GI連続好走の古豪が久々のGIII ベストウォーリア/トレセン発秘話
◆休養明けとしては十分過ぎるほどの乗り込み量
あれは昨年の12月14日のことだった。石坂厩舎の「離れ」(管理馬が多い厩舎は「本家」20馬房に入りきらない馬を、離れた場所で管理する)で、専門紙の先輩記者と一緒に取材していた時、ベストウォーリアが検疫から入ってくると聞いて、思わず顔を見合わせた。「いったい、どこに使うんだ?」
この時、担当の古泉助手にGIII根岸S(29日=東京ダ1400メートル)をターゲットにすることを教えてもらったわけだが、レースから1か月半も前に、トレセンに戻ってくるのは、この馬にしては少し早い。ぶっつけでGIに挑戦する時ならまだしも、通常の休み明けでは、1か月前に戻ってくるのをいつものパターンにしていたからだ。
「(ぶっつけでGIだった昨秋の)南部杯(2着)の時もこれぐらいの間隔で戻ってきたけど、この時期に、前哨戦始動で、これだけ早めに入ってくるのは初めてかな」とは古泉助手。
今年で7歳となるベストウォーリアだが、その年齢の影響か、最近は稽古をやっても負荷がかかりきっていないことがあるという。
「JBCスプリント(2着)の時なんかでも、追い切り後に獣医さんが診て“本当に追い切りをしたの?”って。それくらいケロッとしていた。レースまでしっかり本数を乗ることは、今のこの馬には大事なことだと思うよ」
中間のベストウォーリアの調整は坂路で追い切り5本。さらにウッドで(時計にならないくらいの)キャンター3本…年齢的なズブさを加味しても、3か月の休養明けとしては十分過ぎるほどの乗り込み量と言える。
「1週前の時点で534キロ(前走時518キロ)。少し余裕はあるけど、週末のトラック調整と(坂路での)最終追い切りで態勢は整うと思うよ」
2014年の秋に南部杯を勝ってからは、ほとんどGIレース(12戦中10戦)を使って常に善戦してきた馬が、15年プロキオンS(1着)以来となる久々の中央GIII参戦。力上位は明白だ。
「プロキオンSの時は調整過程も決して万全とは言えなかったけど、59キロを背負って、強い勝ちっぷりを見せてくれたからね。去年にしても、勝てないまでも毎回崩れずに走ってくれたし、今回も格好はつけてくれると思いますよ」
いつもより早めにトレセンに戻り、鍛錬を積んできた古豪が、GIII出走なら、58キロでも優に争覇圏と考えるべきだろう。(栗東の坂路野郎・高岡功)