モズスーパーフレア 厩舎内で“生き残る”ためにも勝つ/吉田竜作マル秘週報
◆自らの生きる道は自らの能力で示すしかない
栗東を拠点にする記者が関東馬を取り上げることはめったにないのだが、レアケースで一度取り上げたのが、今年のダービー馬レイデオロの全弟レイエンダ(藤沢和)だった。先月30日の札幌芝1800メートル新馬戦では前評判にたがわぬ、スケールの大きな走りを見せてくれたのだが…。ご存じの通り先週、骨折が判明した。秋にデビューした兄に対し、こちらは夏のデビュー。成長のスピードはそれぞれ違うだろうが、どうしてもそのあたりに“原因”を求める声が出てきそう。しかし、見方を変えれば、来年のクラシックにはまだ間に合う時期のトラブルではある。「災い転じて福となす」ことを願いたい。
またレイエンダ同様、POGで大きな注目を集めていたグレートウォリアー(牡=父ディープインパクト、母プラウドスペル・藤原英)も夏のデビューを見送り、ノーザンファームしがらきへ放牧へ。こちらはヒザ部分に若干のむくみがあり、無理をしないことになったようだ。
「大きな馬で、まだ緩いところがあった。幸い脚元は深刻な症状ではないし、この休みで必ず成長して帰ってくるはず。秋のデビューになると思うけど、走ってくる馬だから」とは田代助手。こちらもしばしの休養がいい方に出ることを願う。
そのスケールの大きさから、レイエンダ、グレートウォリアーなどは来年以降の活躍を嘱望されているのに対して、早めの活躍で自らの存在意義を高めたい馬もいる。土曜(19日)の小倉芝1200メートル新馬戦に出走予定のモズスーパーフレア(牝=父Speightstown、母Christies Treasure・音無)はその典型といっていいだろう。
「外国産馬で使うレースが限られる。ここを逃すと(小倉開催では)もう2000メートルと1800メートルの距離しかないから」とは音無調教師。照準を定めたレースに向け、期待通りに動きも良化。先週9日の坂路では4ハロン52.8-12.4秒の好タイムをマークしてみせた。
「先週初めてビシッとやる感じになったけど、いい動きだったし、時計も良かった。レベルが高い馬なのは間違いないね。血統や馬体を見てもスピードタイプ。芝もこなせるだろう」と手応えを感じている。
音無厩舎といえば、この後はスターリーステージ(牝=父ディープインパクト、母スターアイル)を筆頭に、良血馬のデビューが控えている。この手の有力厩舎においては、チャンスを逃すと放牧に出され、思うようにキャリアを積めなくなることも…。ちょっと酷な言い方をすれば、自らの生きる道は自らの能力で示すしかないのだ。稽古の動きからすれば、モズスーパーフレアは新馬レベルなら、まず上位争いになるはずだが、果たして自らの道を切り開くことができるのか?
有力馬がこぞって参戦する札幌、新潟の新馬戦に比べると、どうしても注目度が低くなりがちな小倉の新馬戦だが、出走馬との競走だけでなく、厩舎内での激しい競争にも勝たなくてはならないモズスーパーフレアの走りにも注目してもらいたい。