札幌開催で最も勝ちっぷりが良かったレイエンダ(津田照之)
◆全治半年ならクラシックには間に合うタイミング
札幌開催が始まって3週間。新馬戦は計7鞍あったが、そのうち3鞍で藤沢和厩舎の馬が勝利。それだけでも凄いが、2歳未勝利戦でももう1頭、勝利しているので、計4頭が勝ち上がった計算になる。
内訳は芝1800m戦が2頭、芝1500m戦で2頭。元来、中距離指向の馬が多い厩舎とはいえ、短距離、もしくはダート戦には見向きもせず、クラシックに結びつく距離で各馬を使い分け、きっちりと勝ち上がっている点は評価できる。
その中でも最も勝ちっぷりが良かったのはレイエンダ。皆さんもご存じ、レイデオロの全弟にあたる馬。
レース当日はパドック段階からテンションが高かったが、それでも周回を重ねる毎に徐々に落ち着きを取り戻していった。そしてレースではゲートが遅く、後方からの競馬になったものの、鞍上のルメールは慌てず騒がず、後方で折り合いに専念。勝負所から馬なりのまま進出すると、直線半ばであっさりと抜け出した。
ひと言で言えば「他馬とは能力が違った」。とにかく反応が良く、一瞬のうちに加速する俊敏さを持っていて、それは今の競馬に必要不可欠な要素。
ただ、その一方で、一歩間違えれば、距離が保たなくなる可能性も…。実際、兄のレイデオロは大事に大事に育てられ、折り合いの付く馬に成長。その結果、ダービー制覇に結びつけたが、弟もとにかく反応が良すぎるだけに、間隔を詰めて使うと、テンションが上がってしまい、マイラー色の強い馬になってしまう可能性も十分にある。
そんなイメージを持ちつつ、次走を楽しみにしていたのだが、その後、両前肢の骨折が判明。もちろんそれ自体は不幸な出来事ではあり、順調に調整できるのがベストではあると思うが、あえて前向きに捉えると、全治半年なら、まだクラシックには間に合うタイミング。じっくりと英気を養えば、肉体面だけではなく、精神面の成長も期待できる。もうひと皮剥けた姿を見てみたい。