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上位拮抗の大混戦で波乱含み!/エリザベス女王杯

  • 2017年11月08日(水) 18時00分

■エリザベス女王杯(G1・京都芝2200m外)フルゲート18頭/登録20頭


【特注データ】〜レースデータより〜


 牝馬限定戦では常に意識したいのが、基本的に「牡馬と戦ってきた組が強い」ということ。エリザベス女王杯においても、前走が牝馬限定戦か牡馬混合戦かで、人気薄の好走率に大きな差が見受けられる。人気サイドでは両者に大きな差はないが、6番人気以下に限定したデータでは、牝馬限定戦組は[1-1-1-75]で複勝率3.8%、牡馬混合戦組は[2-2-0-32]で複勝率11.1%と、明暗ハッキリ。単勝適正回収値や複勝回収率の差も、比較にならないほどに大きい。

 人気を限定しないで集計した次のデータも、なかなか興味深い。前走で牝馬限定戦を使われてきた組は、当然ながら秋華賞組と府中牝馬S組がそのほとんどを占めるが、こちらは秋華賞組が明らかに優勢。ディアドラのように、秋華賞で3番人気以内に推されていた馬であれば、自信を持って買える内容だ。

 前走で牡馬混合戦に使われていた馬は、オールカマー組と京都大賞典組が好成績。また、1000万下など条件戦に出走していた馬が意外に侮れないのも、この組の特徴といえる。ルージュバック、スマートレイアーの2頭は当然ながら注目すべきだが、エテルナミノルやジュールポレール、プリメラアスールあたりも意外に侮れない。

【コース総論】京都芝2200m外 Bコース使用

・コースの要所!

★1着馬の78.2%が3番人気以内。勝ち馬は、順当に決まる傾向が強い。
★「内>外」であるのは明白。内枠を引いた馬はプラスに評価したい。
★最後の直線は長いが平坦で先行勢がよく粘る。先行勢重視の姿勢で。





 正面スタンド前からスタートして、外回りコースをぐるりと1周する京都芝2200m外。1コーナーに進入するまでの距離も十分にある、紛れのなさそうなコース形態である。それを裏付けているのが人気別成績で、人気サイドは総じて好成績。1着馬の78.2%を3番人気以内馬が占めており、人気薄の1着率はかなり低い。穴馬は、3連複や3連単のヒモで狙うのがいいと思われる。

 次に枠番データだが、こちらはハッキリと内枠有利。馬番1〜6番は勝率、連対率、複勝率のいずれも抜群に高く、単勝適正回収値も100の大台をオーバー。さらに枠番値もプラス圏内と、文句なしに好成績である。対照的に成績が振るわないのが、中枠である馬番7〜12番。外枠との平均人気の差を考えると、信頼度にはもっと差が出てしかるべきで、けっこう乗りづらい面があるのかもしれない。

 脚質データも、やや意外な結果となった。中団から差せるコースというイメージだが、実際には先行勢のほうが圧倒的に好成績。上がり2位馬のほうが最速上がり馬より好成績というのも、差せそうで差せないコースである証明といえる。逃げ馬の成績はそれほど良くはないので、狙いは「好位」が取れる組。差し馬も、ある程度はポジションを取りにいけるタイプのほうが、ここは狙いやすい。

【レース総論】エリザベス女王杯(G1) 過去10年

・レースの要所!

★人気馬は相応に強いがオイシイのは4〜6番人気や10〜12人気あたり。
★枠番の内外で成績差はほとんどないが、コースデータを信頼したい。
★コースデータより差し優勢。年齢別は3〜4歳の若馬が圧倒的に強い。
★継続騎乗組と外国人騎手が買い。関西騎手の乗り替わりは大幅割引。








 クィーンスプマンテとテイエムプリキュアで決まった2009年のように、ときに大波乱となるのがエリザベス女王杯。その影響もあって、平均配当は単勝1584円、馬連1万2713円、3連複2万1262円と非常に高い。昨年も12番人気のシングウィズジョイが2着に激走し、いわゆる「デムルメ」で決まっているのに馬連万馬券となった。

 人気別成績でも、中穴ゾーンである4〜6番人気や「適度な大穴」である10〜12番人気など、人気薄の好走が目立っている。1番人気も[2-4-2-2]で複勝率80.0%とよく上位に食い込んではいるが、勝ちきれていないのはご覧の通り。中穴を1着で狙う3連単フォーメーションなど、チョイ荒れ前提で馬券を組み立てたほうが面白そうなレースといえる。

 枠番については、内枠が圧倒的に有利だったコースデータとは異なる結果が出た。ほとんど横並びといっても過言ではなく、平均人気の差を考えると外枠も健闘している。単純に内外を比較したデータでも差は見受けられず、枠番不問というのがレースデータからの結論。とはいえ、ここはコースデータのほうを信頼して、少し内枠有利と考えておいたほうがいいだろう。

 そして、脚質についても判断が難しいところ。コースデータではハッキリと先行勢優勢だったが、レースデータでは中団から差した馬がトップの6勝をあげており、最速上がり馬の期待値も高い。しかし、連対率や複勝率、複勝回収率などは先行勢のほうが上で、安定感があるのはこちら。アタマで狙うなら中団待機組で、連軸や複軸ならば先行勢といったところか。

 大きな「差」が出たのが年齢別成績である。エリザベス女王杯は若い馬のほうが断然強く、6歳以上で馬券に絡んだのは2007年のスイープトウショウ(3着)と、2009年のテイエムプリキュア(2着)くらいのもの。2010年以降、6歳以上馬が好走した例は一度もない。対照的に3〜4歳はトータル[8-7-9-78]と非常に強く、積極的に狙うべきであること間違いなしだ。

 次に出走間隔だが、中8週よりも長いローテで出走した馬は[0-0-1-14]とイマイチ。昨年ミッキークイーンがヴィクトリアマイルからの中25週で3着に好走したが、いくら外厩で仕上げるスタイルが普及したとはいえ、これは割引材料である。やはり順調に使われてきた馬を上に取るべきで、侮れないのが秋華賞や府中牝馬S「以外」からのローテである、中4〜8週で出走してきた馬。その期待値は非常に高い。

 最後に、騎乗パターンについて。G1らしく継続騎乗組が好成績で、外国人騎手へスイッチするケースを除くと、乗り替わりは大幅マイナス。関西所属騎手が乗り替わり騎乗の場合は[0-1-0-46]と、全滅に近い惨状である。この傾向が今年も継続するならば、秋華賞馬ディアドラや同2着のリスグラシュー、府中牝馬Sを制したクロコスミアなどが、危険な人気馬となる可能性アリ。過信は禁物だと警鐘を鳴らしておこう。

【馬場&血統総論】

・現在の馬場
 Bコース継続。先週日曜日から差し優勢の馬場にシフトした印象アリ。

・天候予測
 中間に降雨があるも日曜日は晴れ予報。冷え込みが厳しいので注意。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ジャングルポケット産駒○、ハービンジャー産駒▲、ハーツクライ産駒△

 先日の「2週連続不良馬場」によるダメージが心配された先週。さすがにちょっと時計のかかる馬場にはなったが、金曜日には先行勢がよく粘っていた。日曜日になって差し優勢の馬場へとシフトした印象だが、極端に差し優勢のバイアスというわけではなく、ペースや展開次第で前も十分に残せるはず。内外での差もそれほどはないはずだ。

 血統面では4種牡馬の産駒をプラス評価。意外なほど強いのがジャングルポケット産駒で、なんと勝率でディープインパクト産駒を上回った。あとはハービンジャー産駒も高い適性を備えていそうだが、ちょっと注意したいのがハーツクライ産駒の扱い。1着が2回に対して2着が16回と、勝ちきれていない側面がある。リスグラシューを1着で狙うのは、けっこうリスキーかもしれない。

★出走馬・総論×各論

 牝馬路線の主力がこぞって登録してきたことで、かなり面白いレースとなりそうな今年のエリザベス女王杯。展開ひとつで勝ち負けに持ち込めそうな馬が本当に多く、混戦模様であるのは間違いない。現在のnetkeiba.comでの予想オッズは、ヴィブロスが3.0倍で1番人気。スマートレイアー、ミッキークイーン、ルージュバックなどが差がなく続いている。

 当データ分析のトップ評価は、昨年の勝ち馬であるクイーンズリングだ。マイル路線を歩んだ春シーズンでは良さが出せなかったが、前走の府中牝馬Sでは後方からよく差を詰めて4着と、悪くないカタチで秋のスタートを切った。しかし、netkeiba.comでの予想オッズは17.9倍で、なんと8番人気という低評価。データ的にも大きな割引材料はなく、ここが人気の盲点となるなら非常に面白い。

 二番手評価にヴィブロス。牡馬を相手にドバイターフを制したその実力が、叩き2走目で発揮されそうだ。前走では逃げたクロコスミアを捕まえきれなかったが、京都替わりと距離延長で、大きな変わり身を見せてくれるはず。4歳馬であることや、ルメール騎手が継続騎乗予定であることなど、プラス評価となった項目の多さも十分だ。

 三番手評価にルージュバック。牡馬混合戦でやたらと強く、牝馬限定戦で妙に弱いという不思議な馬だが、オールカマーを快勝してここに臨むというローテは、きわめて強いプラス材料。そして、2200mという距離をこなしてみせたのも大きい。しかも、鞍上にはムーア騎手を配するという勝負気配で、「今度こそ」があって驚けない。

 四番手評価には、人気薄からジュールポレールを抜擢する。前走で準オープンを勝ち上がったばかりの格下ながら、春にはヴィクトリアマイルで3着に好走するなど、アドマイヤリードやミッキークイーンと差のないレースをしている。かかるタイプではないので距離延長も問題はなさそうで、前走が牡馬混合戦であるのも一応はプラス材料。まさかの激走がありそうな1頭として、ひそかに期待を寄せている。

 以下はモズカッチャン、ディアドラ、スマートレイアー、リスグラシュー、クロコスミア、ミッキークイーン、デンコウアンジュ、トーセンビクトリーという評価の序列。波乱含みの一戦とみて、ここは積極的に高配当を狙っていきたいところだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧



東京11レース アルゼンチン共和国杯(G1)
1着 04スワーヴリチャード
2着 07ソールインパクト
3着 01セダブリランテス

複勝じゃないから悔しくな……悔しいわ!(#^ω^)ビキビキ

綺麗に前が開いたとはいえ、04スワーヴリチャードの強さにチョイ驚きました。もしかしてダービー馬レイデオロ、思っていた以上に強いのかもしんない。かなりの好メンバーとなりそうなジャパンカップが、今から楽しみですねえ。そして我が輩の当欄での馬券、いつになったら当たるんでしょうねえ(悲嘆)。

※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2007年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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