▲“z-health”という武器を手にした宮崎騎手、ジョッキーとしてのこれからの目標は?
宮崎騎手がアメリカで習得した「z-health」について伺ってきたインタビューも、今回が最終回。体が資本の“ジョッキー”。研究熱心な宮崎騎手はさらなる進化を求め、この理論を突き詰めていきたいと意欲を見せています。その宮崎騎手の奥様は、ピラティスの先生。真剣に“体”に向き合うふたりの私生活も明らかに!? (取材:赤見千尋)
(前回のつづき)
宮崎夫妻の会話がマニアック過ぎる
赤見 「z-health」を習得されて、まさにさあこれからという宮崎騎手ですが、今後はどんなことを目標に?
宮崎 それはもう、まずはひとつ勝つことです。最近は2着ばかりなので…(苦笑)。ひとつひとつ積み重ねて、その結果、去年の成績(5勝)を超えられたらいいなと思っています。
赤見 自分自身を磨きつつ、地道にコツコツとということですね。
宮崎 はい。競馬って、人と人との繋がりのなかでいい馬に巡り合って、結果に繋がっていくものじゃないですか。自分のスキルをフルに生かしたとしても、2ケタ人気馬を簡単に勝たせることなんてできませんから。だから、人としてもっと信頼されるよう、技術も内面も磨いていきたいです。「z-health」も、まだカリキュラムが残っているので、来年もまた受講したいと思っています。ここまできたら突き詰めたいですね。
赤見 これだけご自身で効果を実感できているんですから、そりゃあ突き詰めたくなりますよね。
宮崎 そうですね。実は哺乳類の体に共通した理論なので、海外では動物に応用している方もいるんですよ。どんな結果をもたらすのかはまだわかりませんが、実際、馬に応用している方もいますから。だから、僕も競馬に関わる人間として、馬の走りや動きをこれまでとはまったく違う視点で見られるようになったら面白いんじゃないかって。
赤見 それは面白い! 眠っている能力を引き出すことも可能かもしれませんね。とことん突き詰めて、最終的には論文を書いてほしいくらいです(笑)。それにしても、行動力もモチベーションもすごいですねぇ。宮崎騎手に限らず、最近はみなさんトレーナーを付けたりして、真剣に自分の体と向き合ってらっしゃる。それも仕事のうちといえばそれまでですが、本当にみなさん研究熱心ですよね。
▲「とことん突き詰めて、最終的には論文を書いてほしいくらいです(笑)」
宮崎 ほかのジョッキーのトレーナーさんについてはよくわかりませんが、ボディフィットネス業界でいえば本当に規模が大きくて、ビジネスとしてありとあらゆるアプローチが可能な状態です。なぜなら、「人間の体」に対して、まだ答えがないというか、わかっていることが少ないからだと思うんですよね。
赤見 なるほど。確かに、新しいエクササイズなどが次から次へと生まれては消えていきますものね。
宮崎 そうですね。だから、大事なのは、ありとあらゆる情報が溢れているなかで、どれを選択するか。そこが一番難しいところなんですけどね。
赤見 でも宮崎騎手は、ご自分の体を使っていろんなことを試しながら、「z-health」にたどり着いた。
宮崎 自分に合う合わない以前に、背景にある科学がすごくしっかりしていて、自分のなかで納得できたということもあります。ヨガにしてもピラティスにしても、何らかの効果は必ずあると思うんです。じゃあ、「どこがどうなって、なぜ効果があるのか」となると、言葉で具体的に説明できないことが多いんですよね。その点、「z-health」は違ったというか。
赤見 そういえば、奥様はピラティスの先生ですよね? 宮崎騎手の取り組みに対して、アドバイスがあったりするのでは?
宮崎 いえ、アドバイスというのはないです。ピラティスはエクササイズですからね。僕の場合、馬乗りが巧くなりたいという明確な目的があるわけで、ピラティスをいくら頑張っても馬乗りは巧くならない。そのあたりは妻もわかっていますから。「z-health」については、理解も賛同もしてくれていますよ。妻は妻でものすごく勉強していますからね。
赤見 お互い刺激になっていいですね。確か奥様も、ご結婚されてからピラティスの勉強を始められたんですよね? 二人ともすごい!
宮崎 二人でいると、マニアックな会話ばっかりしてますよ。熱が入りすぎて、ケンカになっちゃったり(苦笑)。
赤見 それはそれで素敵です(笑)。ご家族の支えがあるのは何よりですね。
宮崎 そうですね。全面的にバックアップしてくれています。それほど稼いでいるわけでもないのに、何十万もかけて海外に行って勉強して…。しかも、妻と子供を置いてね(苦笑)。当然、その間は無収入になるわけですから、反対されてもおかしくないんですけどね。でも、文句ひとつ言わずに、苦しいなか、よく我慢してくれています。
赤見 だからこそ、より結果を出したいと。
宮崎 それはもうホントに。ひとつでも多く勝ちたいのはもちろんですが、人としてもジョッキーとしても、もっともっとステップアップしていきたいですね。
▲支えてくれている家族のためにも「人としてもジョッキーとしてもステップアップしていきたい」
(文中敬称略、了)