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晩成タイムパラドックス

  • 2005年01月24日(月) 17時21分
 1月26日「川崎記念」。登録のあったアジュディミツオーは、国内戦を使わずドバイ直行。2月中旬には現地入り、万全を期すという。昨年レコード勝ちエスプリシーズは、いったんカムバックしたものの状態が戻らず、1月21日、正式に引退が表明された(青森で種牡馬入りの予定)。04年NAR最優秀古馬のタイトルを得たナイキアディライトも、昨暮れから放牧休養、しばらく戦列を離脱する。諸行無常。ただ全体にフレッシュな顔ぶれになったことは事実で、証拠に、ダイワエルシエーロ、シーキングザダイヤ、JRAから2頭、目玉となる4歳馬が登場する。地方びいきにこだわらなければ、十分楽しめそうな一戦とはひとまず思う。

川崎記念(3歳以上 定量 交流G1 2100m)

◎タイムパラドックス (57・武豊)
○モエレトレジャー  (56・金子)
▲トーシンブリザード (57・今野)
△ダイワエルシエーロ (54・福永)
△シーキングザダイヤ (56・横山典)
△ウツミジョーダン  (57・小林俊)
△ノボトゥルー    (57・内田博)

 タイムパラドックスを信頼する。王者アドマイヤドンに2.1/2差をつけたJCダート。直線インをえぐるような差し切り。なるほど好騎乗も手伝ったが、昨シーズン、地方では他にブリーダーズゴールドC(旭川)、白山大賞典(金沢)を制覇している。長丁場、底力の生きるレースで抜群の強さ。前走の東京大賞典を含み、大井G1完敗は微妙なコース適性の差と納得だろう。間隔を詰めて使われながら、馬体重などまったく動かない頑健さ。周知の通りブライアンズタイム産駒は、いったん本格化して、そのピークがきわめて長い。

 ダイワエルシエーロは初ダート。新境地を探る戦いだが、芝1600mでも掛かり気味に先行するスピードが、ここで仇にならないか。いきなり地方遠征というパターンも過去あまり好走例がない。シーキングザダイヤは、前走兵庫ゴールドトロフィー(園田)が案外の辛勝にみえた。デビューから一貫、短〜マイルを使ってきた馬。川崎2100mで正直プラスは浮かばない。

 相手は南関勢が妙味だろう。モエレトレジャーは昨暮れの浦和記念(交流G2)を楽勝し、すでに一線級通用の能力が計算できる。最もフィーリングが合う左回り2100m。今回内目の枠を引き(3番)、逃げ、もしくはイン2番手のイメージか。トーシンブリザードは東京大賞典でタイムパラドックスと3/4差だった。2歳時の記録ながら川崎コース2戦2勝。かつての凄み、迫力はともかく、自身好条件は揃っている。トライアル・報知オールスターCを制したウツミジョーダンは、その後岩手にトンボ返り、地元桐花賞をあえて使った。不得手の道悪、7着の結果は不問としても、そのステップがいかにもきつい。ノボトゥルーは、JCダート4着など意外な守備範囲の広さがあり、内田博Jなら押さえに評価。


     ☆     ☆     ☆

 1月19日、大井「TCK女王盃」。レマーズガールが危なげない勝利を収めた。人気薄コウエイソフィアが好枠から腹をくくった逃げを打ち、1000m通過60秒1のハイペース。レマーズは中団外めで流れに乗り、4角手前から早めのスパート。「手応えがひと息でヒヤリとしたが、逆に追い出してからの伸びはイメージ以上。芯が強い馬ですね。抜け出してからは余裕があった」(武豊騎手)。いともあっさりという女王盃連覇。同時にこれで交流重賞、タイトル6勝を記録した。一歩早めに動いたオルレアンが2着。ゴール前インから迫ったジーナフォンテンは及ばず3着。期待したエンシェントヒルは当日20キロ減で、最後差を詰めたもののスタミナ切れという4着だった。グラッブユアハート5着、プルザトリガー10着。正直レマーズ以外の人気馬、すべて期待外れの印象が強い。

TCK女王盃(4歳上牝 別定 交流G3 1800m良)

▲(1)レマーズガール   (57・武豊) 1分52秒7
△(2)オルレアン     (54・藤田) 1.1/2
△(3)ジーナフォンテン  (56・張田) 首
◎(4)エンシェントヒル  (54・福永祐) 3
○(5)グラッブユアハート (55・安藤勝) 1
…………………………………
△(7)アイチャンルック  (54・山田信)
△(10)プルザトリガー   (54・内田博)

単290円 馬複1550円 馬単2510円
3連複21980円 3連単76390円

 前週の当欄で「レマーズガールは偏差値的な強さ」と書いた。結果からは何やら恥ずかしいような屁理屈だったが、その時計1分52秒7はやはり平凡。翌日B1下で1分53秒0(ドンバニヤン)が出ているから、少なくとも女傑というレベルには大きく遠い。「牝馬ダート重賞」の甘さ、そこにきっちり的を絞った陣営の勝利。個人的には再び負け惜しみが言いたくなる。出でよ新星―。しかし、南関最先着が7歳を迎えたジーナフォンテン。地方勢にとって客観情勢はきわめて厳しい。

 20キロ減のエンシェントヒル。環境の変化に敏感とは聞いていたが、パドックの馬体など数字通り寂しく、仕草にも戸惑い、イラつきがはっきり見えた。ただこの状態で4着だから能力は相当高く、乗り替わった福永Jでゲートもスムーズ。収穫ありとはいえるだろう。オルレアンはジリ脚の先行型でイメージ通り地方向き。経験を積めばレマーズとの差は詰まってくる。ジーナフォンテンに期待があれば、次走川崎エンプレス杯、得意の左回りに変わること。グラッブユアハートは道中中団よりやや後ろ。レマーズをマークできないとパワーの差が如実に出る。アイチャンルックはひと息入れて馬体にだいぶ余裕があった。プルザトリガーは結果的に勤続疲労ということか。実績からは納得できない凡走だった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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