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【北村友一×藤岡佑介】第4回『今年要注目!北村騎手はネクストブレイクジョッキー』

  • 2017年03月29日(水) 18時01分
with 佑

▲「友一は間違いなくネクストブレイクジョッキー!」、佑介騎手がそう断言する理由とは?


北村騎手30歳、佑介騎手31歳。精神的にも肉体的にも充実し、ジョッキーとして最も脂の乗った世代と言えます。世界のトップ騎手の参戦で、日本競馬の勢力図は厳しさを増してはいますが、「勝つこと」への貪欲さは薄れず。自身の現状、悲願のGIへの思い…ふたりの心の叫びをお聞きください!(取材・構成:不破由妃子)

(前回のつづき)

「いつか絶対にそっち側に行ってやる!」


佑介 友一は今、紆余曲折を経て、すべてのバランスが噛み合ってきたように見えるけど、今後もっとこうしたい、こうなりたいという目標はある?

北村 最近思うのは、競馬のなかでもっと周りを利用して、わがままになってもいいのかなって。もっと自己主張をしていきたいと本当に思っています。こだわりが強すぎるあまり、馬のリズムやバランスを大切にしすぎて後手に回ってしまったり、勝負どころで流れに乗り遅れてしまったり。その辺りが僕の弱点だと思うので。

佑介 うん。ちょっとバタバタしてカッコ悪い勝ち方になったとしても、たぶんそれでいいんだと思う。俺も勝ち方にこだわったり、馬を自分の型にハメようとして、結局、チャンスを逃してしまったから。多少不細工な競馬であろうがなんだろうが、自分の確固たるスタイルができたんやったら、それでいいと思う。

with 佑

▲「俺も馬を自分の型にハメようとして、結局、チャンスを逃してしまった」


北村 基礎ができたからこそ、もうひとつ上の“勝つための競馬”を、ということですよね。難しいことは置いといて、単純に勝ちたいです、もっと。

佑介 俺もそう思うし、その気持ちが一番大事。友一は「もっとわがままに」って自分で言ってるけど、“勝ち”に対して体が動けば、それが馬に伝わって、勝手にわがままなレースになっていくと思う。

北村 そうですよね。だからこそレースの中で勝ちたいという欲を、もっと持った方がいいのかなと今は思っています。

佑介 俺も含め、普通は“勝ちたい!”という欲が強すぎて、それを抑えることに必死なのに、友一の場合は逆やもんな。でも、芯にはあるよ、絶対に。自分が求めるものを突き詰めるために、いったんその気持ちを抑えていただけ。もともとは、攻めすぎる傾向があったんだから。

北村 一時期は本当に制裁が多くて、しょっちゅう騎乗停止になってましたからね。

佑介 でも、こだわりが強すぎて視野が狭くなると、普通は成績も崩れていくものだけど、ずっと安定した成績を出せているということは、相当ポテンシャルが高いということ。友一はケガで離脱したときも、成績はそこまで落ちなかったしね。だから、時期を見て中央場所に戻ったほうがいいと思うな。ローカルに比べて予測不能な動きは少ないから、友一の競馬にも合うと思うし。年末にも、「今のままでいいとは思ってない」って話をしたもんな。

北村 はい。本当は中央場所で乗りたいです。GIももっと乗りたいし…。

佑介 競馬界の流れとして、今、18人のなかに入るのは本当に厳しい。それは俺も痛感してるよ。でもやっぱりGIには乗りたい…。よし、俺の今年の目標にしよう。とにかくGIに乗る!

北村 確かにGIへの騎乗数が減っているのは僕だけではないですもんね。でも、GIの開催日にローカルで乗っていてモニター越しにレースを観ていると、「ダメだ、ここは俺の居場所じゃない。いつか絶対にそっち側に行ってやる!」って思うんです。

with 佑

▲GI開催日のモニター越しに「いつか絶対にそっち側に行ってやる!」って思うんです


佑介 そういう思いってすごく大事だと思うけど、本気でそう思っているジョッキーは意外と少ないのが現実だと思う。俺も今、ローカルに行くことが多いけど、もう一度やり直す意味で行っているから、やっぱり常に「帰らなアカン」と思ってるし。だから、同じことを思っているやつは、見ていればだいたいわかる。

北村 競馬はすごく楽しいんですけどね。ただ、キャリアを積むごとに目標や夢はどんどん大きくなっていくんですけど、理想と現実は離れていく一方で…。でも、そのギャップのなかでいろんなことにチャレンジしていって、理想も現実も一緒に上がっていければいいかなって。こだわりはこだわりとして持ちつつ、厩舎からのニーズにもファンのニーズにも応えられるようになりたいです。

佑介 友一の本番はこれからだよ。30歳だからもう若手とはいえないけど、友一は間違いなくネクストブレイクジョッキーでしょ。

北村 そういっていただけるとすごく嬉しいです。頑張らないとダメですね。幸い、最初の頃に比べて、悩んだときに助けてくれる人たちも周りに増えてきたので。そういう人たちがいるから、楽しんでやれているのかなと思います。なんといっても、本当に悩んだときは“佑介兄ちゃん”がいますし。

佑介 え〜、今後のお悩み相談は有料にします(笑)。今回の対談で、だいぶ友一のこだわりやストイックな性格が伝わったと思うよ。まぁ俺から言わせれば、まだまだ半分くらいしか出てへんけど…。

北村 これ以上突き詰めていくと、ただのアホで天然という結論になりかねないのでこのへんで…(苦笑)。藤岡先輩、今日はありがとうございました。僕にとって2017年を“変化の年”にできるように頑張ります!

with 佑

▲佑介「友一の本番はこれからだよ」、北村「2017年を“変化の年”にできるように頑張ります!」


(文中敬称略、了)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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