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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2005年03月01日(火) 18時52分
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 アメリカの競馬週刊誌「サラブレッドタイムス」の電子版「サラブレッドタイムス・トゥデイ」に載っている、「Quote of the day(今日のひと言)」というコラムが面白い。

 内外の競馬サークルにおける様々な局面で拾った関係者のコメントの中から、凄く印象的だったり、ひと捻りが効いているものを、1日1つ、囲みコラムで紹介してあるのである。ジョークが大好きなアメリカの媒体ゆえ、読むと思わずクスッとくるものが多いのだ。

 例えば2月28日号で紹介されていたのは、東海岸のトップトレーナー、ニック・ジートの漏らしたひと言だった。ニック・ジートはこの週末、昨年のBCジュヴェナイル3着馬サンキングが、今季初戦となったガルフストリームのアロウワンスを快勝。更に父フサイチペガサスの期待馬アンドロメダスヒーローが、タンパベイダウンズで特別を制覇。2頭の管理馬がケンタッキーダービー戦線におけるおおいなる前進を見せたのだ。

 「今年のケンタッキーダービーは、4頭出しを狙っているんだ。そしてね、このうち2頭でいいから、4本の脚すべてに蹄鉄を履いたままゴールして欲しいんだよね。そうすれば、勝つチャンスもあるかもね by Nick Zito」。

 実は昨年の今頃、ジート厩舎にはケンタッキーダービーを目指す有力馬が、ザクリフズエッジ、バードストーン、ユーロシルヴァーと、3頭揃っていた。いずれ劣らぬ素質馬で、ジート師としてはおおいに期待をしていたのだが、実際にダービー出走に漕ぎ着けたのは、ザクリフズエッジただ1頭。すなわち、3頭では足りなくて、4頭出すくらいのつもりじゃないと、ダービー制覇など語れぬというわけだ。

 そして、そのたった1頭の出走馬となったザクリフズエッジは、レース中に落鉄する不運に見舞われたのである。4頭出せば2頭くらいは落鉄せずに帰ってくるだろうから、それでやっとダービー制覇の望みが出てくると、昨年の自分を揶揄しながらジート師は語ったのであった。

 そのジート厩舎の3頭目の期待馬ハイフライが、今週の土曜日(3月5日)にガルフストリームパークで行われるG2フォンテンオヴユースSに出走の構えを見せている。

 デビューから3連勝。ことに3連勝目のアヴェンチュラSは2着以下に9馬身の差をつける圧勝で、この時点でケンタッキーダービー戦線における台風の目と位置付けられたハイフライ。ところが前走、初めての重賞出走となったG3ホーリーブルSで3着に敗退。その後、馬主の意向でそれまで所属していたビル・ホワイト厩舎から、ニック・ジート厩舎に転厩になった馬である。

 当初は3月19日にアケダクトで行われるG3ゴーサムSを予定していたのだが、アメリカ北東部を襲った悪天候の影響で、急遽今週末のG2フォンテンオヴユースSに矛先を向けることになったのだ。

 果たして本人の予言?通りにコトは進むのか。興味を持って見守りたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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