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キタサンブラック&コパノリッキーの引退式を取材してきました!

  • 2018年01月09日(火) 18時00分
職人

引退式をかぶりつきで取材してきました




北島三郎オーナー「咲かせた大輪の花を枯らしたくない」


 あけましておめでとうございます。

 新春競馬を満喫されましたか? 今年は金杯にシンザン記念、フェアリーS、そしてコパノリッキー・キタサンブラックと偉大な馬が引退を迎えました。

 引退式では、統一GI最多となる11勝を挙げたコパノリッキー(牡8)は15年にフェブラリーSを連覇したときのゼッケンをつけて京都競馬場の芝を駆け抜けていました。「あれ、芝コース? 芝でもなかなかいい走りをみせてくれるんだー」と思いましたね。初めての芝でも軽快に走る姿は立派でした。

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初めての芝でも軽快に走る姿は立派でした(c)netkeiba.com


 豊騎手との名コンビを思わせる勇姿に感動しうれしくなりましたね。以下、豊騎手のコメントです。

「芝の走りもいい感じでしたね。僕が一番苦しい時期に勝ってくれたので思い入れも大きいです。リッキーの子供にも乗ってみたいですね。この後、日高の故郷に帰って種牡馬入りするという大事な仕事が待っているんですね。楽しみにしています」

 豊騎手はブラックムーンで金杯を制覇しましたね。今年の競馬も豊騎手の勝利から始まりました。名馬は、引退しても子孫繁栄に貢献してくれるのが競馬の醍醐味でもありますね。キタサンブラックも現役引退してもまだまだ目が離せませんね。

 さて、キタサンブラックの引退式もかぶりつきで取材してきました。6歳という若さですが、歴代最多タイのGI7勝、さらに歴代獲得賞金トップの偉業を成し遂げた本当に強い馬でしたね。故障することもなく走るごとに強さを証明してくれた馬だったと思います。

 12R終了後に行われましたが、1万8000人のファンが大歓声で見送っていました。

 入場曲「ザ・チャンピオン」に合わせリズミカルな歩様で誘導馬に導かれて4コーナーのポケットまで行き、そこから直線を一気に駆け抜ける雄姿は、レースを思わせる走りでした。「一番人気なのに馬券買うの忘れたわ・・・」と思わせるような走りでしたよ。普段は、あまり入ることのできない内芝コースでカメラをもって走る姿をとらえた時の感動は、僕自身にもいい経験になりました。

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レースを思わせる走りを見せたキタサンブラック


 あの走りを見ているとまだまだ現役で走ってくれそうですが、引退を決意した北島オーナの思いをお聞きすると納得です。以下、北島オーナーのコメントです。

「最後の親心です。歴史と感動をくれたブラックが余生も元気で故郷で楽しく過ごせる時間がほしい。咲かせた大輪の花を枯らしたくない。種牡馬という新たな道もあり子孫を残す大事な仕事も待ってるからね。子どもたちが走る姿も見たいですね。まだまだ病気で倒れてる場合じゃないね。僕に元気をくれるブラックに負けていられません。

 今日は、寒い中最後までブラックを応援してくれ本当に感謝します。みなさんの暖かい気持ちを思うと歌わずにはいられません。 ♪まつりだまつりだキタサンまつり おれもどんと また頑張るよ」

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北島オーナー「元気をくれるブラックに負けていられません」


 声を詰まらせつつ目を真っ赤にしアカペラで声を振り絞って歌う姿に、このプロ意識の強さと執念がこの馬を強くしていたんだなと感じました。マイクをしっかり何度も何度も握りしめる姿が印象的でした。

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アカペラで歌った北島オーナー


 以下、豊騎手のコメントです。

「これで本当に最後なんだなーと思ったラストラン、改めて素晴らしい乗り心地を楽しむことができました。4歳の時から騎乗しましたが、乗るたびに強くなっていきました。ブラックに巡り合えて幸せです。感無量です。まつりを歌うプレッシャーから解放されますね」

 と、豊さんらしく笑いもきっちり取れていて、これがこの方の素晴らしいところだと思いました。騎乗力だけではなく心の余裕、競馬を楽しませるコツもしっかり心得ている人間力は素晴らしいと思います。

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豊騎手「ブラックに巡り合えて幸せです。感無量です」


 清水調教師は、「無事にこの日を迎えることができ、ほっとしています。こんな名馬に出会えて一生忘れることはないでしょう。よく頑張ってくれた感謝しかありません。これを糧にして、ブラックの子供たちと巡り会いたいと思います」とコメントされていました。

 ヤナガワ牧場の代表さんも「生まれたときを思い出しています。バランスがよく見栄えのする馬でした。種牡馬という大変な仕事が待っています。いい馬を出せるように頑張ります」とおっしゃっていました。

 最後に辻田厩務員のコメントです。

「いつも変わらない自分をしっかり持っていた馬なので扱いやすかった。勝つたびにすごい馬に成長していくなーと感じていましたが、扱いはいつもと変わりなく同じことをするだけです。これが一番よかったんだと思います。この日の感動を忘れない!! キタサンブラックありがとう!!」

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辻田厩務員「キタサンブラックありがとう!!」


 改めてキタサンブラックが多くの人たちに影響を与えていったのだろうと想像するだけで身震いがしました。やっぱり競馬は、すごい!! 今年も多くのドラマが生まれるんだろうなー、皆さんで盛り上げていきましょう。

 おまけ、UMAJO SPOTで母が馬のクッキーとキタサンブラックのキャップをパシャリ(写真母提供)。

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馬のクッキーとキタサンブラックのキャップ


 つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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