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ひと息入れて大きなストライドを取り戻した/大阪杯

  • 2017年04月01日(土) 18時00分


◆3歳馬の海外遠征は体調に与える影響が大きい

 阪神の日曜日は良馬場に回復する。高速のシーズンではないが、強気に(ダブル登録のあったダービー卿ではなく)こちらに挑戦してきたマルターズアポジーは、小倉大賞典の前半1000m通過57秒6ほどではなくとも、1000m通過58秒台では行くだろう。あっけなく失速した有馬記念とは異なり、阪神の内回り2000mなら勝ち負けに関係ない単なるペースメーカーではない。

 ロードヴァンドールも行かせて、少し離れた3番手あたりを追走になりそうなキタサンブラックにとって、マルターズアポジーの存在は武豊(キタサンブラック)にいやな存在である。武豊騎手はだれよりも各馬の能力と持ち味を把握している。「自分の騎乗馬の能力を完全に出し切れば、それで良し」とするようなレベルのジョッキーではない。

 マルターズアポジーの自滅を待つのは、内回りの2000mでは危険すぎる。周囲の考える以上に、少し早めにピッチを上げ、やっかいな逃げ馬にプレッシャーをかけに出る可能性がある。

 キタサンブラックをマークして射程に入れて進むはずのマカヒキサトノクラウンにとっては、キタサンブラックが自分が勝つために理想のペースで先行するのではなく、人気の先行馬ゆえのペースアップを余儀なくされそうな立場になるのは、大歓迎である。

 有馬記念のサトノダイヤモンド(ルメール)と同じように、キタサンブラックをマークして進めそうなマカヒキ(ルメール)に期待したい。前回の京都記念は決してデキは悪くなかったが、3歳馬の海外遠征(約1カ月半)は、男馬の場合はとくに体調に与える影響が大きいのだろう。自分の居場所に戻ったからといって、たちまち心身ともに万全の状態とはならないところがあったように思える。

 再びひと息入れた今回は、動きが伸び伸びして、大きなストライドを取り戻したように映る。

 キタサンブラックは、まず大きく崩れることはない。粘り強く、しぶとい持ち味フルに発揮と思える。距離2000mが本当はベストに近いはずだが、流れの緩まない距離だけに、逆にもっとも鋭さ不足の死角が全面に出かねない距離でもある。

 そこを衝けるのが、高い世代レベルを味方にするマカヒキではないか、と考えたい。サトノクラウンも以前のサトノクラウンではない。香港ヴァーズ制覇を契機に別馬のように力強くなった。鋭さが武器ではないが、速い脚が長く使えるのが重いパンチ力を秘めたこの馬だろう。マカヒキ→サトノクラウンを本線に、キタサンブラック、ミッキーロケットヤマカツエースを絡めたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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