JRAブリーズアップセールの高額注目馬(須田鷹雄)
◆2000万円以上で取引された馬から数頭をピックアップ
かつては赤本もJRAブリーズアップセールの情報をぎりぎり突っ込んで校了していたものだが、ここ数年のスケジュールではそれもできなくなり、今年のように4月発売となると全く無理な情勢。そこで、このコラムにてJRAブリーズアップセール組について触れようと思う。
個人的にはダートの短距離っぽい馬のほうがこのセールでは計算がたつと思っているのだが、公益性を考えるとやはり高馬優先で紹介していくしかない。今回は2000万円以上で取引された馬から数頭をピックアップする。
最高価格となった母ハンターズマーク(牡/父ノヴェリスト・厩舎未定・480キロ)は、しっかりとしたフォームで11.5-11.6秒をマーク。時計が出たという以上に、走りそのものが好印象だった。あとは前述したようにこのセールから芝中長距離タイプの活躍馬が出るのかという問題と、ノヴェリストそのものがどれだけやれるのかだろう。
価格2位の母ヴィエナトウショウ(牡/父ディープブリランテ・西村・442キロ)は12.6-11.1秒で、後半は数字以上に素軽いスピードが目立った。乗り手が原田騎手だったということを考えてもよく走ったし、評価が高まるのも当然。あとはこの馬も、馬のタイプとセールの相性がテーマだろう。
母ジーントウショウ(牡/父ヨハネスブルグ・小笠・422キロ)はかなりうるさい馬で、調教供覧のときも馬場に先入れ。気性リスクはかなりあるが、62キロのJRA職員が乗って11.8-11.2秒のスピードはやはり魅力。この馬はダート短距離が向きそうだし、厩舎もそこが得意なので、高馬チームの中ではかなり期待したくなる1頭だ。
母エフテーストライク(牡/父サウスヴィグラス・北出・466キロ)は鞍上が抑えても前進気勢が勝る感じで、スピード感あふれるピッチ走法。12.1-11.1秒で後半の伸びは目立った。ダート短距離タイプということもあり、個人的には強く推せる存在。
母アインライツ(牡/父カネヒキリ・牧田・466キロ)はセール最終盤のヤマ場になった馬。タイムは12.1-11.7。口向きなどややクセはある馬なので、良い方に育っていくかどうかによって結果は分かれそう。ダートでいける父の仔という点はプラス。
以上が価格ベスト5なのだが、価格6〜9位から個人的にもう1頭挙げるとしたら母ロックドクトリン(牡/父ゴールドアリュール・松下・474キロ)。13.3-12.1と時計は水準級だし止め際にモタれるなど未完成な部分もあるが、走りの軽さがある。この父の産駒だが芝をこなしても不思議ではない。