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新種牡馬ヘニーヒューズ産駒の好配合馬オーヴァーライト

  • 2017年04月26日(水) 12時00分
≪2歳≫

オーヴァーライト(牡 美浦・手塚貴久 父ヘニーヒューズ、母オーヴァーアンダー)
 母オーヴァーアンダーは米13戦3勝。グレードレースは勝っていないものの、ダート8.5ハロンのステークスを勝った。日本における初子アースシンフォニー(父Unbrdled's Song)は500万クラスに在籍している。2代母Princess Mitterandは本邦輸入種牡馬フレンチデピュティの半姉にあたる良血。父ヘニーヒューズは今年の2歳世代が日本における初年度産駒となる。アメリカ供用時代のマル外は出走14頭中11頭が勝ち上がり、そのなかからモーニン、アジアエクスプレス、ヘニーハウンド、ケイアイレオーネと4頭の重賞勝ち馬を出した。驚異的な確率といえるだろう。本馬はHold Your Peace 4×4、Jet Action 6×6を持つ。前者に含まれるEight Thirtyと後者は、いずれもMan o'War≒Friar Rockという相似な血のクロスを持つ。ヘニーヒューズ産駒の活躍馬は、この相似な血のクロスを強化させた配合馬が目立つので、本馬の配合は高く評価できる。ダート向きのマイラーだろう。

スズカテイオー(牡 栗東・橋田満 父ディープインパクト、母スプリングサンダー)
 3代母キーフライヤーは名繁殖牝馬ダンシングキイ(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードなどの母)の全妹にあたる良血。母スプリングサンダーは現役時代に阪急杯(GIII)2着、CBC賞(GIII)2着などの成績を残した活躍馬で、サンデーサイレンスを持たないクロフネ産駒の牝馬だけに繁殖牝馬としての期待は大きい。初子のスズカメジャー(父ダイワメジャー)はニュージーランドT(GII)で6着と健闘し、今後の飛躍が期待される。本馬の父はディープインパクト。「ディープ×クロフネ」はステファノス、シャイニングレイ、ポルトドートウィユなど多くの活躍馬が出ており、本馬は2代母がMr.Prospector系なので配合構成はステファノスに似ている。芝向きの中距離タイプだろう。

トゥルータキオン(牡 美浦・田中清隆 父エイシンフラッシュ、母ヴィーヴァタキオン)
 父エイシンフラッシュは現役時代に日本ダービー(GI)と天皇賞・秋(GI)を制覇。上がり3ハロンは前者が32秒7、後者が33秒1と、極限の瞬発力勝負になったときに並外れた力を発揮した。瞬発力といってもサンデー系のようなしなやかな切れ味ではなく、フィジカル面の強さをベースとしたKingmambo系独特の脚の速さで、仕掛けられてからわずかな時間でトップスピードに乗り、それを持続させるのが持ち味。馬体もサンデー系とは違い、ドイツ血統の影響を感じさせる重厚さが表れている。母方はサンデー+スピード血統が基本だと思われるので、「アグネスタキオン×Storm Cat×Sir Ivor」という構成でHalo≒Sir Ivor 3×3を持つ母ヴィーヴァタキオンは悪くない。芝向きの中距離タイプだろう。

ベストヴォヤージュ(牝 美浦・鹿戸雄一 父クロフネ、母シーズンズベスト)
 2代母シーズアンは2歳時に英ニューマーケットでチェヴァリーパークS(G1・芝6f)を勝った。産駒に重賞級の大物はいないが、ビーオブザバン(準OP)、テンペル(準OP)などコンスタントに良馬を出している。母シーズンズベストは3勝を挙げたローカル巧者だった。本馬は「クロフネ×ゼンノロブロイ×Zieten」という組み合わせ。「母の父ゼンノロブロイ」は現時点で連対率が10%に満たず、成功しているとは言いがたいが、「サンデーサイレンス+Mr.Prospector+La Troienne」という血統構成で、これはクロフネ産駒の成功パターンでもある。したがって本馬の配合には注目してみたい。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

ミーティアトレイル(牡 栗東・池添学 父ネオユニヴァース、母ラフィントレイル)
 母ラフィントレイルは現役時代に5戦して未勝利に終わったが、名牝ファビラスラフイン(96年秋華賞-GI、96年ニュージーランドT4歳S-GII、96年ジャパンC-GI・2着)の娘で、ギュスターヴクライ(12年阪神大賞典-GII)の半姉にあたる良血がモノをいい、繁殖牝馬として成功している。これまでにブレイズアトレイル(14年京成杯オータムH-GIII・2着)、ジャイアントリープ(13年京都新聞杯-GII・3着)の母となった。本馬はジャイアントリープの全弟。「ネオユニヴァース×エルコンドルパサー」の組み合わせからは他にオメガハートロック(14年フェアリーS-GIII)が出ており悪くない。兄同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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