◆日本のナンバーワンジョッキーを目指すM.デムーロ騎手の意欲の高さ
M.デムーロ騎手は先週のマイルCSをペルシアンナイトで勝ち、歴代最多タイとなるJRA・GI年間6勝目を挙げた。オークスから続くJRA・GI実施機会3着以内は10戦連続となり、自身の記録を更新した。
JRA・GI最多勝(6勝)は過去に4人(武豊、安藤勝己、池添謙一、岩田康誠)が達成しているが、全て違う馬での記録はM.デムーロ騎手だけだ。卓越した手腕と研ぎ澄まされた勝負勘で、日本のトップジョッキーの地位を確立した。
しかし、今年の3歳クラシック路線ではライバルのルメール騎手に軍配が上がった。ルメール騎手がオークス(ソウルスターリング)、日本ダービー(レイデオロ)、秋華賞(ディアドラ)で3勝したのに対して、M.デムーロ騎手は菊花賞(キセキ)の1勝。
ルメール騎手はソウルスターリング、レイデオロにデビュー戦から全レースで騎乗し、馬の成長とともに信頼関係を深めていった。一方、M.デムーロ騎手はペルシアンナイト(皐月賞2着)、アドミラブル(日本ダービー3着)はキャリア中盤から騎乗し、桜花賞(12着)、オークス(3着)で連続騎乗したアドマイヤミヤビは元々、ルメール騎手のお手馬だった。
来年のクラシックに向けて、お手馬確保が課題となるM.デムーロ騎手は新馬戦から好結果を出している。今年の2歳新馬戦の騎手別成績を調べると、M.デムーロ騎手は[16-9-3-13](勝率39%、複勝率68%)と好成績を収めている(データは2017年6月1日〜11月19日現在)。次位のルメール騎手が[14-9-8-17](勝率29%、複勝率65%)だから、勝率の高さが際立っている。
特にディープインパクト産駒の新馬戦で勝負強さを発揮。今年、M.デムーロ騎手がディープインパクト産駒の芝1800〜2000mの新馬戦に騎乗した場合、[7-0-1-2](勝率70%、複勝率80%)。堀厩舎のジナンボー、サトノソルタス、友道厩舎のスーパーフェザー、角居厩舎のサトノワルキューレなど、クラシックを狙える大物で確実に勝利している。
前記4頭は現在放牧中だが、初戦は勝つことを前提に乗り、全力で走り切ることを覚えさせた。1勝したことで余裕を持ったローテーションを組めるので休息時間を十分に取り、成長を促している。M.デムーロ騎手の2歳重賞成績は[0-0-0-3]。現状はJRAリーディング獲得に軸足を置くので関西圏中心の騎乗になり、関東圏の2歳重賞に乗るケースが少ない。12月に行われる2歳GI3レース、そしてお手馬が戻る来年の中距離重賞から貪欲に勝利を狙うはずだ。
M.デムーロ騎手は今年、菊花賞を優勝し、牡馬クラシック完全制覇を達成。来年の目標はオークスを勝ち、5大クラシック完全制覇か、それともネオユニヴァース、ドゥラメンテに続く日本ダービー3勝目なのか。日本のナンバーワンジョッキーを目指すM.デムーロ騎手の意欲の高さは留まるところを知らない。