「ミユキチャンとヤマトマリオンもよろしく」
地方競馬ファンにとって年末年始は大忙し。お正月も各地の競馬場で開催が行われ、休んでいる間もないほど。みなさんはいかがお過ごしでしたか? さあ、1月25日(水)には2017年地方競馬では最初のダートグレード競走『第20回TCK女王盃(JpnIII)』が行われます。冬のダート女王を目指す牝馬たちが大井競馬場に集結。近年はJRA勢の優勢が続いていますが、そろそろ地方馬の活躍にも期待したいところです。
ここで今回の出走馬たちを紹介する前に、2009年の覇者・ヤマトマリオンの思い出を振り返りましょう。
2003年生まれのヤマトマリオンは父オペラハウス、母ヤマトプリティ、母父アンバーシャダイ。2005年のデビュー戦は京都芝1200mで2着。その後ダート戦で未勝利を勝ち上がります。2006年3歳時には4月のオークストライアル・フローラSを10番人気で勝利し重賞初制覇。続くオークスは13着。秋以降も芝の重賞戦線に挑戦しましたが結果を出すことはできませんでした。
驚いたのは2008年5月の東海S。近走の成績が不振だったことと、前年7月に久しぶりのダート戦・スパーキングレディーCで7着に敗れていたこともあって16頭立ての13番人気という低評価。サンライズバッカス、ワンダースピードら強豪牡馬相手に激戦を制し、3歳春のフローラS以来の勝利を挙げました。単勝102.2倍で、2着も16番人気ラッキーブレイクだったことから3連単は513万7110円という高配当! 遅咲きのダート女王が花開いたレースでした。
東海S以降はダート戦に専念。帝王賞は10着でしたが、マーキュリーC3着、ブリーダーズゴールドC(当時は旭川で行われ、牡馬牝馬混合戦だった)3着、白山大賞典ではスマートファルコンの2着となるなど牡馬を相手に大健闘。続く12月の牝馬限定戦・クイーン賞で1番人気ユキチャンとの叩き合いを制し、重賞3勝目を挙げます。
年が明けて2009年1月のTCK女王盃。クイーン賞に続いてのアイドルホース・ユキチャンとの戦いは、スタートで出遅れ後方からの競馬となりましたが、目標であるユキチャンを射程圏内に入れ直線できっちりと差し切りました。
歴戦の牡馬たちと戦ってきたヤマトマリオンはやっぱり強かった! 勝利ジョッキーインタビューで鞍上・幸英明騎手が「ユキチャンは人気者ですが、ミユキチャンとヤマトマリオンもよろしくお願いします」と照れながらコメントしていたことが懐かしく思い出されます。
▲2009年のTCK女王盃、ユキチャン(内)を差し切ってヤマトマリオン(外)が勝利(撮影:高橋正和)
▲鞍上の幸騎手「ユキチャンは人気者ですが、ミユキチャンとヤマトマリオンもよろしくお願いします」(撮影:高橋正和)
母トーセンジョウオーの雪辱を!注目のトーセンセラヴィ
さあ、それでは今年の出走馬たちをご紹介しましょう。
中心となるのは連覇のかかるホワイトフーガ。昨年このレースの後フェブラリーS10着、さきたま杯5着でしたが、7月のスパーキングレディーC1着、レディスプレリュード2着、JBCレディスクラシック1着と牝馬限定重賞では抜群の成績です。前述したヤマトマリオン同様、フェブラリーSなどで一線級の牡馬と戦った経験は貴重。昨年と同じくJBCレディスクラシックを制して臨むローテーションで2年連続真冬の女王の座を狙います。
▲昨年優勝時のホワイトフーガ、単勝1.2倍の圧倒的支持に応えての勝利だった(撮影:高橋正和)
昨年9月のレディスプレリュードで女王ホワイトフーガを破ったタマノブリュネット。逃げたトーコーヴィーナスがホワイトフーガと2着同着に粘り、波乱の結果となりました。後方から着実に伸びてくる脚は魅力。去年のこのレースではダートグレード競走の経験が浅いながらも3着に好走。相性のいいレースに、今回は(ルメール騎手の落馬により)真島大輔騎手とのコンビで臨みます。
▲レディスプレリュードでホワイトフーガを破ったタマノブリュネット(撮影:高橋正和)
タイニーダンサーは2歳時にエーデルワイス賞と北海道2歳優駿を制しNARグランプリ2015・2歳最優秀牝馬に選出され、昨年は中央移籍後3戦目の関東オークスを制覇。ホワイトフーガとの対戦では7月のスパーキングレディーCで3着。レディスプレリュードで7着。JBCレディスクラシックで7着と先着できず勝負付けが済んでいるようにも感じますが、こちらはまだ明け4歳馬。前走はクイーン賞2着。再びのホワイトフーガとの対戦で成長した姿を見せることができるでしょうか。
ワンミリオンスはダートグレード競走初挑戦で地方競馬も初めて。デビュー以来1400mを中心に使ってきたため1800m戦も初。初めてづくしの戦いとなりますが、10月の河口湖特別(東京・1000万下)、11月の銀嶺S(東京・1600万下)を連勝中の勢いがある楽しみなゴールドアリュール産駒です。
マイティティーは初めてのダートグレード競走となったクイーン賞で2番人気に推されたものの8着。右回りの大井でスムーズに競馬ができれば再浮上があるかも。
地方勢の筆頭はトーセンセラヴィ。去年2016年の成績は8連勝を含む12戦10勝、2着1回、3着1回。初めて挑戦した重賞、JpnIのJBCレディスクラシックでいきなり3着に大健闘。続く東京シンデレラマイルではきっちり人気に応えて重賞初制覇を果たしました。打倒ホワイトフーガだけでなく、今年の飛躍が最も期待される1頭。母トーセンジョウオーは2007年のTCK女王盃で1番人気に推されるもサウンドザビーチのクビ差2着に敗れています。母の雪辱を果たせるか?! にも注目が集まります。
▲年末の東京シンデレラマイルで重賞初制覇を果たしたトーセンセラヴィ(撮影:武田明彦)
東京シンデレラマイルでトーセンセラヴィの2着だったリンダリンダ。こちらも今年の成長に期待したい1頭。吉原寛人騎手との初コンビ。東京プリンセス賞を制した舞台でどんな走りを見せてくれるでしょうか。
1月のTCK女王盃から→エンプレス杯→マリーンC→スパーキングレディーC→ブリーダーズゴールドC→レディスプレリュード→JBCレディスクラシック→クイーン賞と続いていく古馬牝馬の重賞戦線。その頂点JBCレディスクラシックは、今年は大井競馬場の1800mで実施されます。同舞台で行われるTCK女王盃。各陣営ともここで結果を残し今後に繋げていきたいレース。我々競馬ファンも先々を見据えながら観戦しましょう!
※次回の更新は1月31日(火)18時。新年最初のJpnI「川崎記念」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。