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リオンディーズの全妹、エピファネイアの半妹にあたるシーリア

  • 2017年08月02日(水) 12時00分
サラキア(牝 栗東・池添学 父ディープインパクト、母サロミナ)
 エルフィンS(OP)を勝ったサロニカの全妹。母サロミナはドイツオークス(G1・芝2200m)の勝ち馬で、その半妹サンタフェチーフは現在準OPに在籍中。サロミナ&サンタフェチーフ姉妹の母Saldentigerinは独3歳牝馬チャンピオンという筋の通ったファミリーに属している。純ヨーロッパ血統でありながら日本の高速馬場に適応しているところは非凡だ。母サロミナの「Lomitas+デインヒル」という配合はDanedream(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどG1を5勝)と似ている。そして、Danzigを経由したNorthern Dancerクロスを持っているので父ディープインパクトの成功パターンに当てはまる。本質的には古馬になってから本格化する晩成タイプで、距離も2000m以上がベストだが、全姉サロニカがエルフィンSを勝ったように意外に仕上がりの早さがある。姉よりも切れる脚が使えれば大物。

シーリア(牝 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母シーザリオ)
 母シーザリオは現役時代6戦5勝(2着1回)。オークス(GI)を勝ち、米遠征してアメリカンオークス(G1)を楽勝した名牝。しかし、繋靭帯炎を患ったため、米遠征から帰国後は一度も出走することなく引退。同じスペシャルウィーク産駒のブエナビスタと比べても見劣らないほどの名牝だった。繁殖牝馬としても優秀で、すでにエピファネイア(父シンボリクリスエス/14年ジャパンC-GI、13年菊花賞-GI)、リオンディーズ(父キングカメハメハ/15年朝日杯フューチュリティS-GI)を産んでいる。歴史的名牝の域に達しているといえるだろう。本馬はリオンディーズの全妹。母の産駒のなかで勝ち上がることなく抹消した馬が牝馬(ヴァイオラ、ロザリンド)だったが、本馬は育成時代から順調に来ており、おそらく牝馬であることのマイナス面といったものはないだろう。芝向きの中距離タイプ。

ソシアルクラブ(牝 栗東・池添学 父キングカメハメハ、母ブエナビスタ)
 母ブエナビスタは桜花賞(GI)とオークス(GI)の牝馬二冠に加え、ジャパンC(GI)、天皇賞・秋(GI)などG1を6勝し、年度代表馬に選ばれた女傑。2代母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(GI)の勝ち馬で、ブエナビスタをはじめ6頭の重賞勝ち馬を産んだ希代の名繁殖牝馬。ドイツ血統の優秀性を知らしめた最初期の1頭でもある。娘のアーデルハイトはこれまでに産んだ3頭がいずれも勝ち上がっており、孫の代からもいずれ重賞勝ち馬が出てきそうだ。本馬の全姉コロナシオンは新馬戦を勝ち上がったものの、その後は4戦して3着が最高着順。体質的に弱いところがあるので古馬になってから素質が開花するタイプなのかもしれない。「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」はリオンディーズと同じで、Sir Gaylordが入る点も似ている。体質面に問題がなければ大仕事をやってのけても不思議はない。

ブライトパス(牝 栗東・安田隆行 父ロードカナロア、母ルミナスポイント)
 半姉にジューヌエコール(父クロフネ/16年デイリー杯2歳S-GII、17年函館スプリントS-GIII)、ルミナスパレード(父シンボリクリスエス/4勝)、半兄にルミナスウイング(父クロフネ/4勝)がいるほか、従兄弟にロジユニヴァース(09年日本ダービー-GI)、伯父にランフォルセ(重賞4勝)、ノーザンリバー(重賞6勝)を持つ良血馬。母ルミナスポイントは現役時代はダート短距離を得意とし、最終的にはOPクラスで走った。本馬の父はロードカナロア。ステルヴィオやトゥザフロンティアなど初年度産駒が大活躍しており、新種牡馬戦線ではトップを快走している。本馬はKingmambo≒ソニンク4×3で、母はHalo 3×4。手堅いスピードを受け継いでいると思われるので新馬戦から注目したい。芝向きのスプリンター〜マイラー。

マルケッサ(牝 栗東・池江泰寿 父オルフェーヴル、母マルペンサ)
 菊花賞(GI)、有馬記念(GI)を制したサトノダイヤモンドの半妹。父はディープインパクトからオルフェーヴルに替わった。母マルペンサはアルゼンチン産で、コパデプラタ大賞(亜G1・芝2000m)、クリアドレス大賞(亜G1・ダ2000m)、ヒルベルトレレナ大賞(亜G1・ダ2000m)と3つのG1を制覇した名牝。母はアルゼンチン産馬ながらアメリカ色の強い血統構成で、Halo 4×3という素軽いクロスを持っている。父オルフェーヴルは積極的にスピードを伝えるタイプではなく、むしろ母方からスピード的な要素を取り入れたいタイプなので、アメリカ血統やHaloクロスはプラスに作用するはず。芝・ダートと問わず複数のGIを勝ち、なおかつ母としてもサトノダイヤモンドを送り出した母は、傑出した繁殖牝馬であることは間違いない。その力をもってすれば平凡な競走成績に終わることはなさそう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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