2018年3月に新規開業する調教師の中に、どうにも気になる新人トレーナーがいる。JRA史上初、開成高校・東京大学出身の調教師が誕生するのだ。その名も“りんてつ”こと林徹調教師。「スゴすぎる経歴」と「異色なキャラ」を併せ持つと噂のりんてつ調教師、その素顔を暴くべく、東大の先輩・須田鷹雄氏が立ちあがった!! (文:編集部)
「東大医学部卒」の裏話
須田 僕とは違って、大学は4年ストレートで卒業したということでしたけど。
林 まぁ、教授に懇願したり……いろいろとしました(苦笑)。私は劣等生だったので、卒業ができたのは友達のおかげなんです。大学を卒業してなかったら今はなかったわけですし、改めて感謝感謝です。
須田 しかも、学部で言うと「医学部」という。
林 メディアに載せていただくようなときは、「東大医学部卒」でビシッと切られちゃうんですけど、自分の場合は「医学部看護学科」で。先輩はご存じだと思いますけど、僕のような行き場のない人間がお世話になるところで、本当に拾ってもらったんです……。
▲「医学部看護学科は僕のような行き場のない人間がお世話になるところで」
須田 東大医学部の医学科と看護学科は、消防署員と「消防署の方から来ました」くらいの違いがある(笑)。
林 全然別物です。「なんで医者にならなかったの?」って聞かれるんですけど、勉強は全然できなかったですから。机に座って勉強するのが嫌いだし、馬術部で4年間やってきて、馬のことが好きだから競馬の世界へって、一念発起して牧場に入ったんです。ミホ牧場というところで、かれこれ4年くらいお世話になりました。
須田 おぉ、そうなんだ。その頃ってもうトレセンに入りづらい時期でしたか?
林 結構入りづらかったです。牧場の中でも試験を受ける順番もありましたので、自分は年齢制限ギリギリぐらいに受けさせてもらったんです。でも1回落ちているので、合格したのは2回目です。
須田 そうなんだ。で、調教師試験が4回目で合格でしたよね。牧場時代って、初めて競走馬に触れるわけでしょ?
林 牧場に入って1か月ぐらいは下作業をして、それから初めて馬に乗せてもらうっていう時に、「よし、やるぞ!!」って意気込んだわけです。10頭ぐらいの縦列調教で一番後ろだったんですけど、ひとまくりであっという間に先頭に立ってしまいまして……。あの時は本当にヘコみましたし、「この世界を選んで大丈夫なのか?」って相当悩みました。