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【M.デムーロ×C.デムーロ】第1回『日本で一年間乗ったらリーディングを獲れる自信がある』

  • 2018年01月10日(水) 18時02分
with 佑

▲左からC.デムーロ騎手、M.デムーロ騎手、藤岡佑介騎手


2018年最初の「with 佑」は、新年に相応しいゲストが登場です! 2017年はGI6勝と大活躍だったミルコ・デムーロ騎手と、短期免許で来日し、ホープフルSで自身2度目のJRA・GI制覇を果たしたクリスチャン・デムーロ騎手。豪華な兄弟対談が実現しました。「若い頃からGIだけ勝ちたいタイプ」と自身を分析する兄・ミルコ。対して、「通年日本で乗ったらリーディングを獲れる」と自信をのぞかせる弟・クリスチャン。タイプの違うスーパージョッキーの凄さを、佑介騎手が深堀りしていきます。(構成:不破由妃子)


クリスチャン「フランスにいる時も、ミルコの成績はチェックしてるよ」


佑介 ミルコ、クリスチャン、今日はよろしくお願いします。兄弟でこういう場に出るのは珍しいんじゃない?

ミルコ そうだね。以前に香港で一度、対談をしたくらいかな。クリスチャンに会ったのも、2016年の札幌以来(ワールドオールスタージョッキーズにフランス代表として参戦)。これだけ長い期間一緒にいるのは本当に久々だし、やっぱりクリスチャンと一緒に乗るのは楽しいね。

佑介 今日はジョッキーとして、兄弟としてお互いをどう見ているか、プライベートも含めていろいろ聞いてみたいと思ってます。それにしても、2017年のミルコはすごかったね。GI6勝を含む重賞18勝だもんね。

with 佑

▲2017年最初のGI・フェブラリーSもミルコ騎手が奪取(撮影:下野雄規)


with 佑

ミルコ いっぱいいい馬に乗せてもらったからね。でも、春はちょっとついてなかった。とくにダービー(アドミラブル3着)とオークス(アドマイヤミヤビ3着)は残念だったね。

佑介 そのぶん、秋にパワーを溜めてたんでしょ?

ミルコ そうそう(笑)。自分を追い込んで我慢してた。

佑介 実際、秋はスプリンターズSからマイルCSまですごかったもんね(6戦4勝2着1回3着1回)。そうそう、“ミルコってる”っていう言葉ができたの知ってる?

ミルコ なにそれ? 聞いたことない。

佑介 少し前にね、すごい人のことを“神ってる”っていうのが日本で流行ったんだけど、(福永)祐一さんがたくさんGIを勝つことを“ミルコってる”って言い出して(笑)。

ミルコ そうなの? それはうれしい!

佑介 たくさん印象的なレースはあるけど、個人的に一番インパクトがあったのが菊花賞。なにしろ目の前で勝たれたもんなぁ。

with 佑

▲泥まみれの菊花賞、佑介騎手のクリンチャー(右)は2着 (C)netkeiba.com


ミルコ そういえば、佑介は2着だったんだもんね。クリンチャーは思った以上に頑張った。

佑介 あとは、モズカッチャンのエリザベス女王杯。レースそのものというより、あの週のミルコは土曜日からGIの前まで、ずーっとリズムが悪かったでしょ?

ミルコ うん。1番人気にたくさん乗ってたのに、ひとつも勝てなかった。

佑介 だから、絶対に集中力を保てないだろうなと思って見てたの。でも、エリザベス女王杯は完璧に乗った。あの切り替えは見事だったなって。フランスでもミルコの活躍は話題になったりするの?

クリスチャン そうだね。僕は常にミルコの成績はチェックしてるし。全部見てるよ。

ミルコ「日本で一緒に乗れるのがすごく幸せだよ」


佑介 クリスチャンは以前、ミルコのことを「ファンタジスタ」と表現していたよね。この秋も、たとえばスプリンターズSのレッドファルクスとか、ミルコじゃなければ勝ってなかっただろうなと思える競馬がけっこうあったように思うけど、やっぱりそのあたり?

クリスチャン うん、佑介の言う通り。見ていればわかると思うけど、この秋に限らず、これまでにもミルコじゃなければ勝てなかったレースがたくさんあった。でも、僕から見ても、なぜそれができるのかわからない。本当にすごいと思うけど、じゃあなぜ勝てたのか、なぜミルコは強いのか。それがわからないから「ファンタジスタ」なんだよね。

佑介 ミルコが通年免許を取る前に、「ミルコは波が激しいからリーディングは獲れないと思うけど、ビッグレースはたくさん勝つと思う」って言ってたよね。

クリスチャン ああ、そんな話をしたよね。本当だったでしょ?

ミルコ ヤダ! 一番になりたい! でもまぁ、GIをたくさん勝って賞金もいっぱいもらったし、幸せだね。素晴らしい一年だった。

with 佑

▲「GIをたくさん勝って賞金もいっぱいもらったし、幸せだね。素晴らしい一年だった」


クリスチャン 僕が日本で一年間乗ったら、リーディングを獲れる自信があるよ。200勝はできる。

ミルコ そうかもね。クリスチャンは、240勝というイタリアの年間最多勝利のレコードを持っているし、今もまだ破られていない。でも僕は、若い頃からGIだけ勝ちたいタイプ(笑)。

佑介 どちらもスーパージョッキーだけど、全然タイプが違うよね。

ミルコ 全然違う。お互い常に成績をチェックしているという話をしたけど、フランスでのクリスチャンは、寝ているか、食べているか、競馬に乗っているかという生活。フランスという難しい国で本当に頑張ってる。

佑介 外国人が活躍するのがものすごく難しいあの国で、2016年がリーディング5位、2017年も6位だからね。めちゃくちゃすごいこと。

ミルコ 僕も若い頃からフランスでチャレンジしていたから、そのすごさがよくわかる。本当に難しい国だからね。でも、クリスチャンはまだ若いし、これからもチャンスがたくさんあると思う。一緒に乗れないのは悲しいけど、それは仕方がない。今はたまに日本で一緒に乗れるのがすごく幸せだよ。

(文中敬称略、次回へつづく)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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