ミッキーロケット ここからはばたく/トレセン発秘話
◆GIを目指すのかを決める重要なレースになる
昨年12月にJRAから発表されたニュースに思わず手を叩いた。動物愛護の精神から「パッド付きムチの義務化」に拍手したというわけではなく、「パトロールビデオの全レース公開」に歓喜したのだ。
これまでは重賞しか公開されていなかった全周パトロールビデオが、今月14日の競馬から、JRAのホームページで全レース終了の約50分後に見られるようになる。今まで重賞以外のパトロールビデオを見ようとすれば、競馬場に行くか、グリーンチャンネルでチェックするしかなかったのだが、これからはいつでも、どこでも自由に見ることができるわけだ。自分の買っている馬がレース映像では映っていない部分で不利を受けていたというのはよくあるケース。その場面を見られないもどかしさがずっとあったのだが、これからはそのモヤモヤから解き放たれる。
以前から見られる、見られないの話は別にして、パトロールビデオの重要性はいくらでも具体例を挙げることができる。例えばGII日経新春杯(15日=京都芝外2400メートル)に出走予定のミッキーロケットが、昨秋の神戸新聞杯(2着)でゴチャついた4角の場面も、通常の映像では分かりづらいが、パトロールビデオで見るとその“混雑ぶり”がよく分かる。やはり競馬を細部まで検証しようとするなら、パトロールビデオは欠かせないツールなのである。
「あの不利がなければ、サトノダイヤモンドとのクビ差はどうなっていたかと思うよね。次の菊花賞(5着)にしても、ジョッキー(和田)との事前の話では“サトノより前で競馬をする”ことになっていたんだが、実際は後ろからになってしまった。その割にはよく頑張っていたと思うよ」と音無調教師。
この一戦は「今後GIII、GIIを狙っていくか、GIを目指すのかを決める重要なレースになる」とトレーナーは位置付けているが、どう転ぶかは「サトノダイヤモンドとの接戦が評価されるのだろうが、ウチのはオープンを勝ったことがないわけだから…。そのあたりを総合的にハンデキャッパーがどう判断するか。他との(ハンデの)兼ね合いになるだろう」とハンデ発表前に口にしていた。果たして55キロのハンデはどう映ったか?
不利がありながらサトノダイヤモンドと接戦を演じた神戸新聞杯、位置取りが予想外の後ろになっても掲示板は外さなかった菊花賞。昨秋のミッキーロケットの走りは、強い現4歳世代の“第2勢力”としては十分な内容。坂路野郎はハンデ55キロなら何も問題なしとみて、迷いなく重い印をつけるつもりだ。(栗東の坂路野郎・高岡功)