◆貴重な収入源ともなるナイターの場外発売
先週のこのコラムで取り上げた、園田競馬場での「高知のお米・ファーストキッス配布」では、そのお米配布のイベントとはまったく関係ないことではあるのだが、考えさせられることがあった。
最終レース後、整理券を持ってお米をもらう列に並んでいるときに、ぼくの後ろに並んでいた地元ファンとちょっと話をした。
曰く、「園田の開催が終わって、南関東のナイターを見ようと思ったら、DASH心斎橋に移動しないといけないんですよ」と。
この日、南関東は浦和開催だったために、園田の最終レース終了後、浦和の場外発売はメインと最終レースを残すのみだったのだが、船橋・大井・川崎のナイター開催の馬券は、園田競馬場では、通常はメインレースだけしか発売されない。しかも、園田がナイター開催となる金曜日以外の火・水・木曜日は、最終レース終了後にその場外発売も終わってしまう。つまりレースを見ようと思えば、家に帰ってネットやスカパー!などの中継で見るか、もしくは先のファンのように、園田の専用場外、DASH心斎橋などに移動しなければならない。すでに地元ファンには当然のこととして受け止められているかもしれないが、場外発売をしているなら、そこでレースも見られるというのが普通だろう。
ナイター開催が行われていない競馬場でも、現在では南関東、門別、ばんえい、高知などのナイター開催の場外発売は当たり前のように行われており、馬券発売のための従事員や警備の人員以外には開催経費がほとんどかからないため、それが自場開催を支えるための貴重な収入ともなっている。
念のため、名古屋、金沢、佐賀など、自場ではナイター開催がないものの、南関東をはじめとするナイター開催の場外発売を行っている主催者に問い合わせてみたところ、夜9時前の最終レースまで、リアルタイムで馬券の発売・払戻をやっているとのことだった。
そういえば、JBCが大井のナイター開催として行われた2011年だったか。全国の地方競馬場や付随する場外発売施設で馬券発売が行われたが、「園田競馬場では(たしか)17時までで馬券発売は終了、レースの放映もありません」というような注意が喚起されていたのを思い出した。
20年来の悲願だった園田競馬場でのナイター開催は、近隣住民との折衝の末、さまざまに厳しい制限のもと、金曜日に限ってということで2012年9月に始まった。それでもなお、園田競馬場では金曜日以外、夜の場外発売が制限されているというのが現状のようだ。
浦和競馬場のように住宅地の中にある競馬場はほかにもあり、しかし日本全国の地方競馬では当たり前のようにナイターの場外発売が行われている。園田競馬場(姫路競馬場も)だけでナイターの場外発売が行われていない(自場がナイター開催の金曜日は除く)というのは、ちょっと違和感があった。それゆえにつけてみたタイトルが、「ナイター過疎地」。
それでひとつ指摘しておきたいのは、園田・姫路のウェブサイトでは、「他場レース発売」として、両競馬場や専用場外施設での場外発売の予定は掲載されているのだが、それが何時まで発売されているかの案内が見当たらない。実際にレースが行われる時刻まで発売・払戻が行われているならいいのだが、園田競馬場で発売される他場ナイターのメインは、いわゆる前売発売のみ。南関東や門別のメインレースが発売されると書かれていれば、その時刻に競馬場に行ってしまう人がいないとも限らない。
今はネットでどの競馬場の馬券も買えるようになったため、そういうことも少なくなったが、場外発売の案内は電話で問い合わせでもしない限りわかりにくいことが多く、競馬場や場外発売所まで足を運んで、「え?この時間は開いてないの」という経験がぼくには何度かある。
前売りだけの発売で、レース発走直前には馬券発売はやっていないという場合は、何時まで馬券が買えるのか、目立つような形で案内すべきと思う。