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アメリカJCCのギブとゆらぎ

  • 2017年01月19日(木) 12時00分
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今週金曜(日本時間・金曜深夜)にドナルド・トランプのアメリカ大統領の就任式がある。民主党議員の一部が出席をボイコットすると宣言したり、反トランプ派がデモを行うと宣言したり、さらにそれを聞きつけたトランプ派のライダー(バイク乗り)がトランプを守るために全米からワシントンD.C.に集結しようとしていたりとニギニギしくも物騒なニュースが飛び交っている。

その2日後にアメリカJCC。

日本のサイン派がこのチャンス(?)にウズウズしないはずがない! きっと固唾を飲んで金曜深夜の就任式を見守るのではないか? もちろん馬券を当てるために! 

自分はサイン派ではなく印象派。だからサイン視点ではあんまりアプローチしないけれど、ニギニギしいことは大好きなので、大きな話題のときは一応トライはしてみる系。だからざっくりと想定版を見て、ドナルド・トランプな馬はいないか観察してみた。

ん~~~~~~~。

ん~~~~~~~。

ン~~~~~~~。

ギブ。

クリールカイザーのカイザーはドイツ語で皇帝だからアリじゃないか?
リアファルとは「戴冠石」。宝石を戴冠するのかわからないけれど、これもアリかもしれない。
ナスノセイカンのセイカンは精悍で勇ましいという意味だから、これもアリじゃないか? 母父ホワイトマズルをホワイトハウスと結びつけるのもアリか?
それがアリならルミナスウォリアーは戦士だから、もっと具体的に勇ましい。

ミライヘノツバサは希望に満ちた馬名で、希望を抱くトランプ派なら心地いい。でも希望を抱く人ばかりではない。今年はトランプ派と反トランプ派でバチバチやりあっている。

タンタアレグリアの馬名由来は「たくさんの喜び、これほど多くの歓喜」だそうで、皮肉を込めればアリかもしれない。
それがアリならシングウィズジョイの「楽しそうに歌う」もアリだし、クラリティスカイの「澄み切った空」だってシュールでアリだ。
皮肉とのバランスを取るならマイネルフロスト「氷結」とのセットがアリかもしれない。

てなことを、あーでもないこーでもないとアリアリ考えていたら、わけがわからなくなった。サインはわかりやすいほうがインパクトがあっていい。チャンピオンズCのアスカノロマン(ASKAのニュースが飛び交った週末)がいい例だ。でも今年は馬名にトランプを隠しもつ馬もいない。だから自分のような者にはちと難しい。

ならば、オバマが初大統領になった2009年を振り返るしかない。答えは過去にアリだ! あのときも黒人初の大統領で全世界が注目していた。

2009年 
オバマ大統領就任式 1月20日
アメリカJCC 1月25日
1着ネヴァブション 4人気 
2着エアシェイディ 2人気
3着トウショウシロッコ 7人気

うん、よくわからない!

オバマは第44代大統領だから4-4のゾロ目かな? と思ったけど、
1着 3枠
2着 5枠
3着 5枠

ゾロ目なし! 5枠が2着、3着、惜しい!(とかじゃない!)
ちなみに4枠の2頭は11着、12着。

オバマ2期目の就任式は2013年の1月21日。
アメリカJCC 1月20日(1日前)
1着3枠3番ダノンバラード 3人気
2着5枠5番トランスワープ 5人気
3着4枠4番アドマイヤラクティ 2人気

おっと、2着の馬にトランプの名前が!
トランスワープが今年も出てたら簡単だったのに!

で、ギブしたのでした。
やはり門外漢ではこれ以上は無理。もはや出来ることは、な~んも考えずに45代大統領ということで、枠の4-5、馬番の4-5でも買うことくらいか。

各スポーツ紙に1人はいるサイン派の分析を楽しみに週末を待つことにしよう。

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1人気好走判定カリキュラマシーン
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アメリカJCC(以後、AJCC)は、1人気が1着するか着外に敗れるかを吟味し、2人気が3連系の軸に成りえるかを検討し、その答えを正しく出せればだいたい当たるレースだ。

今年も粛々とそれに従うまで。

1人気の捉え方(過去14年・03-16)(過去10年に1年ずつ足していったので過去14年になっている)
■1人気は1着か着外
■1人気成績 4-0-0-10

1人気は負けることの方が多い。買うなら1着。
でも、ここからもうちょっと絞りこめる。

■過去に「重賞」で1人気の期待に応えたことのある1人気馬は、4-0-0-4。
勝ち負けは50:50。

■過去に「重賞」で1人気の期待に応えたことのない1人気馬は、0-0-0-6。
0:100で馬券圏外。

1人気が別定G2のAJCCで勝つには、人気を背負って勝った実績が求められる。しかし、実績があったとしても勝つ確率は50:50で、しかも負ける時は馬券圏外。

一昨年の1人気ゴールドシップは、当時、1人気重賞実績6-1-1-2と圧倒的だった。1回でも勝っていればいいのに6回も勝っていた。しかし7着に負けた。2着、3着でもいいのに馬券圏外に散った。

去年の1人気はサトノラーゼンだった。週中はサトノラーゼンとディサイファで1人気を争っているように見えた。しかしこの2頭は、どちらも重賞で1人気1着した実績のない馬で、1人気になった方が馬券圏外に負けると想定した。結果は、1人気サトノラーゼン10着、2人気ディサイファ1着。過去の傾向通りだった。

今年の1人気候補は、
ゼーヴィントとリアファルのようだ。

ゼーヴィント 4歳
ラジオNIKKEI賞 1人気1着
福島記念    1人気2着

リアファル  5歳
神戸新聞杯 3人気1着
菊花賞   1人気3着
有馬記念  3人気16着
金鯱賞   3人気5着

重賞1人気1着実績があるのはゼーヴィント。
だからこうなる。

ゼーヴィントが1人気になったら、50%で1着。
リアファルが1人気になったら、馬券圏外。

では、ゼーヴィントが1人気になったら1着するのか、しないのか。その50%は100%に近いのか、0%に近いのか?

4歳で1着した馬は、この10年で1頭、過去20年で5頭。
07年マツリダゴッホ   2人気1着
00年マチカネキンノホシ 3人気1着
99年スペシャルウィーク 1人気1着(重賞1人気1着経験あり)
98年メジロブライト   1人気1着(重賞1人気1着経験あり)
97年ローゼンカバリー  3人気1着

1人気で勝ったのはスペシャルウィークとメジロブライトの2頭。

スペシャルウィークは皐月賞3着、ダービー1人気1着、菊花賞3着、ジャパンカップ2着、きさらぎ賞1人気1着、弥生賞1着、京都新聞杯1人気1着などの実績があった。
メジロブライトは皐月賞4着、ダービー3着、菊花賞3着、ラジオたんぱ杯1着、共同通信杯1人気1着、ステイヤーズS1人気1着の実績があった。

今と時代が違うとはいえ、ゼーヴィントの実績とは比べものにならないほどいい。そもそもスペシャルウィーク、メジロブライトと比べるのはゼーヴィントには少し酷な気もする。ならば、消しでいいのか?

ただ今年の出走メンバーは例年より小粒に思える。前走有馬記念出走馬もいない。金鯱賞好走馬もステイヤーズS好走馬もいない。おまけに今年の4歳は年が明けても活躍してる。

京都金杯  1着2着4着5着6着
中山金杯  9着10着
日経新春杯 1着2着4着5着12着

セントライト記念でディーマジェスティにクビ差まで迫ったのも心強い。
だから今年は、過去の4歳で1人気1着した馬との比較ではなく、今年のメンバーとの比較でいいような気もする。

そう考えると好走アリに思えてくるけど、1人気で1着するには何かが足りないような気もする。だからといって馬券圏外に散るとも思えない。馬券圏内に踏ん張るような気もする。

そう、1着ではなく、好走。2着か3着。
1着か着外の傾向が今年はゆらぐか。判定マシーンにバグが出るか?

でも競馬データにはゆらぎがあるから楽しいのであって、それがなければ面白くない。ただそういうゆらぎは人気薄で見つけたい。「1人気が危ない!」とは言えても、「1人気は2着か3着するかもー!」だなんて、当たり前すぎて大きな声では言いにくい。AJCC的にはニュースでも一般的にはニュースではない。だからそっと閉まっておこう。

にしても2人気は頼りになる。
過去14年
1人気 4-0-0-10
2人気 5-3-3-3

圏外の3回も4着、5着、5着で掲示板にはのっている。軸にするなら2人気だ。
リアファルかゼーヴィントか。
1人気で考えすぎるより、黙って2人気を軸にする方が賢明かもしれない……。

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AJCC注目馬#1
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#1シングウィズジョイ

牝馬はあまり出走しない。この10年でも6頭のみ。しかも馬券圏内に走った馬はいない。だからシングウィズジョイも馬券圏外で追っ払いたいところだけど、5歳牝馬となるとそうそうナイガシロにできない。

以下は牝馬の成績。

過去10年
14年 マイネオーチャード(6歳)7人気6着 
13年 サンテミリオン  (6歳)10人気11着  
12年 サンテミリオン  (5歳)9人気4着  
11年 ダイワジャンヌ  (6歳)10人気5着  
10年 ビエンナーレ   (7歳)13人気7着  
   アルコセニョーラ (6歳)12人気8着 

サンテミリオンが5歳時に4着に頑張っていたのがわかる。

さらにその向こうの10年(過去11~20年)
02年 ティコティコタック(5歳)5人気8着 
01年 ショウナンハピネス(6歳)12人気12着 
00年 エリモエクセル  (5歳)2人気5着   
   フェザンレーヴ  (6歳)14人気13着
97年 スプリングバーベナ(5歳)6人気5着

ティコティコタックは8着に負けたけれど、エリモエクセルとスプリングバーベナは5着だった。
ここまででわかることは、6歳以上の牝馬は掲示板にのるのが少々難しいけれど、5歳牝馬は掲示板にはけっこうのれるということ。
でも、馬券にはなってない。だからさらにさかのぼってみる。にしてもAJCCではいつもさかのぼってる。去年はスダホーク(86年)までさかのぼって、一昨年はミホシンザン(87年)までさかのぼった。

96年 ダンスパートナー (4歳)4人気2着 

4歳牝馬が2着! 5歳はどうなんだ?

95年 ホクトベガ    (5歳)6人気2着 
   ジョウノバタフライ(4歳)9人気4着 
   ヤマニンドリーマー(6歳)10人気7着 

やったー!ホクトベガが5歳で2着した!
ここまで来ると、1着した牝馬はいないのか気になる。

92年 ジャニス     (4歳)7人気7着
   ダイカツジョンヌ (4歳)5人気10着
そして、
91年 メジロモントレー (5歳)4人気1着

5歳のメジロモントレーが1着していた。
やはり5歳はナイガシロにできないな…と述べるために26年もさかのぼってしまった。ひぃ~!

改めて5歳牝馬の成績
12年 サンテミリオン   9人気4着   
02年 ティコティコタック 5人気8着 
00年 エリモエクセル   2人気5着   
97年 スプリングバーベナ 6人気5着  
95年 ホクトベガ     6人気2着 
91年 メジロモントレー  4人気1着 

ティコティコ以外は掲示板にのって、2着、1着している馬もいる。
つまり、掲示板にはのれる。あともう一押しがあればいい。
そのもう一押しが、シングウィズジョイの場合はルメールではないか?

中山1-0-0-1。1着経験があるのは頼もしい。
あとは人気が手頃だといいな。

予想5人気。
うむ、ちょーどいい。



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AJCC注目馬#2
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#2ワンアンドオンリー

前走が秋のG1だった馬が1頭は馬券圏内に入りやすい。それは有馬だったり、JCだったり、天皇賞秋だったりする。着順はあまり関係ない。

今年の該当馬は、シングウィズジョイ(エリ女2着)、ワンアンドオンリー(JC8着)の2頭のみ。

ワンアンドオンリーは昨秋3戦して、0.4秒差7着、0.6秒差8着、0.8秒差8着とそれなりには………っていうか、もう復活していいんじゃない? 
田辺も3回目の騎乗で………っていうか、関東に田辺ありをアピールする絶好の機会じゃない? ここはむしろオイシイ騎乗とみた!

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アメリカJCC注目馬
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ナイガシロにしやすい1人気馬だけど、今年はメンバーが小粒ということで、ナイガシロにしないことにした。
だからこそワンアンドオンリーにも期待できる。そんな屁理屈。
もちろん2人気もナイガシロにしない。

だからゼーヴィント・リアファルの人気馬に、
シングウィズジョイ・ワンアンドオンリーを絡める。
そんなアプローチ。

ワンアンドオンリーは、ずっと復活を期待されていて、ずっとその期待を裏切り続けている。ここで勝ったら、ちょっとしたサプライズだ。まさにアメリカ大統領選だ。
ならばシングウィズジョイはヒラリーでどうだろう。

うむ、我ながら強引だ。
大統領就任式のはずが、大統領選にズレちゃったし。
でも満足だ。もちろん自己満足だ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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