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ゴールドタンバリン(牝 美浦・池上昌和 父ヘニーヒューズ、母ダブルゴールド)
父ヘニーヒューズは現役時代、ヴォスバーグS(米G1・ダ6f)、キングズビショップS(米G1・ダ7f)など6〜7ハロンの重賞を4勝。今年の2歳世代が日本における初年度産駒となる。アメリカ供用時代のマル外は出走14頭中11頭が勝ち上がり、そのなかからモーニン、アジアエクスプレス、ヘニーハウンド、ケイアイレオーネと4頭の重賞勝ち馬を出した。日本における初年度産駒は先週時点で22頭が出走して3頭が勝ち上がっている。半数の11頭が3着以内に入っているので確実性が高く、これからダートの番組が増えるにつれて勢いが増してくるだろう。母ダブルゴールドは、ダート王ゴールドアリュールと、南部杯(GI)などダート重賞を5勝した名牝ゴールドティアラの間に誕生した。芝で1戦1勝という成績で引退したものの、血統的にはダート色が強かったので、キャリアを続けていればダートで活躍していたのではないかと思われる。これにダート向きのヘニーヒューズが交配されて誕生したのが本馬。おそらくダート向きのマイラーだろう。
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ドラム(牡 美浦・田中剛 父アドマイヤムーン、母シンバルII)
母シンバルIIはThe Offer(14年ATCシドニーC-豪G1など重賞4勝)の半姉。「アドマイヤムーン×Singspiel」は、サンデーサイレンスとGlorious Songを通じたHaloクロスが生じることに加え、父と相性のいいSadler's Wellsが入るので見どころがあり、サンプルは少ないながらも過去にムーンクレスト(16年スワンS-GII・5着、15年きさらぎ賞-GIII・5着)が出ている。母シンバルIIはShirley Heights 4×3、Mill Reef≒Riverman 5×4・5という重厚な血統構成だけに、そうした要素を母方から取り入れたい父アドマイヤムーンとの配合は好ましい。芝向きのマイラー〜中距離タイプ。
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ニシノプログレス(牡 栗東・橋口慎介 父リーチザクラウン、母ニシノフジムスメ)
2代母ブランドアートは不良馬場のフラワーC(GIII)を道中2番手から押し切った。繁殖牝馬としてもまずまず優秀で、OPまで出世したニシノプライド、オークス(GI)5着、新潟2歳S(GIII)2着など重賞で好成績を残したニシノフジムスメ、OP特別を勝ったニシノコマンドなどを出している。Drone≒Halo≒Sir Ivor 4×4・5・5、Raise a Native 5×5、シル≒Squander 5×5など、父の素軽い血を手堅く継続しており、芝中距離向きの配合として悪くない。兄姉は1勝クラスが定位置だが、それよりは出世しそうだ。
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ブケパロス(牡 栗東・中竹和也 父ブラックタイド、母エリモプリンセス)
母エリモプリンセスは1勝馬。繁殖牝馬としては2頭が競走年齢に達し、アスカノハヤテ(父サマーバード/現役)が1勝を挙げている。「ブラックタイド×キングカメハメハ」の組み合わせはタガノエスプレッソ(14年デイリー杯2歳S-GII)、ライジングリーズン(17年フェアリーS-GIII)と2頭の重賞勝ち馬を出している成功パターン。父の全弟ディープインパクトも、キングカメハメハ牝馬からデニムアンドルビー(13年フローラS-GII、13年ローズS-GII)をはじめコンスタントに活躍馬を出しているので相性のいい組み合わせといえるだろう。芝向きのマイラー。
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ペイフォワード(牝 美浦・斎藤誠 父ディープインパクト、母ハートシェイプト)
母ハートシェイプトは1000ギニートライアルS(英G3・芝7f)2着、BCジュヴェナイルフィリーズターフ(米G1・芝8f)2着などの成績がある芝馬で、後者では慣れない小回りコース(サンタアニタ競馬場)に戸惑いつつも後方から猛然と追い込んでハナ差2着(勝ちタイムは1分35秒15)という好内容だった。「ディープインパクト×Storm Cat」の組み合わせは、エイシンヒカリ(16年イスパーン賞-仏G1、15年香港C-G1)、リアルスティール(16年ドバイターフ-G1)、キズナ(13年日本ダービー-GI)、アユサン(13年桜花賞-GI)、サトノアラジン(17年安田記念-GI)、ラキシス(14年エリザベス女王杯-GI)など多くの活躍馬を出して成功している。母方にAlydarを持つディープインパクト産駒にはジェンティルドンナ(14年ドバイシーマクラシック-G1、12、13年ジャパンC-GI、14年有馬記念-GI、牝馬三冠)、ミッキーアイル(16年マイルCS-GI、14年NHKマイルC-GI)、サトノダイヤモンド(16年菊花賞-GI、16年有馬記念-GI)などがいる。本馬はこの両方を併せ持っている。芝向きのマイラーだが2000mまでは守備範囲。