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3頭の重賞勝ち馬を兄に持つヴェリタブル

  • 2017年01月11日(水) 12時00分
アレススピアー(牡 栗東・藤原英昭 父ステイゴールド、母アドアード)
 母アドアードはブルーウィンドS(愛G3・芝10f)の勝ち馬で、「Galileo×Darshaan×Luthier」というヨーロッパの重厚なステイヤー血統。繁殖牝馬としてはウェルブレッド(父ディープインパクト/2勝)をはじめこれまでにデビューした4頭はいずれも勝ち上がっている。ただし、スピードや決め手に弱みを抱えているため、総じて勝ち味に遅いという傾向が見受けられる。父ステイゴールドはそうしたタイプの繁殖牝馬と意外に相性がいい。メジロマックイーンやデインヒル、Ribot系といった重厚な血を抱えた繁殖牝馬との間に大物を誕生させている。洋芝の1800m以上がベストで、決め手がさほど問われないコーナー4つのレースでより力を発揮する。

ヴェリタブル(牝 美浦・堀宣行 父ダノンシャンティ、母トキオリアリティー)
 母トキオリアリティーは現役時代に芝・ダート兼用のスプリンターとして活躍し、フローラS(OP・芝1200m)2着などの成績を残した。繁殖成績はきわめて優秀。これまでにリアルインパクト(父ディープインパクト/11年安田記念-GI、15年ジョージライダーS-豪G1)、ネオリアリズム(父ネオユニヴァース/16年札幌記念-GII)、アイルラヴァゲイン(父エルコンドルパサー/07年オーシャンS-GIII)と3頭の重賞勝ち馬を送り出したほか、4勝馬を2頭、3勝馬を1頭、2勝馬を1頭出している。本馬の父は現役時代にNHKマイルC(GI)をレコード勝ちしたダノンシャンティ。母のスピード能力の重要な構成要素であるIn Realityを5×3で強化しているので手堅く走ってくるだろう。母が20歳時の産駒ではあるが期待したい。1200〜1600mがベスト。

ジュデッカ(牝 美浦・古賀慎明 父ディープインパクト、母レディオブヴェニス)
 京成杯(GIII)2着馬アクションスターの半妹で、現1000万下アッフィラートの全妹。母レディオブヴェニスは現役時代にアメリカで芝マイルのG2を勝った。Mr.ProspectorとSpecial牝系のNorthern Dancer系(Nureyev、Sadler's Wellsなど)を併せ持つ配合は、ヴィルシーナ、ヴィブロス、ディープブリランテ、ミッキークイーン、トーセンラー、スピルバーグなど多くの活躍馬が誕生している。本馬の母はディープインパクトとの交配では比較的小柄な子を出す傾向がある。これまでの産駒を見ると非力感が否めないので、サイズが大きめで馬格がしっかりしているようならおもしろい。芝向きのマイラー。

ノーザンライアン(牡 美浦・木村哲也 父Lonhro、母Magistra Delecta)
 父Lonhroは現役時代、オーストラリアで35戦26勝(G1は11勝)という成績を残し、年度代表馬に輝いた名馬。主に芝1400〜2000mで活躍した。種牡馬としても非凡な才能を示し、2010-11年に豪リーディングサイアーとなっている。オーストラリアはデインヒルをはじめ新しく導入されたヨーロッパ系統が幅を利かせているが、Lonhroは“南半球のノーザンダンサー”と言われたSir Tristram(その父Sir Ivor)のサイアーラインを受け継いでいる。母Magistra Delectaはニュージーランド産馬で、現役時代は重賞を勝てなかったものの、G1を含めた重賞競走で再三馬券にからむ好走を見せた。本馬はMy Tricia 4×4という牝馬クロスに加え、Sir Tristram 4×4を持っている。Lonhro産駒の一流馬にはあまり見られない配合構成で、日本でも希少性が高く、どんな走りを見せてくれるのか興味深い。芝向きのマイラー。

マンハッタンガール(牝 美浦・戸田博文 父マンハッタンカフェ、母フローレンスガール)
 母フローレンスガールはダート1400mで2勝。その父El CorredorはMr.Greeleyの子でMr.Prospector 3×4、といういかにも仕上がりの早いスピードタイプ。繁殖牝馬としてはミヤジタイガ(父ネオユニヴァース/13年弥生賞-GII・2着)、クロフネフリート(父クロフネ/1000万下)を産んでいる。本馬の父はマンハッタンカフェ。地方交流のダート重賞を4勝したエーシンモアオバーと配合構成が似ており、おそらくダート路線で地道に頑張るタイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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