スマートフォン版へ

マイル以下で注目、クーヴェルチュールの息子ライデンバローズ

  • 2016年12月21日(水) 12時00分
サトノニーケ(牝 栗東・高橋亮 父マンハッタンカフェ、母フェミニンガール)
 母フェミニンガールは現役時代に4勝を挙げ、紫苑S(OP)2着などの成績がある。優れたアメリカ血統のみで構成されているので繁殖牝馬としてはおもしろい存在だが、07年に誕生した初年度産駒タイムチェイサー(1勝)から現在にいたるまで、デビューを果たした子は2頭しかいない。不受胎や、生まれてもデビューまでたどり着けない、といった子が目に付く。本馬はすでに入厩し、調教も積まれているので体質的には問題ないようだ。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」はダイワバーバリアン(10年NHKマイルC-GI・2着、09年朝日杯FS-GI・3着)、アントニオバローズ(09年日本ダービー-GI・3着)、ケイティバローズ(15年エンプレス杯-Jpn2・3着)などと同じ。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

サマードレス(牝 美浦・木村哲也 父ハーツクライ、母スパイシークラウン)
 レオンビスティー(父サクラバクシンオー/12年ファルコンS-GIII・2着)、ジルコニア(父タイキシャトル/準OP)の半妹にあたる。母スパイシークラウンは現役時代にJRAで3勝。産駒はこれまでに6頭がJRAで走り、5頭が勝ち上がっている。Secretariat≒Sir Gaylord 4×4・4という素軽いクロスやMr.Prospectorを持つので、コンスタントにスピードを伝えられるのだろう。本馬の父ハーツクライは中長距離がベストで完成までに時間がかかるタイプ。したがって、スピードと早熟性を兼ね備えた母の血統は悪くない。芝向きの中距離タイプ。

サンマルペンダント(牝 栗東・千田輝彦 父トビーズコーナー、母ホクトペンダント)
 母ホクトペンダントは報知杯4歳牝馬特別(GII)で2着のあと、桜花賞(GI)で5着に食い込んだ活躍馬。2代母ホクトビーナスは2戦2勝で臨んだ桜花賞(GI)でアタマ差2着の名牝。本馬の半姉には函館スプリントS(GIII)を勝ったビーナスライン(父フジキセキ)、半兄に中日新聞杯(GIII)3着馬チョウカイファイト(父アグネスタキオン)、OPまで出世したファントムロード(父フジキセキ)、準OPまで出世したベルベットロード(父キングカメハメハ)などがいる。本馬は母が21歳時の産駒。父トビーズコーナーは現役時代にUncle MoをしりぞけてウッドメモリアルS(米G1)を制した馬で、父系はBellamy Road→Concerto→Chief's Crown→Danzigとさかのぼる。血統構成は異系色が強く、本馬の母のようにNorthern Dancer 3×4といった主流血統の強いクロスを持つ繁殖牝馬は合いそうだ。初年度産駒の現2歳世代はこれまで14頭がJRAでデビューして2勝、シゲルボブキャットがシクラメンS(芝1800m)でサトノアーサーの2着となっている。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

シャインサンデー(牝 美浦・加藤征弘 父トワイニング、母マニックサンデー)
 母マニックサンデーはザッツザプレンティ(03年菊花賞-GI、02年ラジオたんぱ杯2歳S-GIII)の半姉、ウインシュナイト(01年札幌記念-GII・5着)の全姉にあたる良血で、現役時代にサンスポ賞4歳牝馬特別(GII)を制覇した。繁殖成績も良好で、エポワス(父ファルブラヴ/16年函館スプリントS-GIII・5着)、プレンティフェスタ(父シンボリクリスエス/準OP)、ワールドコンパス(父シンボリクリスエス/準OP)などを出している。本馬の父トワイニングはノンコノユメ(15年ジャパンダートダービー-Jpn1などダート重賞3勝)、ロールオブザダイス(10年平安S-GIII)の父で、パワーを帯びたスピードを武器としている。母の父にサンデーサイレンスを持つ配合は成功しており、前出のロールオブザダイスのほかにセカンドテーブル、フサイチアソート、セイリオス、キープインタッチなど多くの活躍馬が出ている。芝向きのマイラーだろう。

ライデンバローズ(牡 栗東・藤岡健一 父クロフネ、母クーヴェルチュール)
 母クーヴェルチュールは現役時代に芝短距離路戦で活躍し、3歳夏に古馬を倒してキーンランドC(GIII)を制した。他にアイビスサマーダッシュ(GIII)で3着と健闘している。繁殖牝馬としてはこれまでに3頭の産駒がデビューを果たし、アンナトルテ(父エンパイアメーカー)が1勝を挙げている。母の父ブラックホークは安田記念(GI)、スプリンターズS(GI)など5つの重賞を制したスピード馬。母はスピード実績のある血を積み重ねているものの、Mr.Prospectorのような分かりやすいアメリカンタイプのスピード血統は希薄なので、スタミナタイプの血を入れると意外に重いタイプが出てしまう懸念もある。その点、本馬の父クロフネは悪くない。サンデーサイレンスとは無縁の配合ながらスプリンター〜マイラーとして好ましい配合構成で、ダート適性もありそうだ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング