自分の競馬で逆襲!! ブラックムーン/トレセン発秘話
◆前走は意思疎通がうまくいかず…
まるで触れてはいけない“タブー”に触れてしまったかのようだった。
GIII東京新聞杯(2月5日=東京芝1600メートル)にエントリーしているブラックムーンについて、西浦調教師に聞いていた時のことだ。テンに出して位置を取りに行った京都金杯(9着)のレースぶりの話になった途端、トレーナーの表情がみるみる怒りを帯びたものに変わっていった。
「見たら分かるやん。あの通り」。ぶぜんとした表情で話すトレーナー。この言動だけで、いかに納得のいかない競馬だったかがよく分かる。
「2走前(キャピタルS)はじっくり行って、直線で馬なりで並びかけて…あれがこの馬の形なんだ。それを前回もしてほしかったし、そうしてくれるものと思っていた。自分の競馬に徹して負けたのなら、それを踏まえて次に生かせるけど、あんなレースをされたら、本当に力が足りなかったのかどうかも分からない。まさに消化不良の競馬だったね」
金杯が行われる年明けの京都といえば、「内枠+先行馬天国」。実際、2着ブラックスピネルはそのお手本のような競馬で勝ち馬エアスピネルをハナ差まで追い詰めた。
当時のブラックムーンの鞍上・浜中が、できるだけ前の位置を取りに行ったのも、勝負に行ったものと理解できるし、西浦調教師の言う「自分の競馬をしてほしかった」という主張も、もちろん納得できる。今回の“事案”は「調教師と騎手との意思疎通がうまくいかなかった結果」とするしかなかろう。
とにもかくにも、よそ行きの競馬で力を出し切れなかった馬の次走は巻き返しが期待できるもの。舞台は2走前にオープン特別を快勝した東京芝1600メートル。トレーナーも意図を伝えていなかった前走の反省を踏まえ、新コンビとなる内田博には「この馬のレースをしてもらうよう、しっかり話すつもり」。
おそらく、今回も断然人気に支持されるエアスピネルを負かすのは簡単ではないにしても…。京都金杯当時は完璧な競馬をしたブラックスピネルとの“ブラック対決”なら逆転可能では…と坂路野郎はにらんでいる。(栗東の坂路野郎・高岡功)