川崎から世界へ!
もうご存知のことと思いますが、今年創設された日本馬を対象としたケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」に、川崎競馬場で行われる全日本2歳優駿が指定されました!
地方競馬のレースが海外GIの出走馬選定ポイントレースになるのは史上初のこと。これまでも1997年の勝ち馬アグネスワールドはのちにフランスのアベイ・ド・ロンシャン賞、イギリスの伝統の一戦ジュライCを制覇。1999年の覇者アグネスデジタルは香港Cを制覇。2002年の覇者ユートピアはドバイのゴドルフィンマイルを制覇するなど、勝ち馬に海外で活躍する先輩たちの名前が光る2歳ダート王決定戦。
「川崎から世界へ」。より明確な道筋ができたことによって今年は例年以上に高みを目指す好メンバーが揃った印象を受けます。それではJRAの5頭からご紹介しましょう。
不安以上に期待が大きいルヴァンスレーヴ
すでに大物感漂うルヴァンスレーヴ。8月の新馬戦(新潟・ダート1800m)ではスタートで出遅れ後方からの競馬。1コーナー手前で大外に持ち出すと向正面では楽な手応えでスーッと先頭に立ち、直線では他馬を突き放し7馬身差の快勝。続くプラタナス賞(東京・500万下・ダート1600m)は好位からの競馬で持ったまま2馬身半差の楽勝。1分36秒2(不良馬場)の2歳コースレコードを叩き出しました。デビューからの2戦で見せた走りはインパクト大。新潟、東京と左回りで2勝していることも好材料のひとつ。前に行く脚質ではないことと初の地方競馬、初のナイターと不安点はあるものの、それ以上に「川崎でどんなパフォーマンスを見せてくれるか」という期待が膨らむ、最もJpnIのタイトルに近い存在と言っていいでしょう。
左回りで2勝していることも好材料のルヴァンスレーヴ(写真は2017年プラタナス賞優勝時、撮影:下野雄規)
3戦3勝、無敗で兵庫ジュニアグランプリを制したハヤブサマカオーも有力な1頭。兵庫ジュニアグランプリはスーニ、ラブミーチャンらがここから全日本2歳優駿を制した重要なステップレース。祖母プリエミネンスが関東オークス(2000年)、スパーキングレディーC(2001年)と重賞2勝している川崎の舞台でその血が騒ぐこと間違いなし。デビューからすべて逃げて1着のこの馬が2枠2番に入り、今回もレースを引っ張ることになると思われます。JpnIの舞台でも無敗のまま逃げ切ることができるか注目です。
今回もレースを引っ張ることになりそうなハヤブサマカオー(写真は2017年兵庫ジュニアGP優勝時、(c)netkeiba.com)
北海道2歳優駿を制したドンフォルティス。ここまで【3-0-1-0】。スタートがカギですが、ここまで4戦すべて上がり最速で末脚確実。北海道2歳優駿でも着差以上の能力を感じさせました。今回も直線でどこまで伸びてくるか目が離せません。
ここまで4戦すべて上がり最速のドンフォルティス(写真は2017年北海道2歳優駿優勝時、撮影:田中哲実)
ダークリパルサーも2戦2勝の無敗馬。新馬戦(東京・ダート1400m)、オキザリス賞(東京・500万下・1400m)と東京コースで2勝。デビュー戦は逃げ切り、2戦目は差し切りと脚質の幅を見せました。エスポワールシチーの10歳下の半弟。偉大な兄にどこまで追い付くことができるか?!将来が楽しみです。
エスポワールシチーの半弟ダークリパルサー(写真は2017年オキザリス賞優勝時、撮影:下野雄規)
前走・もちのき賞(京都・500万下・ダート1800m)を1分51秒0(重馬場)の2歳コースレコードで勝って臨むビッグスモーキー。こちらはワイルドフラッパーの半弟。姉がエンプレス杯(2014年)を制している川崎で上位争いを狙います。
前走を2歳コースレコードで勝って臨むビッグスモーキー(写真は2017年もちのき賞優勝時、(c)netkeiba.com)
強豪揃いのJRA勢に対し地方勢も重賞ウイナーがそろって大混戦模様。筆頭はハイセイコー記念を制した船橋のハセノパイロ。ここまで【3-1-0-0】で前走・ハイセイコー記念は着差以上の強さを感じさせました。すでに2走前、川崎の1600m戦で勝ち鞍があるのも強み。デビューから4戦すべて鞍上は今年ヒガシウィルウィンでジャパンダートダービーを制しJpnI初制覇を果たした本田正重騎手。「操作性がいい馬で、来年のクラシックに向けても楽しみ」と語るハセノパイロはヒガシウィルウィンと同じ佐藤賢二厩舎所属。再び“打倒JRA勢”に挑みます!
前走は着差以上の強さを感じさせたハセノパイロ(写真は2017年ハイセイコー記念優勝時、撮影:高橋正和)
ホッカイドウ競馬のソイカウボーイは門別の重賞・サッポロクラシックCの勝ち馬。前走・兵庫ジュニアグランプリはスタートで少しつまずくアクシデントがあったものの地方馬最先着の3着で上がりは最速。距離延長でスムーズな競馬ができれば前走以上も。
スムーズな競馬で前走以上を目指すソイカウボーイ(写真は2017年サッポロクラシックC優勝時、撮影:田中哲実)
同じくホッカイドウ競馬のサザンヴィグラス。前走・北海道2歳優駿は3着でしたが、今回は夏に制した門別の重賞・ブリーダーズゴールドジュニアCと同じ1600m戦。その時の2着はダブルシャープと高レベルなレースでした。距離短縮でまだまだ見限れない逆転候補です。
まだまだ見限れない逆転候補のサザンヴィグラス(写真は2017年ブリーダーズゴールドジュニアC優勝時、撮影:田中哲実)
他にも鎌倉記念の勝ち馬リコーワルサー、水沢の南部駒賞を勝ったダモンデもいて地方勢も上位争いに食い込んで来ること必至。今回の出走メンバー14頭、直接対決をしたことのある面々が少なく、横の比較が非常に難しいレースとなりましたが、文字通り2歳のダート王決定戦にふさわしい戦いになりそう。未来のスターホースを夢見る若駒たちが勢揃い。12月13日(水)、川崎11R『第68回全日本2歳優駿』をお見逃しなく!
※次回の更新は12月13日(水)18時。翌日に名古屋競馬場で行われる「名古屋グランプリ」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。