▲日本馬の初陣を切ったサトノクラウンがヴァーズを勝利 鞍上は“マジックマン”ことモレイラ騎手
香港国際競走4レースに過去最高の13頭が遠征した日本調教馬は、2400mの香港ヴァーズをサトノクラウンが制し、2000mの香港カップは香港の馬券でも日本の馬券でも断然人気に支持されたモーリスが強い勝ち方を見せた。
レース順に調教国別の上位3着馬までを見ると……
■ヴァーズ(2400m):日・愛・仏
■スプリント(1200m):港・港・港
■マイル(1600m):港・港・港
■カップ(2000m):日・港・日
それぞれの国が、得意のカテゴリーのレースで順当に結果を残したと言っていいだろう。
【ヴァーズ】モレイラ騎手が4競走完全制覇
香港ヴァーズで断然人気となったのは、今年世界各国を転戦して、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、ブリーダーズCターフを制し、英インターナショナルS、凱旋門賞でも2着だったハイランドリールだった。
予想されたとおり、逃げたのはそのハイランドリールだったが、2コーナーを回って向正面に入ると、逃げ宣言も出ていたビッグオレンジが競りかけていった。ハイランドリールは3コーナーで再び先頭に立ち、直線でも単独先頭で後続を離しにかかった。
しかし4コーナーでも後方4番手という位置取りから馬群をさばいて追ってきたのがサトノクラウンで、ゴールではきっちり半馬身とらえて見せた。
「シルバーウェーヴのうしろをついていって、直線で外に持ち出したら前が開いてくれた」というJ.モレイラ騎手は、さすがの騎乗だった。
▲後方4番手から馬群をさばいて追い上げたサトノクラウン
モレイラ騎手は、2014年に香港カップをデザインズオンロームで、マイルをエイブルフレンドで、2015年にはスプリントをペニアフォビアで制していて、わずか3年の間に香港国際競走4レース完全制覇という快挙を達成。まさに“マジックマン”の異名をとる活躍ぶりだ。
「秋は天皇賞からということは決まっていたのですが、その後は、天皇賞の結果や馬の状態を見て、香港に来ることは1カ月前くらいに決めました。ジョッキーもうまく乗ってくれたし、一時期調子を崩していた馬を立て直したスタッフもよくやってくれたと思います」と堀宣行調教師。
2着のハイランドリールは、ビッグオレンジ(11着)に競りかけられて厳しいレースになった。それにしても今年はドバイシーマクラシック(4着)に始まってこれで9戦目。そのタフさには驚かされる。
ビッグオレンジに競りかけられなければもう少し楽な単騎逃げになっていたはずで、そういう意味ではサトノクラウンの勝利はビッグオレンジに助けられたという面もあったかもしれない。
ハイランドリールから6馬身3/4差がついての3着がワンフットインヘヴンで、さらに3/4馬身差の4着にヌーヴォレコルト。道中は後方3番手を追走していたが、3コーナーでは一旦最後方まで下げ、4コーナーでは馬群の中に突っ込んだ。
「内にスペースがなかった」(岩田康誠騎手)というように、直線を向いて行き場を探していたような感じで、それでも残り150mからはしっかり伸びて、前のスマートレイアーをとらえての4着。直線スムーズに抜けていれば3着はあったかもしれないが、現状の能力は出し切ったように思う。
▲岩田騎手騎乗のヌーヴォレコルトは4着
▲武豊騎手騎乗のスマートレイアーは5着
【スプリント】地元香港馬が上位独占
香港スプリントは、さすがに地元香港調教馬の層が厚かった。一昨年の覇者で昨年の高松宮記念も制していたエアロヴェロシティが3番手から抜け出して勝利。今シーズンの上り馬ラッキーバブルズが4コーナー9番手から追い込んで短頭差2着。昨年の覇者ペニアフォビアが逃げ粘って3着という結果。
日本のビッグアーサー、レッドファルクスはともに見せ場をつくれず、それぞれ10着、12着という結果。