▲遠征先のフランスで、大きな障害を前に記念撮影をする高田騎手(ご本人提供)
実は3人にはとある共通点があります。それは、フランスでの海外修行の経験者ということ! ヨーロッパでは障害レースは競馬の華。一昨年、パリ大障害を観戦するためにフランスへと渡った高田騎手。本場のビッグレースを楽しみにしていたところ、現地でまさかの展開が待っていたとは! 日本とは違う海外の常識に、感動と驚きの連続。今週はそんな海外修行の秘話をお届けします。(取材・構成:不破由妃子)
(前回のつづき)
パリ大障害を観に行くだけの予定が、まさかのレース騎乗
佑介 潤さんは一昨年、雄造さんは2002年にフランスに行ってるんですよね。
白浜 うん。1カ月ずつ2回行った。
佑介 当時はどういう伝手を使って行ったんですか?
白浜 俺が行く前の話だけど、昔は研修制度があって、西谷さんや横山さんや出津さんがすでに行ってたの。でも、俺はまだデビューして間もなかったから断ってたんやけど、研修制度がなくなってから行きたいなぁと思うようになって。それで、研修をやっていたフランスの調教師さんにお願いしてみたんやけどね。給料をもらうわけではないから、すんなり受け入れてくれた。
高田 そうやったんや。ヨーロッパは、障害の人気がめっちゃ高いよな。平地より障害のほうが人気があるくらい。
白浜 そうだね。イギリスにはグランドナショナル(全行程7000m以上のイギリスでもっとも人気のあるレース)もあるし。
佑介 トロット(騎手が競走馬に繋がれた二輪馬車に乗って行う競走)も人気ですしね。
▲佑介騎手「トロットも人気ですしね」
高田 そういうのを聞いていたから、いつか現地で観てみたいと思っていて。それで一昨年、パリ大障害っていうレースに合わせて、1週間行ったんだよね。
佑介 パリ大障害を観に行くだけの予定やったのに、結局、1週間の間に調教にもレースにも乗ったんですよね。
高田 そう。すごいことやろ? もともと、どうせ行くなら調教にも乗ってみたいなと思っていたから、競馬会の職員さんに「一度だけでもいいから乗せてもらえそうな厩舎を探してもらえませんか」ってお願いして。そうしたら、たまたまトップトレーナーのガロリニ調教師が「いいよ、乗せてあげるよ」って言ってくれてね。
白浜 俺も2回ともガロリニ厩舎にお世話になったよ。
高田 そうなんや!
佑介 ガロリニ調教師は親日家らしいですからね。
高田 ホンマにいい先生で、着いた翌日から調教に乗せてくれて。俺はもうそれだけで満足してたんやけど、今度は「こっちにいる間は毎日乗りに来い」って言ってくれてね。その時点ですべての予定をキャンセルして、次の日から乗りに行ったんやけど、3、4日したら「お前、レースの準備はしてきたか?」と。本当はまったく準備していなかったんだけど、「はい! してきました」と即答して(笑)。慌てて道具を買いに行ったり、現地のジョッキーに借りたりして、準備を整えた。パリ大障害を観るだけだったはずなのに、パリ大障害当日の最終レースに自分が乗ってたっていうね。