◆岡部誠騎手「復活どころか、成長している」 松の内もあけてしまいましたが、新年あけましておめでとうございます。
地方競馬の2017年度の売上げも、発表されている11月末時点で全主催者が前年度比アップとなっており、最近ではなかなか“喝!”と言う場面が少なくなっている。逆にそのぶん、油断せぬよう気を引き締めて、本コラムもよろしくお願いします。
そして新年最初の“あっぱれ”は、ディアドムスの完全復活だ。
年が明けて南関東で最初に行われる重賞、1月3日の報知オールスターC(川崎)は、地方全国交流ということもあり、近年印象深いレースが多い。
2014年、ハナ差の接戦を制したのは兵庫から遠征のオオエライジン。この日、有楽町駅付近で起きた火災の影響で新幹線が一時ストップ。主戦の下原理騎手が間に合わず、急遽張田京騎手(船橋・現調教師)に乗替っての勝利だった。
2016年は、金沢から遠征のグルームアイランドが見事な差し切りを決めた。年末の中日杯で重賞初挑戦での勝利からの連勝。地方競馬の関係者にとって、ダートグレードはもちろんのこと、南関東での重賞タイトルはある意味で勲章となるだけに、グルームアイランド陣営の喜びもひとしおだった。
昨年、1番人気に支持されたケイアイレオーネを勝利に導いたのは的場文男騎手。前年(2016年)9月に還暦を迎えており、60歳になって最初の重賞タイトル。的場騎手は昨年12月30日の東京シンデレラマイルをニシノラピートで制しており、地方競馬での重賞最年長勝利記録を更新し続けている。
そして今年、このレースを制したのが、明けて6歳になったディアドムスだ。
2歳時は北海道2歳優駿と全日本2歳優駿を連勝して2歳ダートチャンピオンとなった。当然、その後の活躍が期待され、ドバイのUAEダービーにも遠征(8着)したが、3歳以降はまったく勝てなくなってしまった。
昨年1月22日の中山・アレキサンドライトSで2歳時以来2年1カ月ぶりの勝利を挙げたものの、オープンクラスとなってからはさらに落ち込み、4戦いずれも後方追走ままという見せ場のないレースが続いた。
その後、大井の森下淳平厩舎に移籍。初戦の東京記念(9月13日)こそ中団追走ままの6着だったが、2戦目の埼玉新聞栄冠賞(10月18日)では惜しくもハナ差の2着で復活のきざしを見せた。そして3戦目となった勝島王冠(11月29日)では、手ごたえ抜群のまま4コーナー手前で先頭に並びかけると、直線では後続を寄せ付けず4馬身差の圧勝。2歳時以来、3年ぶりの重賞制覇だった。
ただ個人的なことを言わせてもらえば、中央オープンでのまったくレースにならなかったときの印象が強く、その勝島王冠での勝利も実は疑っていた。しかしその強さが確信となったのが、年明けの報知オールスターC。3番枠からのスタートだったこともあって、2周目の向正面まで中団の内で囲まれたまま。「外に出せないまま、これで飛んだら(負けたら)ブーイングだなとヒヤヒヤだった」と岡部誠騎手。3コーナーあたりが映像ではところどころしか映っていないのだが、たしかに位置取りを上げて行くにも行き場がなく、かといって外に持ち出すこともできず、という様子はわかる。しかし4コーナー手前の一瞬で外に持ち出すと、「(直線では)ギアが一段階、二段階上がった感じですね」(岡部騎手)というとおり、一瞬にして後続を突き放した。
報知オールスターCで3馬身差圧勝のディアドムス
「復活どころか、成長している」という岡部騎手のコメントが、そのパフォーマンスの高さを物語っている。
大井に移籍して以降の4戦、いずれも名古屋の岡部誠騎手が手綱をとっているというのも興味深い。大井に所属しての期間限定騎乗がきっかけかと思ったのだが、南関東での期間限定騎乗は9月5日の船橋開催まで。大井移籍初戦の東京記念はその後の9月13日だから、重賞でのスポット参戦での騎乗となっている。
地方競馬では昨年、ヒガシウィルウィンがジャパンダートダービーを制し、ララベルがJBCレディスクラシックを制したのをはじめ、ダートグレードで地方馬が6勝。そのほか2着3着も多数あり、久々に活躍を見せた。2018年、ダートグレードでの地方馬の活躍の中に、ディアドムスの名も加わってきそうだ。