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ウインアイスバーグ(牝 美浦・畠山吉宏 父ステイゴールド、母サマーエタニティ)
全兄ウインブライトはスプリングS(GII)と福島記念(GIII)の勝ち馬。全姉ウインファビラスも阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)2着、新潟2歳S(GIII)2着など好成績を挙げている。「ステイゴールド×アドマイヤコジーン」の組み合わせは、本馬の兄姉のほかにペルソナリテ(15年新潟2歳S-GIII・4着)がおり、現時点で出走を果たした馬はこの3頭のみ。ニックスといっていいだろう。
アドマイヤコジーンの代表産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスノードラゴンは、ステイゴールドと同じロイヤルサッシュ牝系なので、上記2頭と配合構成が近い。この牝系とアドマイヤコジーンの相性は抜群で、本馬に関してはダイナサッシュ≒アドマイヤマカディ3×3が好相性の決め手だと思われる。兄姉と同じく仕上がり早で2000m以下を得意とするタイプとなりそうだ。
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サトノグロワール(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母シャムロッカー)
セレクトセール1歳で落札価格1億7000万円(税抜)。母シャムロッカーはニュージーランド産馬で、AJCダービー(G1・芝2400m)とオーストラリアンギニーズ(G1・芝1600m)を制覇。母の父O'Reillyはニュージーランドで計4回リーディングサイアーとなった名種牡馬。基本的にはスピードタイプだが配合次第では長めの距離をこなす産駒も出す。「ディープインパクト×O'Reilly」の組み合わせからはファイナルフォーム(12年ラジオNIKKEI賞-GIII)が出ている。
2代母の父Blues Travellerは近い世代にBluebirdとAureoleを持っているので好ましい。前者はAlzao≒Bluebird 3×4という相似な血のクロスを作り、後者は父と相性が良く、このパターンからトーセンラーとスピルバーグの兄弟をはじめショウナンアデラ、カミノタサハラ、サトノルパンなど多くの活躍馬が誕生している。完成度の高い配合なので芝中距離で大仕事が期待できる。
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パンコミード(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母ポップコーンジャズ)
天皇賞・秋(GI)、宝塚記念(GI)など6つの重賞を制したラブリーデイ(父キングカメハメハ)の全弟。母ポップコーンジャズは現役時代、スイートピーS(OP)2着、オークス(G1)6着という成績を残した。「キングカメハメハ×ダンスインザダーク」という組み合わせはショウリュウムーン(12年朝日チャレンジC-GIII、10年チューリップ賞-GIII、11年京都牝馬S-GIII)と同じ。
また、RobertoとNijinskyを併せ持つキングカメハメハ産駒は、本馬のほかにレッツゴードンキ、ケイアイエレガント、フィフスペトル、キョウワダッフィー、キングストリート、クラシカルノヴァなど多くの活躍馬が出ており、連対率24.1%、1走あたりの獲得賞金415万円。これはキングカメハメハ産駒全体の連対率19.3%、220万円を大きく上回る。兄同様の活躍を期待したい。
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ペルネッティア(牝 美浦・尾形和幸 父ノヴェリスト、母ペルレンケッテ)
2代母プンティラはドイツオークス(G2)を勝った一流馬で、その半妹にクリテリウムドサンクルー(仏G1)を勝ったパイタがいる良血。姉妹で日本に輸入されている(姉はノーザンファーム、妹は社台ファーム)。プンティラは、最近のヨーロッパ競馬のトレンドであるドイツ血統で構成されており、Literat 3×4、Aggravate 2×5という大胆なクロスを持っている。母ペルレンケッテは現役時代に芝1400mで4勝を挙げ、準OPまで出世した。その半姉Pakamaはヴィンターケーニギン賞(独G3)4着馬。本馬の父ノヴェリストは今年の2歳世代が初年度産駒となる新種牡馬で、現役時代にキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)を5馬身差でレコード勝ち(2分24秒60)するなど4ヵ国のG1を制覇した。
遠くBlandfordにさかのぼる異色の系統で、2代父Monsunはここ四半世紀ほどの間に急速に存在感を増してきたドイツ血統の中心的存在。本馬は父母ともにドイツにルーツを持ち、Lagunas 3×4、Surumu 4×4というクロスを持っている。この2頭はいずれもドイツダービー馬。とくに後者はドイツで6回リーディングサイアーになった名血だ。ノヴェリスト産駒のなかで本馬ほどドイツ血統を活かした配合馬は見当たらないので、どんな競走馬になるのか興味深い。重厚なドイツ血統のなかで母の父ディープインパクトのシャープなスピードは活きるだろう。
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レジーナドーロ(牝 美浦・堀宣行 父キングカメハメハ、母レジネッタ)
桜花賞馬レジネッタを母に持つ良血馬。母の「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」は、コンスタントに走るものの大物は出ない組み合わせだったが、レジネッタが例外的にGIを勝ったのは、残り4分の1の部分(つまり2代母のマクダヴィア)が、5代以内にHyperionとSon-in-Lawの組み合わせから成る血を5本持つ(Tudor Minstrel、Flower Bowl、Abernant、Imitation、Swaps)という、底力の塊のような配合構成だったことが大きい。
本馬の「キングカメハメハ×フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」という組み合わせは、ミュゼスルタン(新潟2歳S)、コナブリュワーズ(OP)、プロクリス(準OP)、プレシャスルージュ(準OP)などの活躍馬が出ており、連対率25.9%、1走あたりの賞金額249万円は、キングカメハメハ産駒全体の連対率19.3%、220万円を大きく上回る。4分の3同血のリヴェレンテはOPまで出世しており、芝向きの中距離タイプとしてそれ以上の期待が掛けられる。