調教でも競馬でも、いつも思うのは“とにかく、無事に”。競走馬は体が健康そのものであっても4本の脚で立てなければ命をも絶たれてしまう繊細な生き物です。でも、鍛えるための調教はその脚に大きな負担を掛けてしまいます。かといって鍛えなければ、レースで故障の確率も上がってしまう。結局、どうあがいても故障とは背中合わせなのであります。
今週の水曜、この連載で何度となく取り上げてきたアドマイヤミヤビが左前脚に屈腱炎を発症しました。あんな可愛らしいミヤビがこんなことになってしまって、とてもショックですが…。怪我をしても無事に命があることに、まず安堵しました。
「最終追い切りの後、上り運動までは問題なくいつもどおりだったけれど、その後に動けなくなってしまった」と担当の島厩務員。
先週、今週と結構ハードな追い切りをこなしたミヤビですが、そのときに頑張りすぎてしまったのでしょう。その後の上り運動も、少しでも歩様の乱れやおかしいところがあったら、腕利きの島さんが絶対に気づきますから。それさえもしっかりやり終えて、厩舎に帰ってホッとしたところでの故障発覚。そういった部分でも頑張り屋さんのミヤビらしさがうかがえます。
全治は不明ですが、この秋の競馬は絶望的。土曜日に放牧に出る予定とのことです。このあと、またトレセンに帰ってくるのかな?これを書いている段階では定かではありません。でも、どう転んでも「ミヤビにまた逢いたい」。その気持ちだけは決まっています。
オークスでは決して体調が完璧ではなかったのに、本当によく頑張ってくれました。とにかくいまはしっかり傷を癒して、ゆっくりして欲しいと願うばかりです。
先週の京成杯オータムハンデでは脚部不安を抱える金髪王子・ウインフルブルームが無事完走してトレセンに帰ってきました。なかなか自分の競馬をさせてもらえない厳しい展開ではありましたから、宮本師をはじめ厩舎の皆さんと「無事でいてくれれば、また次がある」と話していたのですが。そのあとに知ったミヤビのことを思うと、ホントそうなんですよね。身にしみます。
そんな宮本厩舎が今週セントライト記念にクリンチャーを出走させます。「馬体は全体的にひとまわり大きくなりました」と担当の長谷川助手。「最終追いでは藤岡佑騎手もいい手ごたえをつかんでくれたみたい」と陣営も納得の仕上がりのようでした。ダービーはちょっとちぐはぐな競馬だっただけに、ここは汚名返上といきたいですね。
最後にウオッカの4番仔のタニノフランケルの話を少々。この中間の調教でかなり上積みがみられるようです。「コントロールも効くし、反応もいい。ゲートも速い。競馬センスを感じさせますよ」と前川助手。幼さもみられないとのことで、月曜はもうひとつ大人になった彼を見れるはずですよ。