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トゥザグローリーの4分の3弟トゥザフロンティア

  • 2017年06月07日(水) 12時00分
キープシークレット(牝 栗東・矢作芳人 父ダイワメジャー、母ウーマンシークレット)
 母ウーマンシークレットは不出走ながら、Rumplestiltskin(全欧2歳牝馬チャンピオン)、ラヴズオンリーミー(リアルスティール、プロディガルサン、ラングレーの母)などの半姉にあたり、2代母Monevassiaは大種牡馬Kingmamboの全妹という超良血。母方にSadler's Wellsを持つダイワメジャー産駒にはメジャーエンブレム(16年NHKマイルC-GI、15年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、ヤマニンファラオ(12年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、ブレイズアトレイル(14年京成杯オータムH-GIII・2着)、マテンロウハピネス(15年アーリントンC-GIII・3着)などが出ている。重厚な血統ながらスピードも秘めているので期待十分。芝向きのマイラーだろう。

グランドピルエット(牝 美浦・田村康仁 父ロードカナロア、母ザレマ)
 母ザレマは京成杯オータムH(GIII)の勝ち馬で、マルカシェンク(デイリー杯2歳S、関屋記念)の4分の3妹にあたる良血。繁殖牝馬としてはOPクラスまで出世したミッキーオリビエ(父キングカメハメハ)を出している。本馬はキングカメハメハの息子ロードカナロアを父に持つのでその4分の3妹となる。母の父ダンスインザダークのスタミナは父ロードカナロアのスピードとマッチしそうだ。また、Nijinsky≒Storm Bird≒The Minstrel 7・4×4・5、Secretariat=Syrian Sea 5・6×6となるので、ミッキーオリビエよりも緻密で感触がいい。距離はマイルあたりまでなら十分もつはずなので桜花賞も狙えるだろう。

スワーヴエドワード(牡 美浦・国枝栄 父エイシンフラッシュ、母スルージエアー)
 父エイシンフラッシュは今年の新種牡馬。現役時代に日本ダービー(GI)と天皇賞・秋(GI)を制した。キングカメハメハと同じKingmambo系に属し、父キングズベスト、母ムーンレディともドイツ血統を含んでいる。その影響もあって馬体にはヨーロッパ的な重厚さが漂っており、配合が合えば大物が誕生しそうだ。母スルージエアーは未勝利馬だが、名牝ウインドインハーヘアの孫にあたるので繁殖牝馬としては大いに可能性があるだろう。今年の日本ダービー馬レイデオロ、クイーンC(GIII)優勝馬アドマイヤミヤビはウインドインハーヘアの牝系から誕生している。後者と本馬はいずれもライクザウインドを2代母に持つのでいとこ同士となる。芝向きの中距離タイプだろう。

トゥザフロンティア(牡 栗東・池江泰寿 父ロードカナロア、母トゥザヴィクトリー)
 トゥザグローリー(父キングカメハメハ/11年京都記念-GIIなど5つの重賞を制覇)、トゥザワールド(父キングカメハメハ/14年弥生賞-GII)、トーセンビクトリー(父キングカメハメハ/17年中山牝馬S-GIII)の4分の3弟にあたる良血。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(GI)など重賞4勝、ドバイワールドC(首G1)2着などの戦績がある。キングカメハメハとの相性が抜群で、前記3頭はすべてこの配合となる。本馬の父はロードカナロアなので4分の3弟。ロードカナロア産駒は先週日曜の東京新馬戦(芝1600m)でステルヴィオが好時計で快勝した。「ロードカナロア×サンデーサイレンス」は手堅く成功すると思われる組み合わせで、2代母フェアリードールはHyperionの塊なのでスピードの持続力をサポートするだろう。大物感にあふれた完璧な配合だ。母が19歳時の産駒という以外は欠点らしい欠点が見当たらない。距離は2000mまでOKだろう。

ナスノシンフォニー(牝 美浦・武井亮 父ハーツクライ、母ナスノシベリウス)
 「ハーツクライ×Unbridled's Song」の組み合わせはスワーヴリチャード(17年共同通信杯-GIII、17年日本ダービー-GI・2着)と同じ。Seattle Slewを併せ持つところまで共通している。母方にSeattle Slewを持つハーツクライ産駒は成功しており、この組み合わせからアドマイヤラクティ(14年コーフィールドC-豪G1)、カレンミロティック(13年金鯱賞-GII)、シュンドルボン(16年中山牝馬S-GIII)、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)、ベルラップ(14年京都2歳S-GIII)など多くの活躍馬が出ている。Unbridled's Songの肌にサンデー系種牡馬、というパターンはスワーヴリチャードのほかにダノンプラチナ(14年朝日杯フューチュリティS-GI)、トーホウジャッカル(14年菊花賞-GI)などが出ており、このところ目立ってきている。Mr.ProspectorとDanzigを併せ持つハーツクライ産駒には日本ダービー馬ワンアンドオンリー、オークス馬ヌーヴォレコルトが出ており、これも悪くない。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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