一昨年、昨年の上位馬がいないフレッシュな出走メンバー
7月17日(祝・月)、盛岡競馬場で行われる『第21回マーキュリーC(2000m・JpnIII)』。昨年7月1日、22歳でこの世を去ったメイセイオペラはこのレースの第2回の覇者。岩手の雄の功績を称え、今年から“メイセイオペラ記念”という副称が付けられました。ここから大きく飛躍を遂げたメイセイオペラ。今年もまた今後のステップアップを目指す馬たちが夏の盛岡競馬場に集結します。
今年はJRAから5頭、北海道1頭、笠松2頭、金沢1頭、高知1頭、岩手4頭の14頭が出走。一昨年、昨年の上位馬がいないフレッシュなメンバーで争われます。20年の歴史の中で地方勢が制したのは前述したメイセイオペラと一昨年のユーロビートのみ。JRA勢が上位争いを繰り返す中、昨年はタイムズアローが2着、ユーロビート4着と地方勢も健闘しましたが、今年は地方の有力馬が不在でJRA勢が中心になりそうです。
JRA勢の中でもこのレースにゆかりのある1頭、第14回の覇者・カネヒキリ産駒のミツバを最初に取り上げましょう。
父も制したこのレースで初重賞制覇を果たして欲しいミツバ
ミツバは2014年9月にデビュー、11月に初勝利した後コツコツと勝利を重ね、昨年2016年9月にオークランドRCT(1600万下・阪神・1800m)を勝って4歳でオープン入り。重賞初挑戦だった10月のシリウスSで4着となると続くブラジルC(OP・東京・2100m)、ベテルギウスS(OP・阪神・2000m)を連勝。今年2月の川崎記念で4着に健闘。JpnIレースで上位争いをするまで着実に一歩ずつ前進してきた印象です。その後4月のアンタレスSは後方からの競馬となり11着に敗れてしまいましたが、前走・ブリリアントS(OP・東京・2100m)で1着。中団後方から徐々に進出しての快勝。2000m以上のレースでは5戦3勝、左回りの東京コースは3戦2勝と結果を出しているのは好材料です。
2000m以上の距離、左回りで成績を残しているミツバ(写真は2017年ブリリアントS優勝時、撮影:下野 雄規)
ミツバの父は度重なる怪我から何度も復活し、多くの人々に感動を与えたカネヒキリ。自身最後の重賞制覇となったマーキュリーCでのパフォーマンスは今でも忘れられません。カネヒキリもまた昨年5月27日に種付け中の事故により14歳で天国に旅立ってしまいました。父に捧げる勝利を挙げ、初重賞制覇を果たして欲しいと思います。
マーキュリーCが最後の重賞勝利となったカネヒキリ(写真は2010年マーキュリーC優勝時、撮影:高橋 正和)
ピオネロは2013年デビュー。芝で22戦して4勝を挙げたのち昨年7月、5歳でダートに転向。ダート初挑戦の白川郷S(1600万下・中京・1800m)でいきなり勝利すると続くBSN賞(OP・新潟・1800m)も連勝。10月のシリウスSではマスクゾロのクビ差2着と実に惜しいレースぶり。今年に入って5戦しまだ勝ち星を挙げていませんが、前々走・名古屋大賞典ではケイティブレイブの2着、前走・平安Sでは4着。実は前走・平安S組は昨年のストロングサウザー(9着)、2014年のナイスミーチュー(6着)、2013年のソリタリーキング(9着)など成績にかかわらず直行した馬が勝利を挙げている好相性なレース。ピオネロも重賞タイトルに手が届くところまで来ています。
重賞タイトルに手が届くところまで来ているピオネロ(写真は2016年シリウスS出走時、(C)netkeiba)
クリノスターオーは2014年4歳で平安Sを制して重賞初制覇。さらに同年のシリウスS、2015年のアンタレスSも制している重賞3勝馬で、今回のメンバーでは実績ナンバーワンの存在。しかし2015年アンタレスS後は12戦して【0-5-1-6】。重賞で2着5回という惜敗が続いています。昨年、韓国のG1・コリアCでクリソライトの2着後、休養明けの前走・平安Sで14着に大敗。敗因が休み明けで息が持たなかったと考えれば、1度叩いた今回は上昇必至。斤量は56kgと他馬よりも多く背負いますが、57kgや57.5kgでもかつては重賞勝利を挙げているので問題はないでしょう。古豪が息長く活躍するダート戦ではまだ若い7歳馬。その実績からあっさり復活を遂げる可能性も。
実績からあっさり復活を遂げる可能性もあるクリノスターオー(写真は2015年アンタレスS優勝時、(C)netkeiba)
ディアデルレイは昨年5月にダート転向初戦の1000万下(東京・1600m)でいきなり勝利すると、ダート3戦目の錦秋S(1600下・東京・1600m)を勝ってOP入り。前々走・マーチSはインカンテーションの1/2馬身差2着となり重賞でも上位争いができる力を示しました。前走・オアシスS(OP・東京・1600m)は厳しい流れとなり13着に敗れましたが、どこまで巻き返せるか休養を挟んでの立て直しに期待です。
ドリームキラリは7月9日のマリーンS(OP・函館・1700m)12着から連闘で参戦。今年1月のポルックスS(OP・中山・1800m)を逃げ切った時のように自分のペースでレースができれば前進も可能。
地方勢からは北海道のドラゴンエアル。川崎所属時代の2014年に水沢・ダービーグランプリ、2015年に川崎・報知オールスターCを制覇。2015年のダイオライト記念ではクリソライトの4着となりました。1年8か月の長期休養を経て、今年1月の報知オールスターC8着。その後ホッカイドウ競馬に移籍後、初戦5月の赤レンガ記念ではオヤコダカの2着。前走で久しぶりの勝利を挙げて復活。今回のメンバーでどこまでやれるでしょうか。
前走で久しぶりの勝利を挙げて復活を遂げたドラゴンエアル(写真は2015年報知オールスターC優勝時、撮影:高橋 正和)
2016年の川崎・報知オールスターCを制した金沢のグルームアイランド。地元岩手ではみちのく大賞典でエンパイアペガサスの3着だったハイパーチャージにも注目。
岩手競馬へは初参戦のグルームアイランド(写真は2016年報知オールスターC優勝時、撮影:高橋 正和)
17日当日は『ジャパンジョッキーズカップ2017』も行われる盛岡競馬場。トップジョッキーたちが「チームJRA」「チームEAST」「チームWEST」に分かれて、3つのレースでポイントを競うチーム対抗戦です。各チーム4名、12名の名手たちの戦いもお見逃しなくご覧ください。3連休最終日は見どころ盛りだくさんの岩手・盛岡競馬にぜひご注目を!
※次回の更新は8月14日(月)18時。翌日に盛岡競馬場で行われる「クラスターC」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。