前哨戦が終わり2歳GIの全体像がうっすらと見えてきた(津田照之)
◆牝馬路線は「実力のある1勝馬」が勝つ年になるのではないか!?
前哨戦となる京王杯2歳S、ファンタジーSが終わったことにより、暮れの2歳GI、朝日杯フューチュリティS、阪神ジュベナイルフィリーズの全体像がうっすらと見えてきた。
今年は年末に行われるホープフルSがGIの格付けになったことにより、いわゆる「牡馬の中距離タイプ」はそちらへの参戦が予想されるが、コースそのものは強さより器用さが求められる中山の2000m。それなら、阪神の外回り1600mの方がより地力勝負になりやすく、むしろタフな競馬になりそうなムード。
加えて、開催日が暮れも押し迫った12月28日。中山開催のオーラスなので、馬場の傷み具合も気になるところ。例年、将来性のある馬が馬場コンディションを考慮し、1月の中山、京成杯(こちらも2000m戦)を避けるのと同様、馬自身にはリスクの大きい状況になると思う。雨、雪が降れば、それこそ厳しいコンディションになり、さらに負担は増すだろう。
私がもし馬主、あるいは調教師で、将来性のある牡馬を暮れのGIのどちらかに出走させるとしたら、迷わず朝日杯FSを選ぶ。勝っても負けてもいいから、とにかく馬場の傷みが少ない阪神の外回りマイルでゆったりと走らせ、今後につなげることをイメージ。関西馬なら遠征のリスクもあるだけに、なおさら朝日杯の方を選ぶ。
というわけで、話は本筋からずれてしまったが、ホープフルSがGIになったことにより、朝日杯FSとの分散傾向がより強まることは容易に想像が付く。
となると、前哨戦の京王杯2歳Sを勝ったタワーオブロンドン、サウジアラビアロイヤルCを勝ったダノンプレミアムが有力だろう。どちらも圧勝だった。
タワーオブロンドンはスローペースを差し切った点を評価。折り合い面も含め、競馬を覚えさせつつ、成績を残している点は大きな強み。
一方、ダノンプレミアムはそれなりの流れの中、前付けして押し切った点はレコード決着以上の価値あり。この2頭はほぼ互角だろう。当日のデキ、馬場状態が明暗を分けそう。
その他ではステルヴィオ辺りが最大のライバルか。そこに今週行われるデイリー杯2歳Sの勝ち馬が加わってくるという図式。
逆に牝馬路線は混沌としている。現状、「この馬」という存在はいない。ロックディスタウン、ラッキーライラック、ベルーガ辺りが有力だろうが、まだ力関係が把握できない現状。個人的には抽選をくぐり抜けた「実力のある1勝馬」が勝つ年になるのではないかと予想している。そういう馬をここ2週間くらいの勝ち馬の中からピックアップしていきたいと思う。