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平沢健治騎手(3)『ジョッキーは自営業 東西間でもっとワチャワチャすればいい』

  • 2017年04月24日(月) 12時01分
おじゃ馬します!

▲平地の免許を返上、美浦から栗東への変更…その節目節目で何を思ったのか (C)netkeiba


平地の免許を返上して障害一本に、美浦から栗東への所属変更…騎手としてふたつの決断をした平沢騎手。その時その時のタイミングで何を思い、どんな覚悟があったのでしょうか。「性格的にも関西は合っている」と語った平沢騎手。性格の話から、知られざる素顔が見えてきました。穏やかな外見とは違って、意外と短気!?(取材:東奈緒美)


(前回のつづき)

40歳45歳といった節目で、引退を真剣に考えるときが


 2011年に平地の免許を返上されましたが、何かきっかけがあったのですか?

平沢 とくにこれといったきっかけはなかったのですが、そのときすでに障害しか乗っていませんでしたし、ジョッキーとしての興味もほぼ障害に移っていたので、自然な流れだったと思います。

 平沢さんに限らず、平地の免許を返上されるというのは、ジョッキーとして覚悟のようなものを感じます。

平沢 いや、覚悟というほどのものは…(苦笑)。ほかの人はどう考えているかわかりませんが、僕でいえば、学もなければすごく逞しい体をしているわけではない。特技といえば、馬に乗ることくらいです。だから、辞めたところで、サラリーマンはちょっと厳しいと思いますし、肉体労働だって体格的に難しい。覚悟というより、ほかにやりたいこともなければ、実際にやれることも少ないですからね。

 減量が取れるとき、障害に乗ってみるか、引退するか考えたとおっしゃっていましたが、それ以降もジョッキーを辞めようと思ったことがあるんですか?

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▲「減量が取れるとき以降も、ジョッキーを辞めようと思ったことがあるんですか?」


平沢 それはありますよ。今でも、あまり年を取ってまで障害ジョッキーは続けられないだろうなぁと思っています。

 そうなんですね。林さん(50歳)や熊沢さん(49歳)など、現役で頑張ってらっしゃる方もいますが。

平沢 すごいですよね。でも、僕自身は、林さんや熊沢さんの年齢まで続けられないと思います。年齢を重ねるごとに、絶対にバランスが悪くなってきますからね。そうすると、馬の動きについていけずに、たぶんポロッと落ちるようになると思うんです。バランスという意味では、平地より障害のほうが大事だと思うので。

 ご自分でそれを察したときに辞めようと?

平沢 そうですね。50歳まではまず無理でしょう(苦笑)。今はまだぼんやりとですが、40歳、45歳といった節目節目で、真剣に考えるときがくるんだろうなと思っています。

思ったことをハッキリと言ってしまうタイプで…


 2013年の4月に美浦から栗東に移籍されたわけですが、それはどういった経緯があったのですか?

平沢 思ったように成績が上がらなくて、ちょっとモチベーションが下がっていたんですよね。もちろん、自分の責任ではありますが、徐々にやる気も薄れていって…。それで、どうせダメなら栗東も試してみてから考えてもいいんじゃないかって。せっかく美浦と栗東があるわけですから。

 どなたかバックアップしてくださった方がいらっしゃったんですか?

平沢 今は乗り役を辞めてしまいましたけど、千葉(直人元騎手)くんに「栗東に行こうと思っているんだけど、知っている厩舎がないんだよね」という話をしたら、「領家先生にお願いしてみましょうか」と言ってくれて。それで最初は領家先生にお世話になりました。

 そうだったんですね。栗東に来て良かったなぁと感じることはどういうところですか?

平沢 生活面で何かと便利ですよね。美浦は…、本当に何もないから(笑)。あと、僕は思ったことをハッキリと言ってしまうタイプなんですが、そういうところも関西のほうが合うと思います。

 栗東にきて、仲良くなった方はいますか?

平沢 ん〜、僕は人付き合いがどうも浅くて…。

 やっぱり一匹狼なんですね(笑)。

平沢 そういうわけではないんですけど(笑)。一番よくご飯を食べに行くのは森(一馬)くんですけど、ひとりで過ごしていることも多いです。

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▲障害レースでも活躍する森一馬騎手 (C)netkeiba


 飲みに誘われたりしませんか?

平沢 飲めないので、飲みの誘いは断ります。あと、女性がいるお店も苦手です(苦笑)。ギャンブルもしないし、ゴルフもしないし…。ゴルフって、自分が止めたいときに止められないじゃないですか。それが嫌で。

 意外と短気かも!?

平沢 そうかもしれません。自分の思った通りに行動したいんですよね。だから結局、ひとりで行動することが多くて。

 じゃあ、お休みの日は、大概ひとりで過ごされているんですか?

平沢 そうですね。たまに買い物に行ったりもしますが、大概はDVDを観たり、ゲームをしたり…。基本的に家にいるのが好きで、ひとりでダラダラ過ごしてます。

 そうなんですね。ここ数年、美浦から栗東に移籍する騎手が増えていますが、それについてはどう思われますか?

平沢 もともとジョッキーは自営業ですからね。むしろ、東西間でもっとワチャワチャすればいいのにと思ってます(笑)。保障なんて何もないわけですから、ジョッキーそれぞれが自由にしていいと思いますけどね。

おじゃ馬します!

▲「もともとジョッキーは自営業。むしろ、東西間でもっとワチャワチャすればいいのにと(笑)」


(文中敬称略、次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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