪乗りしていたところへ、担当の桑村助手が駆け寄った際、タッチングスピーチを指さしてこう言ったそうだ。
「She win」
「あれはシビれたな。レース前にあんなこと言う人いないでしょ。ちょっと格好良過ぎだわ」(桑村助手)。結果は宣言通りとはならず8着に敗れたわけだが、返し馬の感触で名手に「win」と言わせたこの馬はやはり、それだけのモノを持っているということだ。
土曜(10日)阪神メーンのGIIIチャレンジC(芝外1800メートル)に向けた坂路での最終追い切り(7日)は「遊ばれてしまって、ちゃんと走っていなかった」(桑村助手)ため併せ遅れとなったが、春の目黒記念(6着)時に、騎乗したルメールから進言されていたブリンカーを着けた1週前追い切り(30日)ではいい動きを見せていた。
レースでもブリンカーを装着する予定のタッチングスピーチ。最終追いの動きの鈍さに疑問を持つようなファンがいるなら、今度は坂路野郎が「She win」とアドバイスを送ってあげたい。まあ、サマにはならないだろうが…。(栗東の坂路野郎・高岡功)