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小牧騎手がまさかのヤラズ騎乗!? 疑惑のレースの真相とは

  • 2017年03月21日(火) 18時01分
小牧太

ヤラズ騎乗?不可解騎乗?説明を求める質問が…


小牧騎手に、まさかのヤラズ疑惑!? 2月26日・阪神12R(ララパルーザ12番人気15着)での騎乗を「ヤラズ騎乗」「不可解騎乗」として、その説明を求める質問が…。辛辣な意見にも真摯に対応してくれたのはもちろん、先日引退が発表されたダコール、調教師に転身した武幸四郎元騎手とのエピソードも語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)



新潟大賞典の脚は、今でも鮮明に覚えてるよ


──2月26日・阪神12Rのララパルーザの騎乗について、いくつか質問がきています。ちょっと辛辣な表現ですが、「ヤラズ騎乗したのは何故ですか? 故障の予兆でもあったのでしょうか?」「スタートしてからスムーズに先行できたと思ったのですが、3コーナー手前で左右の馬の位置を確認し、そこからズルズルと位置を下げて、直線ではほぼ追わず、というレースでした。歩様に異常でも感じ取ったのかと思いきや、ゴールを過ぎても止めることはありませんでした。ちょっと不可解な騎乗だったのですが、道中で何があったのでしょうか?」というものです。

小牧 ああ、外に張りっぱなしだった馬や。返し馬から右のハミばかり取って、“これはレースに行ったら外に張るやろうなぁ”と心配していたら、まさにその通りになってしまって。とにかくね、道中ずーっと外に張ってた。内に入れようともしたけど、直後にいたフォーリーが声を出したから、振り向いて確認してすぐに開いたんやけど。正直、競馬にならんかったね。

──確かに改めてパトロールを見てみると、外々に逃げるような感じでした。

小牧 うん。だから直線も目一杯に追えなかったし、競馬に参加できへんかったね。「チャンスはあると思う」と聞いていたから、僕も楽しみにしてたんやけど。関係者やファンには申し訳ないけど、本当に競馬にならんかったんですわ。馬の癖なのか、たまたまなのか、あるいは右回りがダメなのか…。初めて乗ったから、そのあたりはわからんけどね。

──なるほど。それにしても、簡単に“ヤラズ騎乗”などと言われてしまうのは悲しいですね。
 
小牧 まぁ、パッと見てわかることではないから。そう思う人もいるということでしょう。ヤラズ騎乗なんてしていないのは、僕が一番わかっているから。

──そうですね。続いては、「ダコールが引退しました。私はダコールと小牧騎手のコンビが大好きでした。ダコールについて何かエピソードがあれば教えてください」というリクエストです。

小牧 ダコールもヒットザターゲットと同じで、いつも“内枠が当たれ!”と願っていた馬やね。でも、よう頑張ってるなぁといつも思ってたよ。

──小牧さんと初めてコンビを組んだのが2015年の新潟大賞典。その時点ですでに7歳でしたものね。

小牧 うん。しかしあのレースは強かった。馬場の真ん中をいい脚で伸びてきてね。結局、新潟大賞典のような競馬が、あの馬にとって理想やったんやと思う。勝ったということもあるけど、あのときの脚は今でも鮮明に覚えてるよ。

──8歳となった昨年も、小倉大賞典と七夕賞で2着。小牧さんとのコンビでは、本当に大崩れの少ない馬でした。

小牧 でも、新潟大賞典で見せたあの切れる脚を、それ以降はなかなか引き出してあげられなくて…。いつも頑張ってくれていたけど、勝ち切るのが難しい馬やったね。仕方がなかったのかもしれんけど、最後までずっと58キロを背負わされていたのはかわいそうやったね。

──続いては、「武豊さんとのエピソードは度々披露されていますが、今年騎手を引退された幸四郎さんとのエピソードがあれば教えてください」というリクエストです。

小牧 豊くんを交えて一緒に飲んだことは何回かあるよ。あと、彼も僕と同じで調整ルームに入るのが早いから、そういうときにちょいちょい話したり。それに、今回引退ということになって、馬具をたくさん譲ってくれたんですわ。

──そうだったんですね。

小牧 あ、僕が使うんじゃないで(笑)。僕の弟の厩舎に新人が入ってね。道具がほしいやろうと思って幸四郎くんに頼んでみたら、快く譲ってくれてね。

──胴上げのとき、輪の外側で見守っている小牧さんをテレビで観ていました。

小牧 ああ、逆に目立ってしまっていたような(笑)。力仕事は若者の担当や。

──それにしても、どんどん後輩が調教師になっていきますね。

小牧 そうやねぇ。でもそんなことを気にしていたら続けていけへん。だから、もう何も考えんようにした(笑)。

──そういった気持ちが、逆に集中力を生んでいるのかもしれませんね。今年の小牧さんを見ていると、なんかそんな気がします。

小牧 うん、そうかもしれん。一戦一戦が本当に大事やし、少しでもチャンスのある馬はきっちり勝たせていかんとと思ってる。その積み重ねでしかチャンスは回ってこないし、今のところ、集中して乗れている実感があるから。重賞は乗る機会が減ってしまったけど、平場はぼちぼち馬が戻ってきてるしね。これからもこの集中力を切らさんと、勝てるレースはきっちり勝っていきたいね。
小牧太

集中力を切らさんと、勝てるレースはきっちり勝っていきたいね

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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