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10万人近い大観衆を集めた香港のチャイニーズ・ニューイヤー開催回顧

  • 2017年02月01日(水) 12時00分


◆ヘレンパラゴンが過去3シーズンの年度代表馬を撃破

 中国の旧正月を祝って1月30日(月曜日)に香港のシャティン競馬場で行われた開催は、10万710人を集めた12月の香港国際競走にほぼ匹敵する、9万6082人もの大観衆を動員。1日の総売り上げも、チャイニーズ・ニューイヤー開催としては新記録となる17億5900香港ドルに達するという、大盛況となった。

 ちなみに、第1回G1ペガサスワールドCをメイン競走とした1月28日のガルフストリームパーク開催も、4021万7千ドルという、同場における1日の売り上げの歴代新記録を樹立。世界各国で競馬が盛り上がっているのは、極めて喜ばしいことである。

 チャイニーズ・ニューイヤー開催のメイン競走は、香港古馬3冠の初戦となるG1スチュワーズC(芝1600m)だった。デザインズオンローム(13/14年)、エイブルフレンド(14/15年)、ワーザー(15年/16年)と、過去3シーズンの香港年度代表馬が揃い踏みという、見た目にも豪華な顔触れとなったが、この3頭はいずれも馬券的には1番人気にならなかった。

 ここが今季初戦となったのが、昨季のG1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)を4.1/2馬身差で快勝したワーザー(セン5、父タヴィストック)だった。シーズン開幕を前にした8月下旬、調教後に転倒して後躯を負傷。本格的な調教を再開したのは12月に入ってからで、1月17日に休養後初めてバリアトライアルに参加したものの、1着入線のラッキーバブルズから14馬身遅れの最下位で入線。24日に行われた6Fの追い切りではまずまずの動きを見せたものの、復調途上は明らかで、スチュワーズCにおけるファンの支持はオッズ9.1倍の5番人気に留まっている。

 15年のG1香港マイル(芝1600m)で3着になった後、屈腱炎を発症して1年近く戦列を離れたのがエイブルフレンド(セン7、父シャマーダル)だ。昨年11月のG2ジョッキークラブスプリント(芝1200m)で復帰し、ここが4着。続いて出走した前走のG1香港マイルが6着と、往年の姿を取り戻せないでいた。だが、1月3日のバリアトライアルでは、この馬らしい力強いフットワークを繰り出して1着で入線。復調気配が見えてきたことから、ファンはこの馬を4.6倍の2番人気に支持した。

 今季初戦のG2シャティントロフィー(芝1600m)で自身8度目の重賞制覇を飾り、上々の滑り出しを見せたのがデザインズオンローム(セン7、父ホーリーローマンエンペラー)だった。ところが、続くG2ジョッキークラブC(芝2000m)は、9頭立ての最下位に大敗。前走G1香港カップ(芝2000m)も見せ場なく8着に敗れたことから、スチュワーズCにおける同馬は、オッズ44倍の10番人気に甘んじることになった。

 そんな中、ファンがオッズ3.1倍の1番人気に推したのはヘレンパラゴン(牡5、父ポーラン)であった。仏国産馬で、欧州で走って7戦2勝。G1ジャンプラ賞(芝1600m)3着などの実績を挙げた後、15/16年シーズンから香港に移籍。初年度は8戦し、HKG3プレミアプレート(芝1800m)を含む4勝を挙げたものの、大きな目標だったHKG1香港ダービー(芝2000m)では5着に敗れるなど、高かった期待に応える成績を挙げることは出来なかった。

 今季もここまで5戦し、勝ち鞍はゼロ。ただし、前走のG1香港マイルでは、勝ったビューティーオンリーから半馬身差の2着に健闘。しかも、スタートダッシュが鈍くて後方からの競馬となり、3〜4コーナー中間と直線入り口の2度にわたって進路が狭くなる局面があった末の2着で、内容的には勝ちに等しいものだった。G1ジャンプラ賞3着馬がようやく本領を発揮し始めたのならと、ファンはこの馬を1番人気に支持したのである。

 そしてヘレンパラゴンは、見事にファンの期待に応えた。この日も中団より後ろに控える展開となったが、3コーナーから徐々に進出。6番手で直線に向くと馬場の真ん中を突いて伸び、残り70m付近で先頭へ。10番手で直線に向いたG1香港マイル3着馬ジョイフルトリニティ(セン5、父ザンジバリ、18倍の7番人気)が馬場外目を鋭く追い込んだが、これを3/4馬身差封じてヘレンパラゴンが優勝。待望のG1初制覇を果たすことになった。ヘレンパラゴンの次走は、2月26日のG1クイーンズシルヴァージュビリーC(芝1400m)の予定で、その後は3月25日にメイダンで行われるG1ドバイターフ(芝1800m)に向かうことになっている。

 同じく後方から追い込み、直線で進路が狭くなる局面がありながら、2着馬から半馬身差の3着に入ったのがエイブルフレンドで、それは確かに復調を感じさせる内容だった。次走予定のG1クイーンズシルヴァージュビリーCでは、久々の勝利を手にする可能性がありそうだ。

 一方、抜群の手応えで好位を進んだワーザーは、直線に入ると一瞬伸びかける局面があったものの、残り150mで脚がなくなり6着に敗退。仕上がり途上だったことは明白で、次走となる2月26日のG1香港ゴールドC(芝2000m)では、ここを使われての変わり身を見せることを期待したい。デザインズオンロームは8着と、低迷を抜け出せないでいる。

 さて、1月30日のシャティンでは、1200mのG2センテナリースプリントCも行われている。勝ったのはペニアフォビア(セン6、父ダンディマン)で、15年のG1香港スプリント(芝1200m)以来2度目の国際G1制覇を達成。2着が16年のG1香港スプリント2着のラッキーバブルズ(セン5、父セブリング)で、3着が昨年11月のG2ジョッキークラブスプリント(芝1200m)勝ち馬ノットリスニントゥーミー(セン6、父ディラントーマス)だった。

 この上位3頭はいずれもドバイ遠征を計画しており、ペニアフォビアとラッキーバブルズがG1アルクオーツスプリント(芝1200m)へ。ノットリスニントゥーミーはG1ドバイゴールデンシャヒーン(d1200m)に向かう予定だ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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