▲ターファイトクラブ社長で、ご自身も中島牧場の代表である中島雅春氏
日高地区を中心に、40軒あまりの牧場が集まって運営する一口馬主クラブ・“ターファイトクラブ”。1世代当たりの募集頭数は20頭ほどと決して規模は大きくはないが、かつてはローマンエンパイアやビーナスライン、そして最近ではファンディーナやインカンテーションなど定期的に活躍馬を送り出している、伝統と実績のある名門クラブだ。
その活躍馬を輩出する秘訣がどこにあるのかを探るため、この度netkeibaでは、牧場・クラブ関係者へのインタビューを敢行。後編となる今回はターファイトクラブの社長であり、中島牧場の代表でもある中島雅春氏のインタビューをお届けする。(取材・文:田中哲実)
会員と生産牧場の距離が近い、アットホームな雰囲気
――今年、ターファイトクラブからはファンディーナとインカンテーションの2頭の重賞勝ち馬が出ました。そこで現社長の中島雅春氏にクラブの現況や特色などについて伺って行きたいと思います。まずターファイトクラブについて簡単にご説明下さい。
中島 このクラブは日高東部の中小牧場を中心に結成されて、今の体制になってからだいたい22年〜23年ほど経っています。いわゆる「生産馬提供型」のクラブとして日高には3つ存在していますが、ユニオンさん、ローレルさんと同じように、基本的には生産牧場からの提供馬が募集馬で、会員に出資して頂く形になっています。
――現在はどれくらいの所有頭数ですか? また株主の牧場数についても教えて下さい。
中島 株主の牧場数はだいたい40軒程度ですね。大半が生産牧場ですが、一部、育成牧場の株主もいます。近年は1世代20頭程度の募集になっています。当歳、1歳、2歳と3世代に分割してそれぞれ募集します。一番早いのは当歳募集、そして主流になるのが1歳ですが、年明けに2歳馬も募集しています。
――馬はどのように選ばれるのですか?
中島 基本的には生産牧場から、これはという生産馬を提供して頂くことになります。募集価格も牧場が自ら設定します。それぞれの懐事情やその馬への期待度によって価格はまちまちになります。もちろん安いに越したことはないわけですが、自信度が高い馬だと、生産牧場もやや強気の募集価格になりますね。ただ、そうなると、今度は会員の方が難色を示して、食い付きが悪くなるというか、期待したほど売れないという事態を招きます。
――そのさじ加減が難しいところですね。提供馬は毎年順調に集まるのでしょうか?