◆“よく勝つジョッキー”になるための必要条件とは
きのうアップされた当サイトの「トレセン発秘話」にもあったように、先週14日の中京競馬第6レースで、藤田菜七子騎手が1番人気のクルークハイトに乗って勝利を収めました。
藤田菜七子騎手にとっては「JRAで2度目となる1番人気での勝利」だったそうです。そんなに珍しいことだなんて、ちょっと驚かされました。
そこで、同騎手の単勝人気別成績を調べてみたら、なかなか興味深い数字が出てきました。まず、デビューした2016年は、JRAで294レースに騎乗。そのうち、1番人気での騎乗は2回しかなく、馬券には絡めませんでした。ところが、2年目の去年は379レース中4レースで1番人気馬に騎乗、1勝2着2回3着1回と、すべて馬券に絡んでいたのです。
これを率にすると、1番人気で騎乗したときの勝率は.250になっちゃうので物足りなさを感じるかもしれませんが、馬券対象率100%のほうを強調すれば、タイヘン立派な成績と言っていいでしょう。
それじゃぁ、リーディング上位騎手はどうだったか。去年のトップ5人+武豊騎手は以下のような成績だったことがわかりました。
騎手 騎乗回数 1番人気騎乗回数(騎乗回数に占める割合) 勝利数 1番人気での勝利数(勝率と全勝利回数に占める割合)
C・ルメール 803 338(42.1%) 199 130(.385 65.3%)
戸崎 920 279(30.3%) 171 93(.333 54.4%)
M・デムーロ 661 276(41.8%) 171 103(.373 60.2%)
福永 729 126(17.3%) 116 42(.333 36.2%)
和田竜 1010 81(8.0%) 96 24(.296 25.0%)
武豊 604 127(21.0%) 82 38(.299 21.5%)
ご覧のとおり、C・ルメール、M・デムーロ騎手は、1番人気馬の騎乗回数が全騎乗回数の4割を超え、1番人気馬での勝利数は全勝利数の6割以上に及んでいます。一方、1番人気馬に騎乗することが少ない和田竜騎手がリーディング5位にランクインしているのはアッパレです。
去年、藤田菜七子騎手が1番人気馬に騎乗した割合はわずか1.1%。もし今年、同騎手が去年を若干上回る400レースに騎乗して、そのうち1番人気での騎乗が5%にアップしたとしたら…。リーディング上位の騎手は、大ざっぱに言って1番人気での勝率が3割くらいあるわけですから、それだけで6勝くらいは確保できる計算になります。
ジョッキーが勝った時によく口にするのが「いい馬に乗せてもらったおかげ」というセリフ。もうみなさんもご承知のとおり、そういう馬に騎乗する機会をできるだけ多く確保することが、“よく勝つジョッキー”になるための必要条件なんですね。