◆マルターズアポジーのペースがもっとも有利になるだろう ここまで20戦、だれが乗っても一度もハナを譲ったことのない
マルターズアポジーが武士沢騎手で行く。昨秋の福島記念は「61秒0-59秒8」=2分00秒8(上がり35秒9)。スローの逃げ切り。今年2月の小倉大賞典は「57秒6-48秒2」=1分45秒8(上がり36秒5)という、ハイペースでの逃げ切り。
どんなペースでも行けるが、今回は57.5のハンデ頭。高速上がりでフィニッシュするタイプではないから、妙なスローにはせず、後続にも楽はさせないような前半1000m通過「59秒0〜5」くらいの平均ペースか。スローでは最後に切れ負けする危険大である。
マルターズアポジーがスローではない流れを作るとき、もっとも有利になるのは同馬をみながら、2〜3番手を追走する形になると思える
マイネルフロスト(父ブラックタイド)だろう。この馬も高速の上がり勝負は歓迎ではなく、積極策でスパートして押し切りたいタイプ。
日本ダービーを0秒3差の3着(12番人気)のあと、4歳時の福島2000mの福島民報杯を好位から抜け出し1分59秒1で勝ったのみ。勝負どころで息を抜いたりの気性の難しさもあってスランプが続いたが、6歳の今年、ブリンカーを装着したのが大正解。
5月の新潟大賞典2000mでは、1000m通過59秒8で逃げたトーセンレーヴに早めに並びかけ、差してきたサンデーウィザードとマッチレース。ゴールで鼻差だけ首の上げ下げで負けたものの、上がり34秒3でまとめ1分58秒6で乗り切った。前回の鳴尾記念2000mは結果としてちょっと弱気。前走に続き騎乗した丹内騎手が1000m通過「61秒6」の超スローの3番手に下げ、口を割って行きたがるのを懸命になだめ通し。あれだけロスがあっては凡走のパターンだが、後半1000mをこの馬も「57秒8」でまとめ、差し返すように、逃げ切ったステイインシアトルの0秒3差の3着に食い下がり、上がりは2000mでは自己最高の34秒2だった。強気にスパートしていれば…と思える残念な内容である。
ブリンカーが利き、完全にスランプは脱出。最後までレースをあきらめなかった。いつも調教は動くほうだが、今回はしなやかにリズムに乗った動きをみせ目下絶好調に近い。この状態で、マルターズアポジーを追いかけ、なんとか競り落とそうと早めにスパートの展開なら、秘める能力が最大限に引き出されるはずである。チェンジした柴田大知騎手は強気に乗ってくれるだろう。
距離ベスト。コースもベスト。難しそうな展開も実際には有利と思える。